6-12「コロシアムへ潜入せよ! 」
街を見てバッグの間からみた俺が印象に残ったのは暖色系の屋根の先にそびえ立つ巨大なコロシアムが存在した。そこを目掛けてスペードと姿を消し透明になったダイヤはひたすら歩く。
道行く人々は正装に身を包んだ者とガラの悪い男と両極端だった。しかし、共通しているのはそれぞれがコロシアムを目指しているということだ。この辺りでは有名なスポットということだろう。
歩くこと数十分、コロシアムに着いたようでスペードが立ち止まると同時にダイヤも止まる。どうやら目的地にたどり着いたようだ。目的地は一般用のコロシアムの入り口ではなく従業員用の裏口だった。
「んじゃ、やりますか」
そういうとスペードは足音も匂いもそんなにしないことから人通りの少ない裏口付近で自分の身体を死角にするようにして自らのバッグを下ろし開く。それに従うように俺はバッグから飛び出る。裏口まで続く道は門と壁で仕切られているのを確認すると大きく地面を蹴りジャンプをした。
「うわああ、ゴブリンだあああああ! 」
俺がさも今壁を跳び越えてきたかのようにジャンプをして着地をするとスペードもそれに便乗するように突如現れたゴブリンに驚くように大声を上げ尻もちをついた。
彼女の叫び声を聞いて周囲から人が逃げていく。人も離れこのまま裏口から人が出てくるまで茶番を続けるつもりだったのだが……
「ゴブリンだって! ? 」
「ここで魔法は街を壊しかねないからまずい、俺に任せろ! 」
困ったことに2名の勇敢な冒険者を呼び寄せてしまった。一人は剣士でもう一人は魔法使いのようだ。
「ゴブリン覚悟! 」
そう言って剣士が俺の頭を貫かんと突きを狙ってくる。
ああ。もうどうしてこんなことに!
嘆きながらも俺はスペードのバッグから蒼速の剣を抜き剣を振るった。
キィン!
剣が掃われ方向が変わり男は壁に勢いよく剣を刺した。
ガキィン!
「…………っう」
しかし壁の方が硬かったようだ。男は涙目を浮かべる。
「すまねえ、実はオレも剣士なんだ。オレがこうして気を引いている間に逃げろ」
スペードが爆炎の剣を抜くと同時に二人にそう言う。
「すまない」
「応援を呼んでくる! 」
2人はそう言って離れていったそのときだった。
「申し訳ありません」
どうやら騒ぎを聞きつけたようで裏口のドアがバタンと開いて30代位の魔法使いらしき男性が姿を現す。
「どうやらここのゴブリンが脱走したようでご迷惑おかけしました」
男性がスペードにそう言うとスペードは顔をしかめた、どうしたのだろうかと振り返ると俺に向けて男が掌を向けているのが確認できた。
「『スリープ』」
しかし、次の瞬間、俺はものすごい眠気に襲われ朦朧として景色が歪む中地面に倒れ伏した。




