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虹竜学園の劣等生  作者: 麗羅
能力覚醒編
7/26

閑話.帰り道にて

学園の見えない所までテッちゃんはノンストップで走った。ちょ、そんなに速いといくら体力あっても疲れるって。

「あかりさん、急いですみません。

ですが、僕を見ると走って寄ってくる駄犬……失礼。黄田くんがあかりさんに失礼な事を言うとムカつくので急いでました。

………あの、マジバ寄ってもいいですか?」

『なんだ。……私のこと考えて急いでくれてたんだ、ありがと。

いいよ、寄ろう。バニラシェイク奢る約束だし』

ちょっとおどけて言うとテッちゃんははにかんだ。

………顔がいいし、可愛いより綺麗に見える。う、羨ましいなんて思ってないもん!!こんな優しい友人にちょこっとムッとした自分が恥ずかしくなるじゃんか!!


で、マジバでバニラシェイクとアイスティーを買って人が少ないところで待っていたテッちゃんの所に戻る。

「あの、あかりさん。いきなりで悪いんですが、昨日、変わったことありましたよね」

テッちゃんや、語尾に疑問符すらないよ?鋭すぎない?

私は出来るだけ平常を装う。テッちゃんはアナライズ(解析)は持ってないけど、異常なまでに人間観察が得意だからね。

『どうして?』

「いつもに増して、朝から嬉しそうにしていましたし、カントクにテレポート使えることを読み取られてしまったにしては落ち着いてました。更に」

テッちゃんは私のブレザーの胸ポケットを指差す。そこには小型化したシオくんがいるのだ。もしかして、見えてたりする?

《バレてること前提で聞くが、教えるか?》

《バレてたら、テッちゃんには言ってもいい?》

《あかり様のお好きなようにして構いませんよ。私達は貴女の進む道に口出しなんてできません》《だな》

二人はばらしてもいいようなので、テッちゃんが見えてるなら教えようと決める。

「そこに青灰色の犬がいるように見えて仕方ありません。もしかして、召喚も持っているんですか?」

確定だ。見えてる。さて、ここじゃあちょっと言いにくい。ランくんの時空に連れていって貰った方がいいかも。

《あかり様の御心のままに》

『テッちゃん。場所変えていい?ここじゃあちょっと』

「構いませんよ」

『じゃ、行こ?』

私達は飲み終えたカップを片付けて、鞍碼神社に向かった。


神社に着くと、ランくんが手早く空間を変えた。(ちゃんとちょっと飛ぶよ?と声かけてからだからね?!)この神社に人が来るのは正月とかの行事の時だけだから、人に見られる心配がないし。

テッちゃんは転移したのに酔いが来ないからか、行きなり平安時代みたいなところに飛ばされたからか、いつものポーカーフェイスが崩れていた。ビビるわなww


私が何の躊躇いもなくすたすた歩くので、テッちゃんは直ぐに我に返って着いてくる。案内するのは私が二人と盟約を結んだあの部屋だ。

『行きなり飛んでごめんね。テッちゃんの疑問に答えるにはマジバじゃ人が多すぎるからさ』

「…………もしかして、」

テッちゃんは何となく想像がついたらしい。察するの上手いもんね。

『シオくん、ランくん出てきていいよ』

シオくんは大型犬サイズになり、ランくんは隠行を解いただけらしい。下級とは言え、神を使役しているのがばれないようにとの配慮だろう。

「召喚ができたんですか?

 …………いえ、あかりさんの場合、色んな先生が頭の良さを買って退学にならないようにしてましたから、巫祇の方が可能性が高いですね」

テッちゃん流石。中等部から一緒に行動してただけはあるね。正解だ。

シオくんとランくんは驚いていたけどテッちゃんならできて当然と言う確信があった。

「あかり様のご友人はかなり鋭い方なのですね」

「俺らについて、他言はしないでくれ。お嬢が危なくならない限り出てくるつもりはねぇーから」

「先程の話で落ち着いていたのは、こちらの能力の方が知られては困るからだったんですね。大丈夫です。言いふらすなんて絶対にしませんから」

テッちゃんは神妙に頷いた。

触れて欲しくないところを触れてこないからこそ、テッちゃんには何でも話せるのかもしれない。今更だけどね。

ここで白くんがお茶を淹れてきてくれた。私達は礼を言ってから口に含む。で、一息ついてから二人をテッちゃんに紹介する。

『狼の方がシオくん、童姿の方がランくんね。

 因みにお茶を持ってきたのは白くんって言って、この空間を作ってる人の巻属で違うんだけど、昨日盟約結んだばかりなんだ。』

「ま、宜しく」「主様を宜しくお願いしますね」

二人は改めてテッちゃんに挨拶をした。テッちゃん、つられてお辞儀するとか礼儀正しいわ〜。


紹介も終わって、私は一番困ってることをテッちゃんに聞き出されていた。

『うーん。………力の制御を当日までにどうにかできないかなぁってことかも。文献見つかんないし』

そう肩を竦めると、テッちゃんはハッとしたようだった。

え?何か策があったりするの?テッちゃんは少し躊躇いながら口を開いた。

「……今週末空いてますか?」

『?うん。暇だよ、なんで?』

「うちの家系は巫祇が何人か出ているんです。古文書に制御の仕方が書いてあった気がします。うちに来てそれを読みますか?」

え、あるの?

っていうか、こんなにあっさり文献が見つかるって凄い人と友達だったってこと?

『読んでいいなら読みたい。お邪魔していいの?』

「………分かりました。僕から母に伝えておきますから二千円くらい用意しておいてください」

電車で行くのかバスで行くかは分からないけれど、公共の交通機関を使うらしい。たぶん私が移動酔いを起こさないようにと言う配慮もあるように思う。

「では、送りますのでこちらへ。白、後片付けを頼みます」

「了解です」

白くんが片付けてくれるらしいので、私達は再び神社に戻った。


「ここからは飛ぶので大丈夫です。あかりさんも気を付けて帰って下さい」

『うん。また明日』

テッちゃんは私に微笑みかけてシオくんとランくんをみた。

「セイさん、シオさん。あかりさんのことお願いします」

《言われるまでもねーよ。坊主こそ気を付けてな》

シオくんはなかなかに男前なことを言ってたけど、テッちゃんは私が飛ぶまで見送ってくれた。テッちゃん、君はどこまで紳士なの。


家に帰って色々してたら、既に午後11時である。寝る前にリビングに行くと二人はどことなく、ご機嫌だった。

『テッちゃんっていい子でしょ。みっちゃんもだけどさ』

「お嬢の選んだ友達で悪い性格な奴はいねぇよ」

「巫祇というのは、無意識に穢れを避けるものですから」

そういうものなんだ。

………確かに思い返してみれば、私の周辺人物が何か大きな事件を起こしたことは一度もなかった。

「ま、お嬢の力のことを知ってる奴が一人でもいりゃー、お嬢が抱え込むことはねぇな」

「確かに。黒羽殿は人をよく見ているようですし」

テッちゃんを褒められて、地味に恥ずかしくなった私は自室に戻って早く寝ることにした。

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