プロローグ
ついに投稿してしまった……!
よろしくお願いします。
少年は不規則に襲いくる振動に転びそうになりながらも、ひたすらに走っていた。幼馴染みの少女が遅れないように手を引きながら、先行する両親を見失わないように。そんななかで、頭の中は一つの疑問で埋め尽くされていた。
ーーあれはいったい何なんだ?
走り続けながら視線を窓の外に向ける。そこには二階建ての建物を軽々と破壊している巨大な……おそらく生物と思われるものがいた。
理解の範疇を超えている。短くはあるがそれでも十七年生きてきた人生の中で、あんな生物が存在するなんて聞いたこともない。ましてや見たことなどーーとそこまで考えたとき頭の中で微かに何かが引っかかる。どこかで見たことがあるのだろうか? ……いや、そんなはずはない。
その顔は醜悪で、大きな口は人間など簡単に食べられそうだ。背には翼のような物もあり、おそらく飛ぶこともできるのだろう。その姿はまるで、物語に出てくる悪魔のようだ。
だが今は二本の足で大地を踏みしめ、その豪腕を振るい破壊をまき散らしている怪物たち。その数は時を追うごとに増えていた。
襲いくる振動も徐々に強まってくる。この建物もどこかであの怪物が暴れて破壊しているのだろうか。とりとめもなく考えながら走っていると、一際大きな振動が襲いくる。
「きゃっ!」
少女が振動に足を取られ転びそうになる。少年は咄嗟にその体を支え、声をかける。
「大丈夫か!?」
「はあ……はあ……うん、大丈夫。ありがと」
息を切らせながらもしっかりと答える少女。
「よし、なら行くぞ」
そう言い、再び手を引いて走り出す。少しして視線だけを少女に向け様子を確認すると、濃い疲労の色と隠しきれない恐怖が見てとれた。
それも仕方のないことだろうと思う。あの巨大生物の襲撃から避難するために走り続け、そしていつ矛先が向けられるのかもわからない。自身も疲労に恐怖もある。だが、目の前の少女を守るという思いが体を動かしていた。
「二人ともあと少しだ! 頑張ってくれ!」
前を走る両親から声がかかる。その言葉を信じ更に足に力を込めたときだった。唐突に繋いでいた手が引かれ何事かと振り返る。すると、そこには崩れる床と共に落ちていく少女の姿があった。
「なっ!?」
無我夢中で少女の手を引き、お互いの位置を入れ替え手を離した。すると必然、崩れる床と共に階下へと落ちていく。
「そうちゃん!」
今度は少女が助けようと手を伸ばすが、その手は何も掴むこと叶わず空を切る。そして少女の顔は絶望に彩られる。少女にそんな顔をさせてしまい悔しく思うも、どうすることもできなかった。
そして落ちながら、少年はふと今までのことを思い出していた。
……あれ? これってもしかして走馬灯!?
お読みいただき、ありがとうございました。