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1-14「夜明け」

「……トーハ君か、トーハ君はこう言っているがダイヤはどう思う? 」


オパールさんは俺を見た後ダイヤのほうをみて言った。


「私は……」


彼女はキュッと手を握って続ける。


「トーハさんと、旅をしたいです」


彼女が答えたとき、東から太陽が昇ってきた。……夜明けだ。


「そうか、分かった」


オパールさんは分かっていた、というように頷いた。


「ありがとうございます! 」


「ただし、条件がある!さっき宣言したようにダイヤを責任をもって守ること!いいな! 」


「はい! 」


俺は重く頷いた。

ダイヤと一緒に旅ができる、それだけでもう魔王を倒したような気持になった!


「それで、残るは……ルイーダ君か」


オパールさんはルイーダのほうをみてしばらく考え込んだ後…


「トーハ君、もう一つの条件と言ってはなんだが、サイクロプスを倒したのはルイーダということにはできないだろうか? 」


「ええ、彼の剣がなければ倒せたかは分かりませんし構いません」


「すまないな、何か手柄の一つでもないとな……それでは彼は責任をもって私が後で皆を呼んで式を行い埋葬させてもらうよ」


「式なら私も一緒に!ルイーダとは友達だったから…」


式を挙げるとなると、本日の出発は不可能そうだが、友達の式に出たいと思うのは当たり前だ。しかしダイヤと一緒に旅ができるならなら何日でも待っても構わない。そう伝えようとしたのだが……


「それがな、申し訳ないがこの国スウサの王に今日娘が行くと伝えてしまってな……王様との約束を破るわけにはいかないのだ」


「そんな……」


「すまないな、だからここで別れを済ませておくれ」


「はい……」


ダイヤはルイーダに駆け寄り何か語り掛けているが、聞くのは偲ばれた。

オパールさんから話を聞こう。


「あの……魔王ってどんな存在なのですか? 」


「魔王か……奴は数十年前に突然現れてね、世界にモンスターを生み出した。でもどんな奴なのか、どこに潜んでいるのかは誰も知らないのだ」


「何というか、神様みたいな存在ですね」


「神様なものか!確かにここ数十年、やつはモンスターを生んだ以外に何もしてこなかったが数か月前、奴は各地にこのサイクロプスのような強力なモンスターをペットと称して生み出し解き放ったそうだ!もういつ何が起きても不思議ではない!!! 」


「そう……ですね」


魔王が現れてから数十年、何も起きなかったというのは驚きだったが数か月前の出来事を聞くと何かの準備がようやく整った、という印象を受ける。もはや一刻の猶予もないのかもしれない……

一体、魔王は何をしようとしているのか。


「そうだ、これを持っていきなさい」


オパールさんが大きなカバンの中から一本の立派な剣とベルトを取り出した。


「蒼速の剣だ、受け取って欲しい」


「こんな立派な剣、良いんですか? 」


俺は両手で高価なガラス細工の作品を受け取るように丁寧に受け取った。


「本当は、ルイーダ君にと思っていたのだが、こうなったのなら君が持つのにふさわしいだろう」


「ありがとうございます」


剣の柄と鞘は青い柄に程よく金色が散りばめられた立派なデザインで抜いてみると長さは片手剣程銀色の輝きが眩しい、しかしなんの因果かゴブリンの身体にはぴったりの剣だ。ベルトは黒い革製で剣をさすように円ができていて、腰回りが調節できるようになっている。ありがたい、これならゴブリンでも装着することができる。

装着してみると、斜めにすると鞘を引きずる形になってしまう。仕方がないので後ろに縦に背負う形にする。侍みたいに斜めにするのも憧れていたので残念だが、これはこれで気に入った。


「あの…もう大丈夫です。ルイーダとのお別れは済みました」


ダイヤが涙で濡れた顔で帰ってきた。


「そうか、ダイヤ…急になってしまったが、こうなることもあるだろうと用意していた。これはダイヤが旅をするために用意していたバッグと、旅の足しにしてくれ」

オパールさんはバッグからダイヤのバッグと大きく膨らんだ巾着袋を手渡した。


「ありがとう、お父さん」


「母さんがこの場にいなくてよかったかもしれない。ゴブリンと旅に出ると言ったら反対していたかもしれんからな。母さんにもうまくいっておくよ」


そう言って、オパールさんは荷物を背負い、ルイーダの元へ歩いて行きルイーダを抱えた。


「そうだ、老婆心ながらの忠告だが西の島スーノはなにやら良くない噂を聞く。後回しにしたほうがよさそうだ、トーハ君、ダイヤのことをよろしく頼んだよ」


「はい! 」


俺は深々とお辞儀をする。伝わるだろうか…?


「ダイヤ……元気でな。また生きて会おう! 」


「うん…お父さんも元気で」


オパールさんが村のほうへと向かって歩いていく。その姿を俺たちは見えなくなるまで見送ってた。


「良いお父さんだね」


「はい! 」


彼女は満面の笑みを浮かべて大きく頷いた。



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