表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹竜学園の劣等生  作者: 麗羅
能力覚醒編
3/26

3.竜と狼との盟約

取りあえず、巫覡の能力があるかどうかの話はさておいて、話だけでも聞くことになった。

「んじゃ、手っ取り早く説明するぞ。

 俺ら神の卷属は今色んなめんどいことに巻き込まれてんだよ。

 例えば、どっかのバカが、神の眷属を召喚できるようにしようとするとか色々な。俺らはお前らの強さを示すステータスじゃねぇのに。

 俺らも仕事あるっての!!」

召喚契約は、自分の召喚獣やら本人の力でその召喚相手を納得させて、もしくは無理矢理自分の軍門に下らせるようなものだ。そのため、所属を完璧に召喚主に決めてしまうので、祀っている神社などから引き抜かれてしまうらしい。

おかげで、神の代理人として仕事をこなすメンバーが減ってしまい、神に人界の様子を伝えたり、願いを叶える手助けをしたりすることも今まで以上に出来ずにいるんだって。


そんな一方、巫覡の盟約は、盟約を結んだとしても奉る側面のほうが大きいらしい。まあ、巫女が神の眷属に御力をお貸し頂きたい、と頼み込んでいるようなものだからね。

趣旨が違うから相手の意思次第で巫覡の盟約は断られることもあるし、急に盟約違反だと言われて切られることもあるそうだ。

更に、盟約を結んでいれば一方的に召喚契約を結ばれることもないとなこと。

まあ、当然かな。倒そうとしている相手は巫女に神様として祀られている存在(もの)。たかが、力の無いに等しい人間には縛れる筈がない。ぶっちゃけ、召喚獣なども神の気配を感じとって手を出したがらないんだってさ。


「勿論、それだけではありません。

 召喚獣という獣に神の卷属を陥れることで、我々の主の力を削ごうと目論んでいる者もおります。

 この世界に神など必要ないと仰る方は後を絶えませんからね。

 ですが、巫女たる貴女が我々を利用して神の卷属を下せば、彼らは人間の元から自身の元居た(やしろ)に帰ることも可能となります。

 それほど、巫女と神の繋がりは頑強なのです。たかが人の子が作り出した頸木を壊してしまえるほどに」

………巫覡って、そんな力もあるのか。そりゃ、色々な機関から命だの身柄だのを拘束されそうになるよね。

召喚契約ぶったぎっちゃうとか、どこの魔女の”破却すべき○ての符”(ルール・ブレイ○ー)だ。(ネタ、分かるかな?)

「当然だろ。神の力を一番引き出すのは本人の次に巫女の仕事だ。

 召喚は主の力に合わせてやんだから、全力は出せねぇよ。縛られてるかんな」

本気のご本人登場ができるのか。チートじゃない?

召喚よりも巫覡が希少価値高い能力になるわけだ。(巫覡の力を持っていたとしても神様が気に入ってくれる人の方が現代には少ないだろうし)

って、魔狼さん今心読んだ?

「更に言やぁ、急に従えなんて言われて誰も力を貸そうなんて思いやしねぇ。

 その点、巫祇との盟約はこっちから頭下げん時もあるし気に入った奴と結んでんだ。自分の持つ力以上に貢献したいって思うのは道理だろ?」

そう言い切る魔狼さんはかなりイケメンだ。(心読んだけどね。スルーよくない)私の疑問が尽きたと思ったのか、話す内容はそれだけだったのか清龍さんはその水色の瞳で私をじっと見据えた。

……自然と背筋が伸びる。

「貴女のお力をお借りできませんか?」

『…………仮に盟約を結んでも、私にデメリットはありませんか?』

本人たちの目の前でこんなことを聞くのは馬鹿だって?

強い力が得れるだけで飛び付くなんて、バカな人がすることだ。(某飛翔に出てくるキャラを否定してるみたいだけど、私は某飛翔は好きだよ?)

利益と損失のバランスが取れなかったら意味がないじゃないか。出来るだけ、考察の材料は欲しい。


だって、叶えたい願いがあるのだから。


到達点に達しえないのなら手に入れても仕方ないでしょ?

私の現状が切羽詰っていても、兄を見つけ出すまで……いや、見つけてからも一緒にいたいんだから、命を懸けろとか言われたら絶対に却下だ。

「有るこた有るわ、でもたいしたもんじゃねーけどな。俺らはそんなの必要ねーと思ってるからな。

 …………ま、簡単に言や、男女交際禁止が多いな。それで盟約違反つって、切る奴いるし」

「我々は、恋愛だのなんだの、自然の摂理ですから気にしませんが、デリケートな方もいますからね」

…………神様なのにそんなんでいいの?

