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虹竜学園の劣等生  作者: 麗羅
能力覚醒編
2/26

2.鞍碼神社での出逢い

午後の授業(今日は実技)のため、私は少し急ぎ足で第5体育館に向かう。

まあ、Dクラスだからか、結構緩い。出席悪くても構わない、みたいな訳じゃないけど、ちょっと諦めが入ってるからかな?

正直、退学の知らせを受けてやる気が出ないので、今日は早退させてもらう。(こういう時、優等生は便利だ)…………明日は出るもん、今日くらいいいじゃん。


足早に体育館から帰路に着くと校舎の近くに漸く辿り着く。私だって、何だかんだこの学園を気に入っているから、退学は御免だ。

どうしたものかな…………

ドンっ!!

『うわっ!!す、すみません!!大丈夫ですか!?』

前を見てなくて、赤い髪の男子にぶつかる。ぶつかった衝撃でこけかけたけど、彼が支えてくれて事なきを得た。

彼は手を解き、私に怪我がないのを見て口を開いた。

「ああ、平気だ。それより前を見て歩かないと危ないだろう」

『すみません……。以後気を付けます…』

彼は満足そうに綺麗に笑う。

そこで漸く、私は彼のネクタイピンが青いことに気付く。同い年だったのか。

私は驚いたことを隠して礼を言い彼と別れ、人気の無いところで家の近くの神社に飛んだ。


〈SIDE A〉

先程ぶつかった女子は足早に立ち去っていったが、僕の足元に何かを落としていった。拾ってみるとどうやら学生証らしい。

……1-B 月見 あかりと書かれている。能力的落ちこぼれで有名な子であった。

しかし、噂は当てにならないと謂う話は本当だったらしい。彼女からはかなり強い能力を感じた。それだけでもAの力はあると思うが、気づいてないだけであろうか…。

「赤城っち〜、そろそろ戻ってこいって緑川っちが…。ってあれ?なんか良いことあったんスか?笑ってるっスけど?」

「いや、面白いものを見つけてな――――行くぞ」

「珍しいッスね。赤城っちが気に入るとか」「かもな」

半月後、彼女が化けてくるかどうか見物だ。

                           ≪Side END≫


うちの近くの神社―――鞍碼神社というのだが、鞍馬でわかるかな? あそこの分社だ。だから、祀っているのは高於加美神である。まあ、いらっしゃるのは卷属って話だけどね。

今日は色々な事が起きた厄日だから、ここの神様にいい運気を運んで貰えるようにお詣りしとこ。


しっかり作法を守って参拝し、さあ帰ろうという所で目の前に白蛇がトグロを巻いていた。そのまま鎌首をもたげて私をしっかりと見つめてくる。

《そこなお嬢さん。高於加美神が卷属であり、このお社の主であらせられる清龍様がお呼びです。お時間宜しいでしょうか?》

お社の主に呼び出されるような事はしてないはずなのに。なんでさ。

『行かなくてはなりませんか?』

《はい。主に必ずお連れするようにと、申し遣っております》

この蛇は少し困ったようにした。蛇なのに感情豊かだなぁ。

まあどうせ?

家に帰りつくのが遅くなろうと困らないので、彼(声的に女ではないと思う)に小さく頷いて見せる。彼は少し嬉しそうに《此方です》と私が着いていけるペースで本殿に向かった。


彼に導かれて本殿に靴のまま上がると、中に入った筈なのに目前に平安時代の光景が広がっていた。

…………かなり高位の存在が私なんかになんの用があるんだろう。

蛇くんは、私が目の前の光景に気を取られている間に、水干を着た可愛らしい童になっていた。蛇の時の名残か、白髪赤目の7歳くらいの少年は「さ、主がお待ちです」と私の手を掴んで寝殿造の建物に向かった。


「主様、お連れいたしました」「お入りなさい」

ある部屋の前で止まり、中に声をかけた彼はその部屋の主からの許可と共に戸を引いた。

中には、先程の理知的な声の持ち主に相応しい水色の髪と瞳をした男性と青灰の髪に紫紺の瞳の男性が座っていた。(因みに二人して豪奢な着物姿で眼福だけどさ)水色の彼は、見た目に反しない学校の中にいる優等生みたいで、もう一人は俺様キャラだけど周りを引っ張ってくれそうな雰囲気を漂わせていた。

「急にお呼びして申し訳ありません。

 私は清龍、隣の彼は魔狼です。白、暫く下がっていいですよ」

魔狼って、なんか怖そうな響きがしたんですが、大丈夫なのかな。

「セイ、お前、説明足りなさすぎ。嬢ちゃん困ってんじゃねーか。セイのこと、さっきのちびっこから聞いたか?」

魔狼、と呼ばれた青灰の男性は苦笑しながら私に話しかける。高於加美神の卷属って事だろうから頷くと一つ首をふって私に説明してくれた。

「セイが高於加美神の眷属なら、俺ら魔狼っつーのは大神の卷属で神狼の前段階みたいなもんだ。ああ、狼じゃなくて、大きい神の方だからな」

かなり、高位な神の卷属が目の前にいるわけだ。なんでさ。

白くん、戻ってきてくれないかな。いくら青灰の方が気さくな人でも一人で対峙するのは辛い。

なにせ二人からはかなり濃厚な神気がビシバシ感じられるのである。ただの人間よりは耐性がある私でも、二人分となるとだいぶ辛いんですけど。

「ロウのことはさておき、「置いとくなよ!!」貴女をお呼びしたのは、貴女の力をお借りしたいからです」

「え?」

私の力を?テレパスとテレポートしかつかえないのに?

それこそ、召喚の能力者じゃないとダメだろう。

「なんだ気づいてないのか?嬢ちゃん、お前、巫覡(ふぎ)の才能あるんだぜ」

え?巫覡?神様の力を借りて能力として使うあれ?

いや、いや。ないよ。………ないよ、ね?

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