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15-20「御前試合に向けて」♢

「御前試合ですか? 」


 玉座の間で先ほどの提案を話すとヤギリが眉を吊り上げる。


「ああ、互いの国の代表が戦ってその勝者側が国を取る資格があるんだと」


「確かに何年も戦争が続き成果が出ぬ現状、お主に託すのもいいかもしれぬな。しかし、敵の提案をそのまま受け入れると言うのは……何かカラクリがあるのではないか? 」


「なるほど、確かにそれは問題ですねえ」


 王が疑問を口にすると白々しくヤギリが顎に手をあてて考えるフリをする。程なくしてこちらを向いた。


「スペードさん、ゴブリンは魔法を使いましたか? 」


 ヤギリの質問に否定するべく「いいや」と答える。するとヤギリがくっくっと笑い始めた。


「なるほどなるほど、そういうことでしたか。それなら問題ありません」


「どういうことだ? 」


 突然の行動に驚いた王が眉をひそめる。


「いやですね、丁度先日港町に向かった際に妙な噂を耳にしましてどうやらあのゴブリンは『盾の魔法』が使えるそうなのですよ」


「ほう、となると」


「ええ、恐らく先の戦闘で使わなかったのはそれが狙いでしょう。彼等の切り札はその魔法です。剣士との戦闘に対して盾が使えると有利ですからねえ、特にスペードさん。あなたの切り札は数分の力と引き換えにその後力を大きく落とす『強化の魔法』ですよね、それでしたら盾に籠って時間経過を待とうという判断なのでしょう」


 ヤギリがそこまで説明するとふとクローバーに視線を移す。


「そこでジャックさん、貴方魔法は使用できますか? 」


「……弓に風を纏うことはできる」


 尋ねられたクローバーが答えると満足そうに頷くヤギリを見て何を考えているのかを察して吐き捨てるように言う。


「まさか、オレじゃなくてジャックを出そうってのか? 」


「ええ、心が痛みますがでしたらこちらもウラをかくのです。こちらからはジャックさんを選出して更にそうですね弓使いに有利な森の入り口なんかを試合場所にした場合引き受けるというのは如何でしょうか? 」


「……ボクはそれで構わない」


「ただ、疑うわけではないのですがジャックさん、貴方の実力を見せていただきますか? 」


「……わかった」


 クローバーはそう答えると弓矢を出して開け放たれた窓から少し離れたオレより小さく見える木を指差す。


「……あの木に当てる」


 そう言うとクローバーは深呼吸をして弓矢を構える。彼女はギリギリと音を立てる弓矢を構えたと思った瞬間彼女の手から矢が消失し物凄い勢いで目標である木に進んでいくのが見えた。


「……命中」


 クローバーが満足気に頷くもオレ含め皆ポカンと見つめる。


「命中……したのか? 全然見えんぞ 」


「すみません、ジャックさん素晴らしい目をお持ちのようですが我々にはボンヤリと見える木よりも更に小さな矢が命中したのか確かめることが困難でして」


「……そうなの? なら『ウィンディ』! 」


 キョトンとするクローバーだったがそれを聞くと再び弓矢を構えるた上で『風の魔法』を唱える。これはクローバーが特訓の要領で手に入れた新たな攻撃だ。クローバー曰く威力は『風の矢』と大して変わりないらしいけれど実力を隠すためにこちらを使用しているみたいだ。


「これは、風が矢に集まって」


 玉座から立ち上がった王が驚きの声を上げる。その声が終わるや否や再びクローバーが矢を放つ。矢は前回よりもすさまじい勢いで目標に向かっていき次の瞬間、驚くべきことが起こった。

 目標である木がたちまち力なく倒れたのだ。恐らく幹を矢が貫通して大きな穴を空けたのだろう。


「木が……倒れた? 」


 震えながら王が玉座に座り直すと突然クックッと笑い出す。


「素晴らしい、これなら兄に勝てるぞ! 国は私のものだ! 」


 王は高らかにこの国全体に宣言するように大声で口にした。

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