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文太と真堂丸   作者: だかずお


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道なき道





ギャラルルル グギュルル


鋭い眼光、不気味に吐かれる吐息

丘の上から鬼ヶ島全体を見渡す女郎蜘蛛

「真堂丸、いったいどれほどの強さかねぇ、鬼道ちゃんがこれを知ったら怒り狂うわ」


女郎蜘蛛は真堂丸に敗北した数々の強者を思い浮かべる、彼らは人からは怪物、悪魔として恐れられていた恐怖の面々だったが、女郎蜘蛛にとっては自分と同類の存在であった。


「アッハッハ 、烏天狗に、女狐、蝿王蛇、鬼神、国中の人間を恐怖に落としいれてきた、まさに恐怖の象徴だった存在」


「アッハッハ、そうそうたる奴らの敗北、信じられないわ真堂丸、わたしがそいつの首を」



あっ



ああんっ


こんなもん着てちゃ、闘えねぇつぅんだよ、大帝国、大幹部の象徴、全身を覆う白の衣装を脱ぎ捨てる。

その姿はまるで蜘蛛が人間に進化したとでも言えば言いのだろうか?

手足の数も蜘蛛の如し、手足は黄色と黒のまだら模様しかし、顔はどちらかと言うと蜘蛛より人間に近いのだ。


「殺す」

相手が私の存在に気づいてないことは私の利となる


「私の吐き出す糸に捕まったら最後、逃げうせることはできねぇんだよ」

口調と共に形相まで変化していた。


「さあて、やるかねぇ」


「史上最高の相手になるな、どれほどの奴」


真堂丸 アッハッハッハ


貴様の首をいただく


場面は変わり

そこでは一日百回以上の祈りが捧げられている


暗く 湿り 荒廃した

神の社と呼ばれる神社の奥


そこは地元の人間は決して近づかない場所

ここには夜叉が出る

この場所に来て戻らなくなる人間は数多い

神隠しとして地元の人間には恐れられている不気味な場所

そこには 夜叉と呼ばれる存在によって、神とまつわれた者達の銅像がつくられ立っている


ゴゴゴゴゴゴオオオオ~~


立つ銅像の者達の姿


それは


女狐


白竜


鬼神


そして一番大きく 鬼道の像

「ああ、神々よ次は人々にどんな災厄を与えてくれるのか?イーヒッヒ」

そ奴の名は夜叉 人間に迫害され続けた、鬼の老婆


背後に何者かの気配


「誰じゃ?」


おっ


あっっ


あああああああー


夜叉は涙を流す


「夜叉よ、こんな所にこもり、また人間から隠れていたのか?」


「きっ、きっ 鬼道様」


「おまえの力が欲しい、私に力を貸してくれ」


「ありがたき光栄」夜叉は膝と頭を地面につけ拝むように言った。


「お前を大帝国幹部に任命しよう」


この言葉に夜叉は泣き崩れる、「この日の為にどれほどの人間を惨殺してきたか、ようやく私にも」


「夜叉よ、私以外のその像はいらん、女狐も白竜も死んだ」


「そっ、そんな馬鹿な二人は神です、そんな馬鹿なことは」


「真堂丸と言う男が殺した」


「真堂丸」


「ばっばかな、名は聞いたことはありますがあの二方が負けるなんて」

夜叉は自身の頭を地面に叩きつけ始める


「許さんぞぉ、悪魔の子、真堂丸め、貴様は神殺しをやってしまったのじゃ、死を持って償わせてやる」


「近く幹部を集合させる、お前も来い、奴らは少々暴れすぎた」


「ハッ」


滝に打たれ、大帝国の幹部、秀峰は笑っていた。

我が地位は確実にあがっている、今や鬼道様の私に対する信頼もあつい。

これならかなりの権力を私は握るでしょう。


「さあて、今は雷獣さんの処刑方法を考えないといけませんね、決行は次の幹部集会時」

くっくっく、笑いが止まりません



再び鬼ヶ島


女郎蜘蛛は全感覚を研ぎ澄まし、気配を完全に消し真堂丸に近づいていた。

分かる、分かるわ、あいつが真堂丸に違いない私の全感覚が奴の強さを物語っている

遠くに小さく真堂丸の姿が見える


私の糸でとらえたら、奴は終わり

私の糸は何処までも伸びる


さあて、ここが肝心


糸を吐く0.1秒の気配でも感じさせてはまずい、私の糸を吐く気配を悟られないようにしないとねぇ。

まず、どんな人間もこの距離で糸を吐く瞬間の気配に気づくものはいないだろう、私の糸はどの蜘蛛の糸よりも細く頑丈なのさ。

これだけ離れた、距離、1秒にも満たない間にもかかわらず、女郎蜘蛛は一切油断をしなかった。

これが死ぬか生きるかを生き抜いてきた、女郎蜘蛛の一切油断をしない姿勢

奴はあの鬼神を斬った男


さあて、 行くよ


その瞬間だった女郎蜘蛛は震えあがる


ガタガタ 肉体が直感より先に感じ取る


ばっ、馬鹿なぁ


馬鹿なぁ


真堂丸は岩の上、目をつむり座禅を組んでいる

だが、どうした事だ、みるみる奴の気配が大きくなり

私を完全に覆うほどまで拡大してるではないか。

そう真堂丸はすでに気づいていた

小さな虫の蜘蛛が自分に糸を吐こうとしてると感じたくらいかもしれない、大帝国の幹部だとは分からないかもしれない、だが何者かの殺気に気づいていたのだ。


女郎蜘蛛はゾッとした


こんなの正当に闘い勝てるはずがない

ちっ、一人じゃ不可能

なんだこいつは?

