6-2「冒険者ギルドで一波乱」♤
踏破と別れたスペード視点でのお話です。
トオハと別れて街に入りダイヤとギルドへと向かう。
「なあみろよダイヤ、一個一個の建物がこんなにでかいぜ! 」
一軒一軒の家の建物のでかさに加えて窓が幾つもある、きっと部屋が沢山あるんだろうな~
「確かに噴水もあって素敵な街ですね~」
ダイヤも見惚れているようだ。冒険者が集う街にしてはかなりオシャレな街だ。周りを歩いてるのはオシャレとは無縁な武器を持った野郎ばっかりだが。
たまに道にでかでかとある案内板に添って坂を上るとギルドへとたどり着いた。一段とでかい建物だ。
「有名なギルドとはいえちょっとでかすぎねえか? 」
「そうですね、それほど世界から人が来るのでしょうか」
「まあいいか、行くぜ」
「はい」
ドアを開けて中に入ると広いレンガ造りだろうが家具は飾ってある鎧や剣、槍といったもの以外は全て木造の備品で統一されていた。みると受付は1つだけ、広い建物の正体は隣が酒場になっていたことだ。
儲かるだろうけど早くも呑んで酔ってるようなやつが数人いるし揉め事とか起きねえのかこの設計。
と人の心配をしている場合じゃなかった、まあ今まで無事だということは上手くやってるんだろ。それよりも今はオレはオレのやることをやらないとな。
オレは前方にある受付へと視線を向ける。幸い人はいない。
「すみません、オレ達冒険者になりたいんすけど……」
黒髪を綺麗に結んでいる受付の女性に声をかける。敬語を使うのは慣れてねえからダイヤに任せとけばよかったかもな。
「冒険者志望の方ですね、少々お待ちください」
受付嬢はオレの不慣れな敬語を気にせず笑顔でそう言うと何やら書類を取り出した。
「こちらの書類への記入をお願いします」
書類を2枚手渡されたので1枚をダイヤに手渡し記入をする。といっても名前と性別と大まかな職業だけだった。まあいつ死ぬか分からねえ職業だしこんなものか?
「失礼ですが冒険者バッジの方を拝見してもよろしいでしょうか? 」
言われるがまま冒険者バッジを見せる。
「ありがとうございます、それではスペードさんにダイヤさん、こちらが冒険者のランクを示すバンドでございます」
そう言って彼女は赤いバンドを2つオレ達に差し出した。
「おお赤か! なかなかオレに似合っているじゃねえか! それでこれは何ランクなんだ? 」
興奮して敬語すら忘れ赤いバンドを即座に腕に巻き付けたオレに困惑した様子で受付嬢が答える。
「申し上げにくいのですが……赤は一番下の赤等級を示すバンドです」
「あいつ自分で最低ランクがピッタリだってよ、こりゃ傑作だ! 」
オレ達の会話を聞いていたのだろう。酒場からドッと笑いが聞こえてくる。
「気持ちはわかりますが堪えてください」
ダイヤの言う通りだ堪えろ……今は我慢だ。
「他には何色があるんだ? 」
何とか自分を律して受付嬢に尋ねる。
「他のカラーは赤の上が金等級でその上が白金等級、一番高いのが黒等級になります」
「そっか、まあいいや。それよりオレ達さ魔王のモンスター、いや魔王のペットが通称だったか……を倒そうと思ってんだけどそんな依頼ねえか? 」
受付嬢の顔が凍り付くとほぼ同時に再び笑いが起こる。
「申し訳ありません、ランク毎に受けられる依頼に制限がございまして魔王級となりますとSランクの者しか受注することは認められないのです。それに……」
「ったく、とんだ大物ルーキーが現れたものだぜ! 」
突然、プラチナバンドをつけた一人の男が千鳥足でこちらに近付いてきた。
「セカマさん、他の冒険者への挑発等の行為は! 」
「わかってる、わかってる。いや挑発とかじゃなくてよ、オイラァいきなり魔王級討伐したいなんて言い出すそこの剣士様の実力を是非拝見したいって思ってね」
「ほう、オレと勝負したいってか? 」
「いやいや今のオイラァじゃ勝負になんねえよ、おいコール! お前どうだ? 」
「生憎おれにそんな趣味はねえよ」
コールと呼ばれた長髪を後ろで縛っている男はヒラヒラと右手を振る。その手には黒色のバンドが巻かれていた。
「っと、そろそろ行きますかね~いくら今回の依頼が簡単とはいえ暗くなっちゃ面倒だしよ」
「ったく、あんた飲んでないとはいえ真昼間から入り浸るとは流石に余裕こきすぎてやしないかい? 」
白い服に身を包んだこの場に似つかわしくない杖を持った女性が答える。
「へいへい、じゃあ頑張れよ嬢ちゃん! 」
そう言うと男は側にあった槍を素早く手に掴むと外へ出て行った。
「ちぇっ、コールもレイズもつれねえなあ。他に酒飲んでねえ奴はいねえしこれでお開きか」
そう言っておぼつかない足で席に戻ろうとした時だった。ギルドの扉が勢いよく開いた。
「すみません、ここ数日徹夜続きで寝坊してしまいました! 」
腕のプラチナバンド以外赤い鎧に身を包んだ1人の男の騎士が姿を現した。
次回、4月17日投稿予定です。




