7-6「砂漠へ」
「お、戻ってきたみたいだぜ」
ふと窓を眺めていた店長が声を上げる。ディールとともに窓を覗くと確かにダイヤとスペードの姿が見えた。しかし、彼女たちが手綱を引っ張っているのは……
「あれはバラダっすね? 」
「バラダ? 」
思わず尋ねるもあの大きなコブのようなものを持った四足歩行の動物は俺達の世界では「ラクダ」と呼んでいたのだがこの世界では「バラダ」というようだ。
「でもどうしてバラダなんすかねえ? 」
ディールが首をかしげる。
そうなのだ、ラクダにしろバラダにしろ砂漠を歩く動物でこの旅に必要なのだろうか?
「あ、もしかして次の行き先は西なんすか? 」
ふとディールが尋ねる。
「西? この街の西側に砂漠があるの? 」
「そうなんすよ、とはいっても馬じゃ足が砂に取られたり大量の水分補給が必要だったりで行ったことはないんすけど……」
どうやら砂漠が次の目的地のようだ。だとするとオーブが砂漠のどこかにあるのだろうか? だとしたら砂漠の中からオーブを探すだなんて途方もない話になりそうだが……詳しくは彼女たちに聞くとしよう。
そう決めた俺は数分後、彼女たちと再会し事情を聞いた。
「へえ、そんな凄いオーブが王様の元にあったんすねえ」
「それって売ると幾らになるんだ? 」
「店長~」
「ハハ、冗談だ冗談。そんな魔王も狙っているようなオーブ、店に並べて持ってるってバレた時点で手下に狙われて商売なんて碌にできそうもないものいらねえよ」
話を聞いていたディールと店長が漫才じみたやり取りをする。
「まあ、砂漠ならまたここで会えるので良かったっす」
「とはいってもそう長くは待てねえからな、早く戻って来いよ! 」
「ありがとう」
「行ってきます」
「まあ、ちゃちゃっと戻ってくるわ」
俺達は二人の激励の言葉を胸に刻み込みながら外に出て森の中で颯爽とバラダに跨ろうとするとあることに気が付いた。バラダが2頭しかいないのだ! 俺が王宮にはいなかったので仕方がないことなのだけれどこれでは……
スペードかダイヤか、どちらのラクダに乗せてもらえるか……いやこの流れだと俺が1人で? いやいやそれだとゴブリンの姿を晒すわけにもいかず袋が手綱を掴んでいるというおかしな状況に……となると…………歩きか! ?
俺が一人頭を捻らせているとダイヤと目が合った。
「トーハさん、よかったら一緒に乗りませんか? 」
何という天の助けだろうか。素足のまま日照りの砂漠を歩くのを覚悟したのだがダイヤが乗せてくれると言ってくれた!
「ありがとう! 」
俺はお礼を言うと彼女の広げたバッグの中に入りこっそりと足を広げて跨った。




