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6-11「コロシアムで大儲け」

 スーフォを後にして数日後、俺達はイヴァフの街付近の森へと到着する。イヴァフの街は巨大な壁に包まれていて外からでは中の様子が伺えないようだった。


「どうする? 」


 俺はスペードのバッグの中から二人に尋ねる。その理由は明確だった、別に今回この街に立ち寄る理由はほとんど存在しないのだ。


「どうっつったってねえ、ここまで数日かかったとはいえスーフォから馬車で飛ばせば1日かかるかどうかだろうしギルドの範疇だろう」


 スペードが肩をすくめる。彼女の言うように、ここはギルドからそれほど距離がない、高ランクの者たちがクエストでスーフォ付近にいた魔王の生み出した強力なモンスターのベヒーモスを倒したというのだからこの付近にもいたとしてもそれは彼らにより倒されていることだろう。残るはどこかにあるかもしれないオーブに関してだが……


「それにオーブに関してはこの先のクシスにいるトーイスの王様に尋ねたほうが確かな情報が得られるでしょうし……」


 ダイヤが唇に指を当てて言う。彼女の言う通り、オーブは一般の冒険者からすれば眉唾物の存在だ。町民に聞いても確かな情報は得られないだろう。食料もまだある。つまり、この街は俺達が長居する必要がないといえる。正直なところ、ここまで俺が街を避けるのはほかの冒険者が『顔に傷のあるゴブリン』を求めて来ないかが心配であったためだった。

 もうああやって人間と命懸けで戦うのは御免被りたい。とはいえだ、俺と同じように女性であるこの二人にとって次どこにあるかわからない風呂のために目の前の風呂を逃すなんてのは死活問題だろう。


「それで、この街には何があるの? 」


 とりあえず、適当な理由をつけてそれとなく一泊するように話を誘導しようとダイヤに尋ねる。


「少々お待ちください」


 そういいながらダイヤはポケットに手を伸ばしオパールさんのメモを取り出した。


「えーっとイヴァフに関するメモは……こちらですね。」


 該当ページを見つけたようで彼女は一呼吸置いてメモを音読する。


「イヴァフにある目玉といえばやはりコロシアムだ。このコロシアムは数体のモンスターたちによるバトルロイヤル方式で行われるものだ。この戦いは無償で観戦することができるのだがやはり醍醐味は賭けることだろう。自らの命運ともいえるゴルドを背負ったモンスターを応援するときは熱が入るというものだ。このコロシアムではモンスターがスライムやゴブリンと言った弱小とも言われるモンスターからリザードマンといった手強いモンスターまでが戦闘を繰り広げる。当然、弱いモンスターが勝利した時程多くゴルドを貰える。ここで賭けのポイントとして私が目を付けたのはコロシアム独自のルールだ。1つは殺すことは禁止されているということだ。コロシアム側もモンスターたちを捕まえるのが困難なのだろう。モンスター達の武器は剣士タイプなら棍棒、魔法使いタイプなら最弱の学生が使う杖と最弱の武器を使用するに加えモンスターたちは殺生を行わないように厳しく(しつ)けられており、更にはいざという時にモンスター達を眠らせる魔法使いも会場に控えている。2つ目は場外負けの存在だ。このルールにより例えば同種のゴブリンが協力して他の強力な格上のモンスターを倒すなんていう大逆転が起こったりもする。当然的中した場合貰えるゴルドは格上モンスターが優勝した時よりも多いため格上モンスター1体と弱小モンスター複数なんていう場合には弱小モンスターに賭けてみるのもいいだろう。ダイヤの大勝を祈る……だそうです」


「何というか、オパールさんってギャンブル好きなの? 」


「い、いえ、そのようなことはない……はず……です」


 俺の質問を必死に否定しようとするも徐々に自信がなくなっていったのか語尾が弱くなっていった。


「まあ、とにかく次やることは決まったな」


 スペードがあっけからんと言う。


「いや待て、今の説明の何処に行き先を決める要素が……もしやコロシアムで賭けようなんて言うんじゃないだろうな? 」


 俺がスペードに問いかけると彼女は人差し指を立てた。


「半分正解だな」


「半分! ? 」


 半分ってどういうことだ? 賭ける以外のもう半分っていったい……


 考えても答えは出てこない、するとスペードが立てた人差し指をこちらに向ける。


「ずばり、トオハが出場するんだ! 」


 スペードの声が森に響いた。


「トーハさんがコロシアムに出場するってそれって……」


 俺とダイヤはスペードの提案に面食らっていた。彼女は今、モンスター同士が戦うコロシアムに俺が出場しろといったのだ!


「言ったとおりの意味だ、トオハが出場する。そこにオレがトオハに賭ける。それだけさ」


「いや、待ってくれスペード、俺はこんなゴブリンの身体でいるけどできれば人間らしくいたいと思っているんだ」


 そう、俺は人間らしく戦いたかったのだ。ゴブリンとしてコロシアムに出るというのは釈然としない。


「気持ちは分かるけどさ、今のトオハはギルドで金稼ぐことができないだろ? ゴブリンの身体に苦しめられているわけだ。それならその身体で少しいい想いをしてもいいんじゃねーのか? 」


 スペードが同情を込めた視線を送りながら言う。確かに彼女の言うことも最もだ。俺は今までこの身体によって散々な目にあってきた。ならば、勝てるのか分からないコロシアムに出場するくらいしても良い気がしてきたのだ。


「そう言われると、そんな気もしてくるな」


「だろ、なら早速向かおうぜ! ダイヤもいいだろ? 」


「私はトーハさんが構わないのでしたらそれで……」


 ダイヤが俺の方をチラリと見る。


「そうだな、俺の身体がだんだん大きくなると流石に隠し切れないだろう。そうなると身を隠すためにも鎧を一式買う必要があるからな。あと2国回る必要もあるからその分のゴルドも稼いでおきたい」


「んじゃ決まりだな! じゃあダイヤは透明になってトオハと一緒にコロシアムに潜入、それで出番が来たらオレに教えてくれ。オレは受付にいるからさ……いや待った、ダイヤはもう透明になって貰ってオレがトオハ背負ってコロシアムまで行った方が確実か」


 スペードはテキパキと作戦を指示をするとバッグを背負った。


「んじゃあ、行きますか」


 そういうと2人は街へと歩いて行った。





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