7-7「砂漠のオアシス」
クシスを離れ森林から草原砂漠とラクダに揺られながら時にモンスターと戦い徐々に進むこと数日、遠くに信じられないものが視界に飛び込んできたとばかりにダイヤが「あ! 」と声を上げる。
「何だあれは?」
「オアシスです、聞いたことがありますがまさか本当に見ることができるだなんて! 」
ダイヤ達の声を聞きバッグから顔を出し様子を伺うと彼女の言うように数キロほど先に青い泉のような水たまりとそれを囲むように高い緑の葉と茶色の木らしきものが数本見える。俺も彼女の様に実際にオアシスを見たのは初めてだ。興奮して思わずダイヤの胴に回した腕に少し力が入る。
「きゃっ、トーハさん! ? 」
「なんだなんだ、また何かされたのか」
「ごめん、つい興奮して」
ダイヤが頬を赤く染めながらこちらを睨むのをスペードがニヤニヤと笑い見つめる。
出発してからこの状況になるのは何回目だろうか。ラクダに乗るも俺は手綱を握りバランスを取ることができないためダイヤの胴に手を回すことを許してもらったのだけれどこれが加減が難しくまず高さ的に上すぎると胸があるのでアウト、下すぎてもダメで力加減もゴブリンパワーを考慮しながら落ちない程度にセクハラにならない程度に抱きしめないようにあくまで落ちないためにしがみつく必要最低限といった力を保たないといけないのだ。
ただでさえHだなんて言われている俺の尊厳に関わるのもあるけれど、うっかり力が入ってもダイヤの身体にダメージが入るのも心配だからだ。とりあえず今回無事そうで一安心……とも言えないな、きっと彼女の中でまた俺のイメージが誤解されてしまったことだろう。
「ところで、目的地はこの辺かな? 」
「どうなのでしょう、生きて帰ったものは誰もいないという話ですし詳しい場所までは……」
ダイヤが首をかしげる。なるほど、これは困った話だ。突如目の前に現れて不意打ちを受けるという可能性も十分にあり得る。用心するに越したことはないだろう。
「じゃあ、とりあえずオアシスまで行って休もうか。次に水分補給ができるのがいつになるかも分からないし」
「はい」
「そうだな」
話は決まり俺達はオアシスまでラクダで移動することになった。
それから数十分後、オアシスに辿り着いた俺達はまず、スペードが下りて敵モンスターと人がいないことを確認し、その後に俺とダイヤがオアシスへと向かった。スペードの合図を元に俺達が葉をかき分けて泉へとたどりつくと、スペードが右手に空になった水袋を持ちながら左手の甲で口を拭っていた。
「かああああ~生き返る~~」
一昔前の親父かお前は……
心の中でツッコミを入れる。どうやら綺麗な泉の水を見て水の心配はいらないと判断して残っていた水を飲みほしたようだ。
「これで数日は持ちそうですね」
スペードに倣い腰をかがめて茶色の水袋に泉の水を入れたダイヤが嬉しそうに言う。
「うん、帰り道もここによれば水の心配はなさそうだ」
「そうだなあ、あとは……」
そう言ったスペードが俺を見る。
「? 」
何を言いたのか数秒遅れて判断する。
彼女は水浴びがしたいのだ! 幾ら少し男勝りなところのあるスペードといってもお年頃、川を見つけてはダイヤが小さくしている洗面器を手に二人で水浴びをしているのである。
「了解」
俺はそう言うと葉をかき分けて砂漠地帯に戻る。
ダイヤも水浴びをしたいだろうからちょっと周囲を探索して時間を潰すか。
そう考えてラクダ生活で鈍った身体をならすために小走りで探索を始めた時だった。オアシスを見つけてからはそこが前になるようにラクダを動かして歩いていたから気が付かなかったが、丁度泉を半周したところで木々は泉を囲んでいるだけではなくも森の様に一直線になっていた。
なんで砂漠を抜けた先にこんな森が……しかし、この森の先には一体何がいるのだろうか?
少しでも手がかりを得ようとした俺は地面を蹴り5メートルほどの木の手ごろな枝に飛び乗るとそこから森の先を見渡す、すると信じられないものが視界に入った。
「なんで、こんなところに……」
思わず驚きの言葉を口にする。
視界には広い森と荒野、そして荒野からモンスターの侵入を遮るための壁と大きな門が見えた。砂漠を越えた先にはニンビギに負けずとも劣らない街が存在していたのである。




