前世持ちの俺にかつての宿敵が来た結果
どうも。
四歳から前世持ちの木宮琳です。
某掲示板に過去の言葉を乗せたらまさかの同じ世界の前世持ちに出合い再会の場を設けたらさらにまさかのクラスメイト全員が前世持ち(しかも全員知人)という衝撃の事実が発覚した後。
俺は全くもって前世と変わらない日々を過ごすはめになりました。
え、どういう意味か、って?
それは…。
「芽依!今日も可愛いな!愛してるぜ!」
がしっ。
「うざいわ。仕方ないわね」
「…………………………………………………香奈」
ぎゅー。
「ふあ!?り、龍くん…。恥ずかしいんだけど…」
主にこいつらのせいです!
あの日から黒崎双子がかつてのイッチャイチャを繰り返しやがってンですよ!
ちなみに今授業中な!
そしてそれに触発されたクラスの他カップル達もこっそりにしては大胆にイッチャイチャしてんだよ!
「お前らいい加減にして真面目に受けやがれ!」
俺は立ち上がり青筋を立てて叫ぶ。
それに俺の彼女以外全員が反応して少し静かになる。
「黒崎双子!お前らこれ以上騒ぐなら席離させるぞ!」
「「いや、お前決定できないだろ」」
「馬鹿め!教師陣からこのクラスはある程度決めていいからと言われてるわ!」
「「な!な、んだと…!?」」
衝撃の事実発覚、的な顔すんな!
知ってんだろーが!
お前らこれ何回目だゴラァ!
見ろ壇上の国語教師を!
涙目で俺に切実に投げ掛けてきてんだぞ!
最近はなんだか君にしか制御できない!と教師陣に言われこのクラスのリーダー的な事させられてます。
クラス委員は翔の筈なのにな!
つーかこのクラス劇的に変わりすぎなんだよ!
なんで次の日にはクラス全員カップルになってんだ!
しかも男女それぞれクラス内で!
いや、俺とバカップル二人と他五カップルは分かるよ!?
前世で夫婦だったし!
だがその他十二カップル!
なんでいきなり付き合いだした!
『だってこんなのを共有できるのはこのクラスメイトぐらいじゃん』
ごもっとものことを言われた。
そりゃあ、前世なんかあるのはこのクラスぐらいだろうけど。
お前ら変わりすぎなんだよ。
お陰で晴嵐高校七不思議に数えられたぞ。
【突然全員バカップルになったクラスと何故か制御できる取り仕切り役、木宮琳!】って校内新聞書かれてたぞ。
俺は進んで取り仕切ってるんじゃない!
こいつらがバカップル過ぎるからだ!
「お前らな。いい加減にしないと殴るぞ。物理的に」
「おー、それじゃ静かにしてねぇとな。お前の拳骨母さん並みにすっげぇ痛いし」
「(コクコク)………オカン拳骨は痛い」
『ぶふぅ!』
よし。
黒崎双子てめぇら絶対後で殴る。
てか国語教師!
あんたも笑うなよ!
「くっ!オカン拳骨って…(笑)」
あ、藍那は笑っていいぞ。
俺の愛しい彼女だからな!
『お前も充分バカップルの一人だろ!』
当たり前だ!
藍那は宇宙一可愛い俺の彼女だからな!
けどお前らみたいに授業中イチャついていないから!
まだマシだから!
『…うっわぁ』
うるせっ!
最近はこれが晴嵐高校1-3の日常になってきていた。
周りのクラスもドン引きながら理解してきたそんなある日のこと。
移動教室の為廊下に出た俺の前に一人の男が立ちはだかった。
誰だっけ?こいつ。
「コーヴェル・ブランデル!此処で会ったが百年目!決闘を申し込む!」
『いや、誰だよそれ』
廊下に居るクラスメイト以外の生徒の突っ込みが入った。
まぁ、俺の名前は来宮燐だからな。
そんな俺に向かってコーヴェル・ブランデルって言うんだから誰だよとなるわ。
実際は俺の前世の名前だけどなー。
って、ん?
