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4.大丈夫、また犬は出すから

「おい、見えてきたぞ」


1時間ほど歩いた頃

前方に街が見えてきた。


ようやく人に会えそうだ。

まずは情報・・・宿・・・

あ、この世界のお金がないな。

どうしよう。


「じゃあな、サブロー」

「誰が犬だ!」

「どうした急に!?」

実家で飼っている犬の名前で呼ばれて、

反射的につっこんでしまった。


そういえば何故か

偽名を使っているんだった。

結局なんだったのだろうか?

あれから何度もつぶやいて確認したが、

やはり自分の名前を言えない。


まぁ異世界に飛ばされたくらいだ。

これも何かの力が働いているんだろう。

そう思うことにした。


「あ、すいません、実家の犬が

サブローって言うんです」

これは正直に言えるのか・・・?

おそらく何か基準があるのだろう。

後々確認していくことにしよう。


「お前・・・犬に自分と同じ名前つけたのか」

「えっと、親が」

嘘を嘘で成立させる。

最低の気分だ。

天国のおばあちゃんに睨まれた気がする。

あ、地獄か?


って、あれ・・・?

今、じゃあなって言った?


「一緒に行かないんですか?」

「は?」

理解できないといった具合に首をかしげる。

かわいい。写真撮っていいですか?

最近スマホに変えたんで

超高画質でいけますよ。


「何を言っているんだ?

魔物が人間の街に入れるわけ無いだろう」

「あ、そうですよね」










時間が止まった。


え?魔物?魔物って、あの魔物?

倒すと経験値とか貰えるモンスター的な?


え?何?

魔物に道案内してもらってたの?


勘弁してよ。

せっかく異世界に来たのに

もうこの時点で勇者とかにはなれないよ?

だって絶対斬れないもんボルガさん。

恩人だもん。あれ、恩犬かな?

いやもうどっちでもいいや。


「ソウッスヨネー・・・」

「おい、大丈夫か?」

心配された。魔物に。

もう無理だわ。

少なくとも犬系モンスターは無理。


「ダイジョブっす」

「そうか、まぁ、元気でな」

「ボルガさんもお元気で」

「魔物に『さん』なんて

つけてんじゃねぇよ」

あ、ちょっと笑った。かわいい。

「じゃあな」


お別れもそこそこに、

ボルガさんは、振り返らずに行ってしまった。


また会えるといいな。

だってこの世界に来て、初めての友達だし。

・・・ちょっと一方的な感じがするけど。


「さて」

街を見る。

まだ少し距離はあるが、

遠目で見ても中々に活気がありそうだ。


(お金なし、知り合いなし

家族なし、住所不定、無職・・・)


「やばいよなぁ・・・」

口が歪む。

今、多分かなり気持ち悪い

ニヤケ顔になっていると思う。


燃えてきた。


昔から逆境には強い方なんだ。

異世界だろうが何だろうがやってやる。


進太郎は息を目一杯吸い込み、

異世界様に宣戦布告を仕掛ける。


「天野三郎です!!

よろしくお願いいたします!!!」


・・・忘れてた俺が悪いのか?

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