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2-8「盾の呪文」

視点戻って踏破です。

♥ 

 待ち合わせ場所の木にたどり着いてから数分、人が1人森からこちらにめがけて一目散に走ってきた。ダイヤだろうか?念のため逃げれるように準備をして近づいてくる者をみる。


 バッグに杖にブロンドヘアー、間違いない……ダイヤだ!


 俺は彼女に見えるように木の陰から出る。彼女はこちらに気付いたようで走ってくるがふと立ち止まる。


 もしかして、野生のゴブリンだと勘違いされている…?しまった!後ろにさしている剣がダイヤからはみえないのか、前へ出なくては!


 そう判断し前に出るより先に彼女は再びこちらに走ってきた。


「トーハさああああああああん! 」


「ダイヤ!無事でよかったよ、それで冒険者登録はできた? 」


 彼女は俺の言葉を聞いてハッと今思い出したような顔をする。どうしたんだろう?


「それが、ダメでした……冒険者登録をするには試練に合格しないといけないということで……」


「……試練? 」


 彼女の話によると試練というのは森の中にある洞窟から『とあるもの』を持ってくることらしい。肝試し、いや王様の様子を聞くにそんな生易しいものじゃなさそうだ。


「冒険者バッジってそんなにいいものなの? 」


 ふと気になったので尋ねる。旅行者とかもいるはずだろうし戦闘を行うのも自由だろう、冒険者を認めるバッジにはどのような魅力があるのか疑問に思ったのだ。


「とんでもないです! 」


 彼女が声を荒げる。


「冒険者バッジはそれだけで身分を証明するものでいろんな国にも行けますし更に宿や馬車、武器では割引も使える代物なんです!!! 」


 なるほど、どうやら冒険者バッジというのは割引の利くパスポートみたいなものらしい。


「それは確かに凄いや、じゃあ今日は準備して明日その試練を受けに行こうか。」


 俺は話を戻す。

 今から試練の洞窟を探すというのも至難の業だろう。明日準備をして出発のほうが……ん、洞窟?頭に浮かんだのは先日出会ったスライム一家だ!あの洞窟は確かに見つかり辛いところにあった!一見何もなかったが実はどこかに仕掛けがあったのだろう。


「そうか洞窟、あの洞窟か! 」


 思わず声に出してしまい彼女が「きゃっ! 」と驚いた。


「ごめん、でもその試練の場所かもしれない洞窟に心当たりがあるんだ! 」


「本当ですか!?トーハさんはやっぱり凄いです! 」


「偶然だけどね……」


 偶然、彼女と別れてからあのスライム一家と出会えた幸運に感謝をする。しかし、今から潜入すると夜になる。明日のほうが良いだろうか?いやでも洞窟か……。


「あの、トーハさん……私も戦います! 」


 俺が考え事をしていると、彼女が決意を秘めた目をしながらそう言ってきた。彼女現在使えるのは防御魔法と回復魔法だったか……。


「今使えるのは防御と回復だっけ? 」


「いえ、それと一応暗闇を照らす魔法が使えます。」


 彼女が付け加えるように訂正した。暗闇を照らす魔法?ルイーダの件で松明を持つのは憚れたのでそれはありがたい。


「わかった、じゃあ防御魔法をみせて!把握しておきたいんだ。」


「え、はい…わかりました。」


 彼女の防御魔法、思えば防御魔法と言っても漫画やアニメ、ゲームで形は十人十色だ、いまさらながらどんなものかを確認しておかなくては。それにしても、少し彼女は予想と違う答えが返ってきた、という反応をした気がしたけど気のせいだろうか?


「行きます! 」


 彼女はキリっとした表情に変わり、深く深呼吸をした。考えてみればこの世界で初めての魔法だ!


「『シルド』! 」


 そう言った途端、杖が光り彼女を中心に透明な半径3メートルほどの円ができる。上をみると丸くなっていた。どうやら半球形のシールドらしい。


「これが……魔法か。すごい。」


 実際にみてみると呪文1つでこのような盾ができるだなんてまさに神秘の存在だ。中からコツコツと叩くと見た目とは裏腹に硬い感触とともにトントンと頼もしい音が返ってくる。……と感心してばかりもいられない。


「ちょっと、強度の確認していいかな? 」


「は、はい…どうぞ! 」


 彼女に許可を取り俺は棍棒を両手で持ち上げる。手加減は抜きだ!中からならたとえ砕けても彼女が傷つくことはない。鉄をも砕くゴブリンパワーに対しこのシールドはどうなるのか……いざ!


 俺は思いっきり棍棒を中から縦にシールド目掛けて振り下ろした。


 ガアアアアアアアアアアアアアアアアアン!と大きな音が響く。


「…………っ!!!!!!!!!!!!! 」


「ト、トーハさん大丈夫ですか!? 」


 俺が余りの痛みに腕を垂らし歯を食いしばるのを見て彼女が心配そうに声をかける。無論、大丈夫ではない。金属バットで思い切り鉄を叩いたようなものだ。衝撃が跳ね返って腕に来たのだ。

 そしてシールドには……傷1つついていなかった……。


「『ヒール』! 」


 彼女がそういうと杖が光るのと同時に俺の身体が緑色に包まれる。


「回復魔法です、すみません。すぐに回復というわけにはいかないので時間はかかりますが……」


 緑色のゴブリンが緑色の光に包まれるのか……そんなことを考える余裕が生まれるほど徐々に痛みは和らいでいった。


「ありがとう、まさか回復魔法までみせてもらうようなことになるとは思わなかったけど…凄い硬さだねあのシールド。」


「はい!私、防御魔法だけは形も強度も素晴らしいって先生にも褒められたんです。基本防御魔法は形をその時にイメージして好きな形にできるのですが全方向に強度を保ったシールドを張れるのは珍しいみたいです。」


 彼女がにこやかな笑顔で答える。

 

 防御魔法「だけ」、か……本当は攻撃魔法も凄い威力なのに幼い頃のことの影響で……。彼女が街1つ消せるような攻撃魔法を使えたら頼もしいことはこの上ないのだが、魔王戦では使ってくれると約束してくれた。過去がトラウマになっている彼女にそれ以上を要求するのは俺にはできない。

 だから、彼女にも負担がかからない範囲で作戦を考えたかった。例えこれで俺が死ぬことになっても悔いはない。そう覚悟を決めながら先ほどまで痛んでいた自分の両手を見つめた。そうだ……これだ!これならいけるかもしれない……!


「良い攻撃手段を思いついたよ。」


 俺は彼女にそう伝える。


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