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雨
『○○、女の子にはね王子様が必ずやって来るのよ。あなたにはどんな王子様か現れるのかしら。』
ママは私が幼い頃そう言った。
王子様か・・・・。
高校生にもなった私には、そんなこともう忘れていた。
だって、王子様なんていない。
ママとパパが居なくなって一人になったわたしに手を差し伸べてくれる王子様はいなかった。
友達だっていない私にはそんな人現れない・・・。
雨が降りしきる中街には私しかいないような気分だった。
横断歩道を渡ろうとすると
大きなトラックが
すぐそこに迫っていた。
雨の降る空にはわたしの赤い傘が舞った。