15‐19「踏破VSスペード」
「うおおおおおおおおお」
「おらああああああああ」
キィン
再び剣が音を奏でる。スペードは俺とのパワー差を補うために素早く剣を振るうことで俺が剣を力を込めて振ることを封じているのだ。その結果、俺とスペードの剣はどちらも譲らず鍔迫り合いの結果となった。
「これでどうだ」
スペードがニヤリと笑いながら尋ねる。
スペードの技術は凄い、でもそれはこうして剣を実際に交えているから通じるものであってこれを見ているモンスター達が実感しているのかは分からないのだ。もしかするとただ剣を交えるだけで誰でも出来る戦いと考えている者もいるかもしれない。
「いいやまだだ、おれじゃあ後ろのモンスター達にはただの剣の打ち合いだ。実力者同士の戦いに見せるためもう少し派手にやって欲しい」
俺が答えるとスペードは「了解」と答えるとともに剣を祓い数歩下がった。
「なかなかやるな、それならこれでどうだ『ファイエア』! 」
スペードが手を俺に目掛けて翳す。たちまち彼女の掌から生まれた炎が俺に襲い掛かるのを右にひらりと躱すと背後から「あぶねえ」「避けろ」と慌てるモンスター達の声が聞こえた。
「オラまだ行くぜ! 『ファイエア』! 『ファイエア』! 」
幾たびも繰り返される彼女の攻撃を次々と躱す。そして俺が回避に気を取られているのを見て剣の刃に両手を翳す。
「『ウィンディ』! 」
たちまち剣を風が纏う。彼女は風で剣を強化したのだ。そのまま彼女は俺の元へと襲い掛かり右上から剣を振るってきたので防ぐべく軌道に剣を差し込む。
キィン!
彼女が振るった剣は目標である俺に到達することなく剣に阻まれる。しかし以前とは異なり風で強化された彼女の剣は俺とのパワーの差を十分に補っていたのだ。
「こんのおおお! 」
力を込めて彼女の剣をはらう。しかし俺が力を込めた分振りが大きくなったため体勢を立て直すのは彼女の方が早かった。
「もらったあああ! 」
その声とともに手早く体制を立て直した彼女が襲いかかってくる。
「させるか! 」
咄嗟に俺は力を込めて地面を殴る。すると地面がヒビ割れ揺れることで彼女が僅かに姿勢を崩し攻撃が止まった。
「両者一歩も譲らねえぞ! 」
戦いを見ていたモンスターの一体が叫んでいるのを見て我に返り思わず頬を緩ませる。どうやら次で仕上げのようだ。俺は僅かに顎を突き上げて彼女に合図をすると受け取ったのだろう彼女が首を縦に振ると声を張り上げて言う。
「ならこれで決着をつけてやるよ、全力で行くぜ! 」
スペードに負けじと俺も声を張り上げる。
「それなら俺も本気を出してやるよ」
「上等だ『エンハンス』」
彼女が呪文を唱え赤いオーラを纏うと瞬時に俺の目の前に移動する。
キイン!
俺とスペードの剣が音を奏でる。
「すげえ全く見えなかったのにあいつには見えてたのか! 」
モンスターの叫び声。でも実はそうではなかった。強化状態でない俺に強化状態のスペードを止めることのできる力はない。彼女は攻撃の直前に合図をしてどの方向から繰り出すのかを教えてくれているのだ。
キィン!キン!ギィン!
そのまま何度も何度も俺達の剣がぶつかる。モンスター達からすればまるで互角に見えているだろう、頃合いだ。
俺は剣を下ろす。
「どうした? 負けを認めたか? 」
「いや、侍なき今貴様が人間軍で1番強いということも束になってかかっても勝てるか分からないことは十分に分かった」
「それはお互い様だろ」
スペードがニヤリと笑う。これで準備は整った。スペードとの今回の派手な茶番はこのためだった。俺は深呼吸をすると口を開く。
「そこで提案だが、俺と貴様で国を賭けた御前試合をしないか? 」
俺の提案にその場の全員が息を呑む音が聞こえた。




