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2-9「再び洞窟へ」

「着いた、ここだ! 」


 俺はダイヤを連れ森を歩き坂を下り、昼間訪れたスライムが家にしている洞窟にたどり着いた。もう日は沈みかけているが試練の場所が洞窟というのなら仕方がない。松明を持っていくのは昨日のことを考えると辛かったので暗闇を照らせる彼女の魔法は助かる。

 しかし、改めてしゃがまないと通れない穴を見ると松明を持ったまましゃがんで歩くのは危険なので照明魔法を使える人がいない場合は洞窟内で火をつけないといけないのか。スライムがいると分かっているものの情報がないと突っ込むのはリスクが高すぎるように思えた。


 懐中電灯って凄かったんだなあ……


 としみじみと感じる。


「結構ゴツゴツしているから気を付けて」


 そう彼女に忠告して先にしゃがんで入る。


「そういえば、照明の魔法って学校で冒険者は皆習うの? 」


 洞窟をしゃがんで先頭を歩きながら後方の彼女に尋ねる。


「光の魔法は冒険者にとっては必須級の魔法なのですが、私の学校では同期の人と旅に出るが多いというのもあって魔法使いの方にしか教えていませんでした。攻撃系の魔法は基礎までは教えていましたが……」


「攻撃系の魔法は剣士でも使えるの? 」


 俺はそのことに驚いた。今まで出会った兵士たちは魔法を使うそぶりなど見せなかったからだ!


「はい、使えますよ、トーハさん。……でもおかしいですね、村の人もお父さんも使えるはずなのに……」


「もしかして、俺が出会った人たちは皆周りが村や森だったから魔法をつかうのを遠慮していたのかも」


 ふと思いついたことを言ってみる。しかし、襲撃した側がこんなことをいうのは我ながら滑稽だと思う、もしかしたら、魔王がペットを森にはなったのもそういう心理を利用して魔法を制限するためなのかもしれない。


 そう考えていると出口が見えた。別れた手前こんなに早く再開するのは恥ずかしさもあるが俺は再びスライムたちとの再会を……


「ふぐっ……」


 俺はスライムたちの家に入る直前、何やら柔らかいものに頭が包まれた。……スライムだ!


 本来敵が来たら入り口は一つしかないのだから少し物音がしたらこのように入り口前で構えて頭を包んでしまえばこの入り口を通れる大きさのものなら対処できるというわけだろう。


「ガボッ……ゴボボバ……。」


 なんて感心している場合ではない!息ができない!……俺だと気付いてもらわなければ!そのためにはそうする……そうだ、ペンダントだ!


 俺は慌てて腕に力を込め一気に洞窟内に入り仰向けになる。チャリンと金属の音するやいなやペンダントが露わになった。


「ピュイ!?ピューイ! 」


 ペンダントを好き好んで付けているゴブリンなんてそういない。ましてやそれが見慣れたペンダントならば……という予想は当たっていたようだ。スライムは慌てて頭から離れた。


「が……っ!ハア……!いきなり来て悪かったよ。気付いてくれてよかった…。」


 俺は深くスーハーと深呼吸をしてから立ち上がった。洞窟内で少しジメジメしているが空気がいつもよりうまく感じた。


「トーハさん!?大丈夫ですか! 」


 ダイヤが心配そうに続いて入り立ち上がる。するとスライムがダイヤの姿をみるや「ピューイ! 」と目をキッ!と吊り上げ敵意をあらわにした。


「待ってくれ!この子は敵じゃないんだ! 」


 ダイヤを庇うように両手を広げる。もしかして彼女の……人間の匂いを感じ取ったのか?だから先ほどみたいな戦闘態勢を……?


 とはいえ、ダイヤ本人に匂いがするなんていえないなあ……


「さっき教えたとおりに……」


 俺はどうすればいいか困惑している彼女の裾を引っ張り囁いた。すると彼女は「はい。」と囁き返した後に


「突然お邪魔してすみません。これ、つまらないものですが……」


 そういって彼女はスライムにバッグから取り出したリンゴを差し出した。ここに来る前に取っておいたスライムたちの好物のリンゴだ。するとスライムは嬉しそうに「ピューイ。」と跳ねた。


 つまらないもの作戦……どうやらうまくいったようだ。


「そうだ、さっきの戦法、このスライムで実戦してみないか? 」


「は、はい!スライムさんがよろしいのなら……」


 よし!と俺はスライムの前で手を握りグーを作り次はダイヤの前でグーを作り二つをぶつけてみた!

 二人で対戦して欲しい、というジェスチャーだ!通じるだろうか?


「ピューイ!ピューイ! 」


 どうやら通じたようでスライムは了解、というようにピョンピョンと跳ねて彼女のほうに向きなおった。


「じゃあダイヤ、頑張って」


 そう声をかけ遠くに離れ見物する。


 スライムが現れた。ダイヤはどうする?


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