5-11「本当の仲間」♤
「うおおおおおおおおおおおおおお! 」
命を賭けた勝負、オレは駆け寄ってくる相手に雄たけびを上げて近寄る。今まで撃ちあいの最初では後手に回っていた亡霊がオレが射程圏内に入っても仕掛けて来ないのを見て刀を上にあげそのまま振り下ろす。
来た……オレにとっての勝機はこの一瞬しかねえ!
亡霊が刀を振り下ろす刹那、オレは手に持っていた銅の剣を投げ捨てた。
これには亡霊も驚いたようで刀を振り下ろすスピードが心なしか遅くなった気がする…………チャンスは今しかない!
オレは刀を包みこむように両手を構える。そう、オレの狙いはただ1つ奴の刀がオレに振り下ろされる前に動きを止めて奪うのだ! 技術で勝てないなら刀を奪えばいい、自分でも笑っちまうほどオレらしい考えだが失敗したら即真っ二つとハイリスクな行為でもある。
すまねえトオハ、でもオレはあの時とは違う。死ぬことへの怖さを知っている。それでも今のオレにはこれしかねえからやらせてもらうぜ。
心の中でトオハに詫びたその時だった。どういうわけか亡霊の斬りがスローモーションに感じた。
一度死ぬことを経験したからか知らねえが、一か八かの時にこれはありがてえ! この速度に刀ならオレは刀の軌道をある程度は先読みしてそこに両手を合わせることが出来る!
オレはスローになっている刀を柔らかく包むように両手で覆い重なった瞬間、一気に力を込めた。
「がっ……おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! 」
刀を両手で挟んだとなっては後は力の勝負だ。だが力の面では刀を振った亡霊の方が有利だから勝負は奴がオレの奇行に驚いているこの瞬間しかねえ!
「こんのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! 」
オレは動きが止まった刀を素早く挟み込んだまま掃う様に腕を右側に引っ張り左膝を持ち上げ鎧の腹辺りを目掛けて蹴とばした。そして鎧が怯み刀を持つ力が弱まるのを感じると一気に引き抜き柄を持つ。ちらりと見ると刀を挟んだ影響だろう、両掌から血が流れていたが今は怯んでいる場合じゃない! オレは奪った刀で仰け反っている奴の人間なら心臓であろう箇所に向かい刀を突き刺した。
刀はこの瞬間を待っていたとばかりに重さを感じないほど軽く、亡霊の鎧を鎧などそこにはないかのように、柔らかいモノを刺した時の様にスっと突き抜け気が付けば貫通していた。そのせいだろう。オレが刀を突き刺した後、鎧はもう動かなかった。
「勝った、勝ったぞおおおおおおおおおおおおおおおおお! オレは、あいつらみたいに魔王のモンスターを1体倒したぞおおおおお! 」
勝利宣言の様に叫ぶとオレは鎧の側に倒れこむ。
「クソ、命を賭けた真剣勝負って勝ったとしても思った以上に体力使うんだな。もう身体に力が入らねえ。バカだなあ、オレは……せっかく魔王のモンスターを倒してあいつらの本当の仲間になれたっていうのによ……」
意識が朦朧として「ここで炎の焼かれておしまいか」とすらも言うことが出来なくなったオレが力なく笑ったその時だった。
「何言ってるんだ、始めから仲間だろ? 」
直ぐ近くで聞きなれた声がする。
間違いねえ、この声はトオハの声だ!
オレは最後の力を振り絞り目を見開き焦点を合わせるも視界に入ったのは見慣れた緑の身体だった。何かの間違いか赤いオーラみたいなものが見えるけれど間違いねえ、トオハの姿だった。とはいえだ、思えばダイヤの声は聞こえねえし避難したのだろうがあいつだけが避難してトオハが避難しないなんてことはダイヤの性格からしてあり得ねえ。
幻覚、か。どんな悪戯かオレのあの世への迎えがトオハの姿で来たってことなのか? まあそんなことはいいか、幻覚だろうが迎えだろうがどうせ死ぬんだから相手がトオハだと思って言うべきことは言っとかねえと。
「なあ、みてたかよ。オレがあいつを倒すとこ」
「ああ、みてたよ」
「そっか、どうだった? 」
「どうって…………格好良かったよ」
幻覚はサービスなのか本物のトオハみたいに答える。
「良かった、最後にお前にオレの格好いいところを見せることが出来て……短い間だったけどよ、お前らとの旅楽しかったぜ」
「何言ってるんだ、まだこれからだろ! 行くぞ! 」
意外にも幻覚のはずのトオハは声を荒げてそう言うとオレを持ち上げた。