なんでこいつが俺の前世の名前知ってんだ?
「コーヴェル・ブランデル!俺が勝てばシエルは戴くぞ!まあ貴様ごときに俺が負けるはずなグホォ!」
おっと。
ついつい蹴り倒しちまったわ。
でも仕方ないよな?
藍那をよこせとかのたまりやがったから。
蹲り呻く男を冷たく見下ろす。
「ぐふっ…。あ、相変わらず鋭い一撃だな…」
「つーか誰だよお前」
「なっ!貴様!俺を忘れたと申すか!?このコーヴェル・シルゼルフ改め丘崎燐を!」
コーヴェル・シルゼルフ…。
あ、思い出したわ。
前世でなにかと俺に突っ掛かってきた同名の馬鹿だ。
同じ名前だから面倒くさかったんだよなー。
シエルの幼馴染みでシエルのこと好きそうだったし。
まぁ、俺がシエルと結婚したんだけどな。
つーか、今世でも名前一緒なのかよ、面倒な。
「つーか、お前馬鹿じゃねぇの。俺の名前は来宮燐だから」
「くっ!今世も名が同じかっ…!」
いや、そうだけどよ。
お前何前世話しちゃってんの?
これ、ただの頭おかしい人だろ。
「しかしコーヴェル・ブラ「だから俺は来宮燐だっつーの!」グボゲェッ!」
今度は腹へ渾身の一撃をかます。
なんか最近俺、暴力気味になってる気がするわー…。
これはあれだ。
前世に引きずられてんのかもな。
主に上司二人のせいで鉄拳制裁が多かったからな!
今もその二人のせいで鉄拳制裁多くなってるし。
「なぁ、丘崎。俺お前になんかしたかよ?」
俺は丘崎燐と名乗った今現在廊下に沈んでいる男に問いかける。
が。
「……………………………………………………」
返事がない。
ん?
もしかして意識逝ったか?
「おーい」つんつん。
教科書でつつくも返事がない。
「燐…。お前ついに殺っちまったのか…」
「いつかやるとは思っていた」
おいそこの双子。
恐ろしいものを見たような顔してんじゃねぇ!
因みにこの双子は俺の後ろにずっと居た。
「燐ごめんなさい。実は、丘崎燐は私の幼馴染みなのよ」
同じく俺の後ろに居た藍那が丘崎について話した。
なんでも丘崎は今日の朝藍那に告白したが俺と付き合ってることを伝え断ったらしい。
そしたら俺に決闘を申し込むとか言い出したとか。
なるほど。
それで二限目前の休憩時間に来たのか。
「今までコーヴェル・ブランデルなんて言ってなかったのになんで突然…?」
藍那の呟きから察するに今まで前世の記憶は全く無かったらしいな。
多分フラれたショックで思い出したとか?
俺との因縁ありすぎだろうし、こいつ。
前世では名前が同じで好いてた幼馴染みのシエルは俺と結婚して。
今世でも名前が同じで同じく幼馴染みだったシエル改め藍那は俺と付き合うとか、なぁ?
前世からの因縁引っ張りすぎじゃね。
まぁ、色々あるだろうがこの気を失っちまった先生への言い訳とか考えないと。
周りに結構目撃者いるし。
あー、憂鬱だ。
そんなことを考えつつ溜め息をついた俺は思い知る。
丘崎がこんなことでめげない面倒くさい奴だということを。
この日から毎日俺に決闘を申し込み撃退しても撃退しても突っかかってくるとを。
ただでさえ双子とクラスメイトで充分なのに丘崎も追加され辟易する毎日が繰り返されることになり、ついでにこの出来事により俺は学校全体にて逆らうな、危険と不良達より恐れられる羽目になることを。
藍那は渡せねぇけど面倒くさい!