全く隙がない


こいつが


こいつが


真堂丸


女郎蜘蛛の全本能が叫んでいた


今は逃げろ

女郎蜘蛛はすぐさまその場から逃げだした。

まぁいい、鬼神の死と、奴らの居場所を鬼道様に報告出来れば。

あいつは本物の怪物だ。


それから、一時間たった頃だろうか

脱ぎ捨てられた、白装束を持ち上げたのはガルゥラだった。


「遂に来たか、はやくここを出ねば」


辺りは暗くなってきている

ガルゥラはこの事実を、皆に話していた。


「これを見つけた、すでにこの島に大帝国が居るかも知れない、既に紛れ込んでるやも知れん、見かけた事のない者を見かけたらすぐに知らせろ」


鬼ヶ島の人々は、これを聴き震えあがる、せっかく鬼神の脅威が終わってまた、大帝国の幹部がここへ

中には泣き出す者も出始めた。


「既に島を出たかも知れない」その声は青鬼


「この島には俺たちが島の人間を逃さない為、舟をすべて管理していた、確かに一隻の舟が上陸したであろう場所を見つけたが既に、そこには舟がなかった」


「どちらにしても、すぐに島を出なければ、ここじゃ逃げ場はないぞ」菊一が言った。


「島の人間も、鬼達もこの島を捨てるしかない、大帝国に見られていたとしたら、危険だ、すぐに出発するぞ」


島の人間はざわめいていたが、それより他、助かるすべはないだろうと知った。

長く住んだ自分達の場所を捨て、逃げるしかなかったのだ。


「みなさんの乗れるだけの舟はありますか?」文太が鬼達に聞く


「大丈夫です」


「急ぎましょう」


「かあーっ、一難去ってまた一難かょ」焦るしんべえ


「島を出た後は、それぞれ自分達で生き抜くしかない生きろ」島の人々に向かい菊一が叫ぶ


「島を出た後、僕たちの近くにいては危険です、ここでお別れです」文太はのの を見つめ言った。


「青鬼さん、ののさんをよろしくお願いします」


「ああ、ありがとう」


「みんなこの舟に乗れ」後方から道来の声


「のの殿、幸せに生きるでごんすよ」


「まぁよ、なんかあったら俺に言えよ」としんべえ


「俺たちはずっと仲間だ」と太一


のの、の頬を涙が伝う

「みなさん、本当に本当にありがとうございました、このご恩は一生忘れません」


皆は微笑んだ


「急げいくぞ」ガルゥラの声が辺りに響く


「鬼さん達もまた、みんなで宴しましょう」文太が笑顔で言った。


ずっと ずっと 欲しかった


ずっと ずっと 憧れてた


人間の友達


人間と仲良く手を繋ぎあうこと

見た目や風貌、身体の大きさがどんだけ違ったって、

心は通じあえるんだ。


心を開けば


種族を越え 絆は生まれる


ありがとう


鬼達は感謝し 泣いていた。


ある時、島は地獄と化した


島民は支配され


同じ命同士で憎み合い、忌み嫌いあう


数知れず流した 暗い涙


そんな地獄の暗闇にある一行が訪れる


その者達の優しさは


すべてを溶かし


