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2-10「盾の呪文での攻撃手段」

 スライムがピョンピョンと跳ねて彼女のほうへ向かう。


「『シルド』! 」


 彼女の周囲に半球形のシールドができる。スライムはそれに突撃しベチャット張り付いた。

 思った通りスライムに打撃系のダメージはないようだ。張り付いたスライムはシールド内を垂れて次第に下に落ち再び一つになる。


 様子を窺うように周囲をピョンピョン飛び回った後スライムはこの盾を突破は不可能と見たのか動かなくなった。


 ………………膠着状態になってしまった。


 彼女の盾の呪文は強力だ。それは身を以て体験した俺が一番よく知っている。しかし、人間ほどでないにしろ学習能力がモンスターたちに皆無というわけではないことから何度も盾を攻撃してくるかは確定的ではなかった………………………………幸か不幸か模擬戦というべき初戦の今回警戒していたことが起きてしまったのだ。


「ダイヤ!やっぱり一回目は良いけど二回目はダメだ!教えたとおりに! 」


 彼女はこちらをみて頷いた。途端に盾の呪文が消える。


 作戦は簡単だ………………彼女がシールドを解いて襲ってきた敵が間合いに入ったタイミングで再び盾の呪文を発動するカウンター攻撃だ。敵からすれば盾の呪文の解除は意図的か魔力切れかは判別できないのに加え目の前のシールドがなくなれば襲うしかない!そこで再び発動することで意表をつけるに加えシールドがなく最大の攻撃に対しシールドがかかるので反動はかなりのものだろう。


 俺は先ほどまで痛んでいた手を見つめる。


 この作戦の懸念材料は2つ………………


 1つは敵の攻撃が強力でシールドが割れてしまうこと。しかし、これは彼女の盾の呪文の強度と先ほどスライムの攻撃では割れないと確認したので大丈夫だろう………………。


 もう1つは………………。俺は彼女に視線を向ける。彼女はカウンターを成功させようと集中しようと試みるも震えていた。


「シルド! 」


 スライムが盾の呪文の間合いからかなり離れた距離にいる段階でシールドが展開される。途端にスライムは攻撃しようと動き出したのに止まってしまい再び膠着状態になってしまう。


 もう1つは………………盾の呪文発動のタイミングだ。間合いぴったりでなければならないということはないのだが、あまりにズレすぎていると早すぎるとこのスライムのように敵は警戒して動きを止めてしまう……。逆に遅すぎると………………。


 しかし考えるのは簡単だがタイミングを合わせるのは至難の業だろう。彼女は冒険者としてはまだ登録をされていないほどの初心者だ、加えて彼女はルイーダの死を目の当たりにしている……早く発動してしまうのも仕方がないだろう。………………かくいう俺もいざやれといわれるとできるか分からない。


 膠着状態になるも彼女が盾の呪文を解除、そこをみてスライムが攻撃するも再び早いタイミングで盾の呪文が展開されスライムが距離を取り再び膠着状態になる。



 この流れが何度か繰り返された後、彼女はキッといっそう強くスライムを睨んだ………………覚悟を決めたようだ。


 彼女が盾の呪文を解除し再び彼女の周りのシールドが消える、それを好機とスライムが徐々に近づいていくがこれまでとは違い彼女はスライムをみているだけでシールドは発動しない、スライムは徐々に距離を詰めていく………………


「シル………………き、きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!! 」


 彼女が盾の呪文を発動した時にはスライムはすでにシールドのできる間合いに踏み込んでおり守りとは裏腹な密閉空間ができてしまう。そしてうろたえる彼女の隙を見逃さずスライムは飛びついたのだ………………!


 模擬戦ということを理解してくれているのか頭ではなく身体にゼリー状の液体となって巻き付くスライム。ゼリー状になると意外と伸びる様で胸から足まで要所要所を拘束しつつ綺麗に巻き付いている。


 要所要所というのは、健全な男子なら思わず興奮してしまうような場所だ、俺は小さくサムズアップをするもすぐさま我に返り彼女の元へ近寄りスライムを引きはがす。


「大丈夫!? 」


「ご、ごめんなさい、ギリギリまで引き付けようと思ったのですがなかなかうまくいきませんね………………」


 彼女は力なく笑った。変なことを考えていた俺は申し訳なくて罪悪感で今すぐ謝罪したい気持ちになった。


「いいや、あそこで勇気を出してカウンターを狙っただけ凄いよ!あと数回で慣れると思う!しばらく休んでから再開しよう! 」


 俺は彼女を励ますように言う、お世辞のようだが本心からの言葉だった。


「ありがとうございます、特訓あるのみ………………ですね」


 彼女は今度は満面の笑みを浮かべた。それから数十分後特訓は再開され同じことが繰り返されるも数時間後………………


「『シルド』! 」


 彼女がこちらに向かったきたスライムが間合いに入ったタイミングで呪文を唱える、するとシールドがスライムの目の前に展開されバシャーン!と音を立てて液体状になった。


「はあ……はあ……トーハさん、ついにできました………………」


「ああ、とうとう成功だ!やったね! 」


 俺はそう言って彼女に近寄るも既に彼女はスースーと寝息を立てて眠りに入っていた。

 考えてみれば昨夜から一睡もしていないのだ、仕方のないことだろう。


「寝ちゃったか………………。スライムも今日はありがとう」


 そう言ってスライムのほうをみてお礼と頭をなでる。ひんやりして気持ちがいい。スライムは嬉しいのか「ピューイ! 」と跳ねて眠りについた。


 先ほどあった大きな親らしきスライムと小さなスライムが眠っているのをみると見張りを頼まれたと思われるのだが眠っていいのだろうか?………………いいや、それほど俺のことを信頼してくれているのだろう。疲れたのは俺達の特訓に付き合ってくれたからだろうし………………。


 俺は「よし! 」と気合を入れて力強く頬を叩いた。いっちょ頑張りますか!!!


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