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8.事案じゃないのよ

皆さんは、日の出の時間に起きて、

外に出たことがお有りだろうか。


まるで夜の間に世界中の空気を

新しいものに交換したかのような

澄み切った空気を思い切り吸い込むと、

新鮮な気持ちで1日のスタートがきれますよ。


ここで重要なのは

寝るときは屋内で、ということです。

決して、気まぐれに

外で夜を明かしたりしてはいけませんよ。

するにしても、温かい服と毛布くらいは

準備しておきましょう。


「えぁっくし!!」

死ぬかと思った・・・。

野宿の知識なんてないし、

せめて風のあたらないところで

寝たかったけど、

地上だと誰かに見られる

可能性があるからな・・・。


結局、庭に木のあった

適当な家の屋根の上で

一晩明かしてしまった・・・。

木登りなんていつ以来だ?


明るくなって、

スーツの傷や汚れが目立つ。

替えの服もないし、

これでギルド行くのか・・・。

最悪だ・・・。


ぐうううううううぅぅ・・・


盛大に腹の虫が鳴る。

昨日は昼から何も食べてないからな・・・。

超・・・最悪だ・・・。


(『きっといいことありますよ!』だと?)

あのお姉さんの笑顔に段々イライラしてきた。


「なぁにがいいことありますよ!だ!!

いいことって何だ!

爽やかな朝を薄着で迎えて

元気よく風邪でもひけってか!

あぁいいよそしたら死んでやるよ!

死ねば風邪だって治るもんな!

あぁっははははああああぁぁ!!」


静かな朝に、俺の元気な声が響いた。


「ウルサイです!

人の家の上で何叫んでるんです!

降りてきなさいですよ!」


下の窓から女の子が顔をのぞかせる。

ちっちゃい女の子に怒られた。

やばい、かなり恥ずかしい・・・。


「で?

こんな朝早くから屋根の上で

何をしていたですか?

もしかしなくても泥棒ですか?

せめて時間を選んでくださいです」


「いや、泥棒前提で話を

進めないで貰える?」


エレスと名乗る少女は、

家に入れてくれただけでなく

温かいお茶まで出してくれた。


いい子だな・・・

でもかなり心配になるな・・・

少しは用心したほうがいいんじゃないか?


少女の警戒を、

さてどうして解いたものかと考えつつ、

冷え切った体に温かいお茶が

じんわりと沁みていくのを感じた。

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