新たな希望の種を蒔く


我々は忘れない


生涯忘れないだろう


心に育った愛の種子


これは鬼ヶ島の人々に代々受け継がれることになる島の歌の詩

この歌は後世代々、受け継がれ島民達は決して彼らに対する感謝を忘れる事はなかったと言う。


一向は先に舟に乗り込んだ。

「先に島を出ます」


手を振り、頭をさげる、ののや鬼達、島の人々

人々の嬉しそうな笑顔が、心に響く


「良かったでごんす、これで彼らは鬼神の脅威から解放されたでごんす」ホッとする一之助


「やっぱ、人が泣き苦しむ姿を見るより、こっちのが気持ち良いなぁ」としんべえ


「だが、これでこっから先、お前達は本土に上陸してからが本当の地獄だ」と菊一


「それは、覚悟の上です」

文太が真っ暗な海を見つめる。


「ここからが、正念場だ、気をしっかり持て、もう引き返せねえ、舟をおりてから奴らは全力でお前達を殺しにくるぞ」


大帝国との最終決戦

真堂丸の脳裏に浮かぶのは大帝国だけではなかった。



一斎


避けては通れぬ巨大な敵

どちらも、自身の人生の中での最大の相手となるだろう。

だが、真堂丸の気持ちはこの状況下で高ぶっていたのだ

ふっ、己も同じ刀馬鹿かも知れんな


決着つけようぜ


骸 一斎


目の前に広がるどこまでも続く 暗い海


各々は静かに現実と向き合っていた。


俺は仲間を守れるだろうか?仲間の命の為ならこの命惜しくはない、もっと強くなってやる 道来


あっしは文太さん先生にこの命を救われた、どこまでもついて行くでごんす、例え行き先が地獄であろうと

二人の、仲間達の力になれるならどこまでも 一之助


文太の兄貴 いまだに信じられません、あなたが大帝国と向き合い、逃げなかった事、他にこんな事、この時代に誰が出来ただろう?

強大な権力に屈せず、文太の兄貴、真の兄貴は自分達の心の声を貫いたんです。

自身の命すら厭わず、あなた達は立ち上がったんだ

俺には二人がいつだってまぶしすぎて、かっこ良かった。

憧れる友として、命を賭けて二人の力となる

あの日、そう道来さんと決めたんですよ 太一


俺は友達なんて誰も居なかった、親に捨てられ生涯孤独、誰も信じず生きてきた。

もちろんお前達もだ

裏切った俺を、お前達は怒りもせず仲間だと命をかけ助けに来てくれた。

俺はお前達を失いたくない

はやく、戦を終わらせて 皆で 無事に暮らせりゃそれでいい。

それが今の俺の望み しんべえ


戦を終わらせよう


みんなで 生き抜こう


仏がいるなら

みんなを無事に生かしてくれ


頼む


頼む


ギイイィィィッ ギイイィィィィッ


一行を乗せた舟は真っ暗闇を進んでゆく。

それはまるで、どこまでも先の見えぬ道に続いている様。

ここから先、向き合う事になる者たちの力は底が知れない。


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