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15‐12「侍との決戦」

 侍の刀がダイヤに迫る直前、彼女が杖を構え呪文を唱える。


「『シルド』! 」


 透明な盾が出現して侍の刀がぶつかり刀が真っ二つに……と思った時だった。素早く侍は足を突き出して彼女のシルドを足場にして蹴り宙に回ると一回転して地面に着地した。


「なるほど、こちらにカウンターでダメージを最大限に与えられるタイミングでの魔法……なかなかの強者とみた。しかしその声は……あの時のお嬢さんかい? 」


 ズバリと当てられてダイヤがハッとする。その気配を侍は察したようだ。


「図星ですかい、誘いを断ったのにここにコソコソと姿を消して現れたってのを考えるとひょっとして……」


 侍が眉を顰めるのをみて彼女の掌を軽く(つね)る。それが合図だった、俺の身体はみるみる大きくなり元の姿に戻った。


「やっぱりモンスターですかい、それにしてもなかなか厄介そうなゴブリンだ」


「トーハさん」


 不安気に俺を見上げる彼女の肩にポンと手を置く。


「大丈夫、ダイヤ。『強化の魔法』を」


 彼女は直ぐには答えず数秒後に「はい」と答えると杖を構え呪文を唱えた。


「『エンハンス』! 」


 たちまち俺の身体が赤いオーラに包まれる。体に力が漲ることを確認すると剣を構える。その様子を見て侍も刀を構えた。

 侍が俺の身体に狙いを定める様に鋭い眼光を向けるので負けじと睨み返す。どれほど睨みあっていただろうか? 時間にしては数十秒、いや数秒だったかもしれない。しかし、俺にはその時間がその何十倍にも感じられた。

 その戦いの終わりは唐突だった。ダイヤは『盾の魔法』を解除したのだ。それが合図になった。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」


「はあああああああああああああああああああああ」


 互いに駆け出し距離が縮まる。しかし、剣の長さでは俺のほうが勝っている。何もなければ俺の勝ちだ。

 しかし、相手も熟練の侍だ、リーチの差なんて承知しているはずであり嫌な予感が的中した。

 侍がまだ間合いに入っていないにもかかわらず刀を振り下ろしたのだ。


 ゾクリ、と死の予感と言うべきか強烈な寒気に襲われる。

 どうしてだろう? スペードのように魔法を刀に纏い飛ばしてくることを警戒していたのだけれど魔法を唱えた様子もない。ただの刀の一振りのはずだ。自棄になったのだろうか? そんなはずはない。でも侍の狙いが分からない。


「くそっ」


 咄嗟にバックステップをして後ろに回避行動をとる。すると次の瞬間、凄まじい数の斬撃がズバズバと鋭い音を立てて俺が向かうところだった数歩先の場所を切り裂いた。


「ほう、儂の周囲の空間をも斬ることで無数の斬撃を生み出すこの技を見抜いていたですかい? 流石ですねえ」


 躱されたのを寧ろ喜びに感じているようにそう言うとこちらに向かってくる。


「『シルド』! 」


 ダイヤが魔法を唱え目の前に『盾の魔法』が出現する。しかし、前回とは異なり侍はお構いなしに接近してきた侍は盾を斬らんとばかりに刀を振り下ろした。すると先ほどと同様無数の斬撃がダイヤの盾に襲い掛かる。でも流石はダイヤの盾だ。彼女の魔法は侍の刀を受けても尚も俺と侍の間に隔たっていた。


「ほう、なかなかの盾だ。この刀でも斬れねえなんてねえ。とんだ魔法使いがいたもんだ。しかし、お嬢さんが出てこないのを見るとどうやらお嬢さんは支援する役でゴブリンが攻撃役ってことでしょうかね。だがゴブリンは儂に攻撃が出来ず儂はどちらにも攻撃が通らないときた。となるとこの勝負はどうなるんですかねえ」


 そう言って顎で俺と門を見下ろす。それで侍と言わんとすることが理解できた。この場では長期戦の戦いは不利だ。というより俺にはそれはできない。『強化の魔法』のデメリットだ。今は超人的な力を手に入れているけれどその代償として俺は数分後にはまともに戦うことが出来なくなる。いや、それがなくても門から兵士がこの場所まで来た場合は俺達は侍を前に崖から飛び降りるという一か八かの逃走をするか全員と戦うかを選ばなければならないのだ。

 ……故に今、兵士が来る前にここで倒さなければならないのだ。


 作戦を立てるべくダイヤの盾を見上げる、すると先ほど見た光景を裏付けるように鮮やかに無数の切り傷が刻まれているのが目に入った。破れはしなかったものの彼女の盾にここまで痕を残したということに思わず身震いする。だが、驚いてばかりもいられない、今からこの刀を破って侍を倒さなければならないのだ。しかも早急にその対策を今この場で考えないといけない。

 覚悟を決めて対策を考えようとした時だった。


「トーハさん、宜しいでしょうか」


 ダイヤが後ろで囁いた。とはいえ何をするか分からない侍から目を話すわけにもいかないので失礼ながらも振り返らずに「どうしたの? 」と囁き返すと肩に彼女の手の感触が広がる。


「私に考えがあります」


 迷いのない声で彼女はそう口にした。





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