更に言えば恋愛を自然の摂理ですからと言い切られるのもなんか切ない。

………ぶっちゃけ、年齢=恋愛経験な私からどうでもいいのだけれど。

『……それだけ?』「それだけ」

魔狼さんは、私の言葉に頷く。


…でも、それだけじゃ、安心できない。

私はもう一つ、気になっていることを尋ねる。

『神様側に引き摺られない?』

「おや、詳しいですね。

 大丈夫ですよ。神気は契約の場合のみ、我々を使う度に体に取り込まれます。が盟約の場合、白」

「はい。見つけて参りました」

白くんは何やら桐の箱を持ってきた。それを向かい合っている私達の中央に置く。そうして、白くんはチラリと清龍さんを見、清龍さんが頷くとそのまま箱を開けた。

箱の中には桃色や水色、薄紫色に白、そして漆黒の小さな石を連ねた可愛らしいブレスレットがあった。


「此方は我々が集めました力の篭っている石で作りました。

 これが巫覡の体内に入ってしまった神気を吸いとってくれます。

 溜まりすぎた場合は我々が取り出せばいいだけの事。決して貴女の体に神気を溜め込み、人間の軛から出すことはありません。ご安心を」

巫覡って、至れり尽くせりですね。

………でも、私からしたらかなり有難い。たぶん、これ以上の想定できる最悪はない、はず。(巫覡として狙われる以外は)

私は再度二人にしっかりと目を向ける。


…………………覚悟なら、もう決まった。


『………判りました。貴殿方のお話、全てお受け致します』

「それでは、我々に名を付けてください。後はそれだけで盟約は結ばれます」

ハヤッ!!

え、名前付けて神様を縛っちゃっていいの?契約と大差なくない?

「大差有るぞ。

 ……今まで心読んでて悪かったな。これもある意味試練だったんだよ。

 俺らと言葉を交わし、心も交わす。ま、それが盟約を結ぶ第一歩だったわけだ」

やっぱり読んでたんだ。………読んでたこと全然悟らせない当たりさすがは神様。これでもかなり強いテレパスだと思ってたのに。神にはやはり勝てないらしい。(勝つつもりなんて更々ないけど)


名を着けろと言われて、改めて、二人をじっと見つめる。

名は体を表し、心を映し出すものでもある。変な名前を呼ぶことは失礼だし、しっかり考えなきゃいけない。


私の頭にフッと浮かんでくる名前があった。どちらとも、二人の雰囲気や外見のイメージにもぴったりだ。………これにしよう。

『………では、清龍さんは青嵐(セイラン)、魔狼さんは紫音(シオン)で』

「まじかよ………」

「なかなか、我々の主は勘がよくていらっしゃる」

ん?…………まさか、真名(しんめい)だった、とか?

え、縛っちゃ駄目な名前だった?え、嘘でしょ!?

『駄目、ですか?』

「あぁ、大丈夫ですよ、我々が主から賜った名と文字が違うようですから」

危ない所だったらしい。真名(しんめい)で縛ったらよくないしね。

「さてと、盟約も済んで、俺らの主になるわけだ。敬語は外していい。

 つか寧ろ外せ。むず痒いから」

シオくんはどうやら堅苦しいのは嫌いらしい。ランくんは苦笑していた。

『…………わかった。宜しくね、ランくん、シオくん。

 改めてまして、私の名はあかり、月見 あかりって言うの。よろしくね』

「あかり様、ですね。

 …………では、あかり様、仕上げにこの腕飾りに貴女の血を一滴つければ終了です」

白くんは懐から短刀を取り出した。そして私にどうぞと手渡す。

私はそれを鞘からそっと抜き出し、人差し指にちょこっと当てる。

瞬間、火に触ったかのような痛みと共に血が珠のように出る。

ランくんが箱からブレスレットを取り出して私の前に置いてくれた。ブレスをスッと持ち上げて膝に。何故か勝手に指が動く。あたかも何か見えない手に導かれているようだった。

血文字で何らかの梵字を描き出し、指が離れると同時にブレスレットは光を放った。


光が収まると水色の石には龍の、薄紫色の石には狼の模様がそれぞれ浮かんでいる。

「これで盟約の儀は終了です。我々の力は全てあかり様に御貸し致しましょう」

「お嬢、俺らは出来るだけお嬢の傍にいたい。

 お嬢は自覚ねぇみてぇだけど、お嬢の持つ力はそこら辺の悪霊や力のない神からしたら垂涎の的だ。

力の増強にはもってこいだしなぁ、生娘の何かを喰うの。

お嬢を守るためにも狼姿とそこの白みたく童子の姿で常に傍にいていいか?」

えっと、プライバシーさえ守って貰えればいいのだけれど………。たぶん、二人なら大丈夫だろう。

でも、この(やしろ)は大丈夫なのだろうか。

「今、あかり様の前におりますのは私だけですが、この神社には後五柱、高於加美神の卷属が居りますからご心配には及びませんよ。

私なら、この空間にいつでも繋げることができますから」

なんて力の強い龍を成り行きとは言え、従えてしまったのだろうか。

「ま、これから頼むな"主殿"?」

今さらだけど、前途多難な気がしてきたぞ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