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文太と真堂丸   作者: だかずお
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知られざる実力




朝日が昇り始める直前の暗闇の中

それは真堂丸達が鬼神の元に向かおうとしてる同時刻の出来事


カチャ 刀をしまう菊一とガルゥラ

その背後に倒れている赤鬼

「さてと行くんだろ?」菊一が言う。


「ああ」


「ずいぶんとお前も奴らを気に入ったみたいじゃねえか」菊一が笑う


「ふんっ、俺はこの地を守る為に行くだけだ」


「素直じゃねえやつ」


「そんな事より、死ぬぞ?」ガルゥラは言った。


「まあ、そうだろうな、まあ手負いくらいは負わせて死ぬ、そうすりゃあ後はあいつらがなんとかすんだろ」

菊一の頭には文太と真堂丸達の姿が浮かんでいた。


そう彼らの向かう先は龍山

白竜のいる地であった。


その頃、鬼ヶ島では

文太達は鬼神の元に向かっていた。

「なぁ、誰も死なないよな」心配するしんべえ


「しんべえ気をしっかり持つでごんす、相手はあの鬼神、一瞬の油断が死を招く」


「ちっ、わかってるよっ」


いつでも僕らの背後には死がつきまとう

生と死

すぐ後ろには鎌を持つ死神が笑って立っている様だった。

だが、この頃には恐怖は薄くなり

むしろ、死と向き合うことにより生というものがありありとこの瞬間を生きている そんな気持ちすら感じていた。

今は皆無事に島を出れる事を祈る


ヒョオオオ~~


その頃

のの は鬼神の元に着いていた。

「鬼神様、お願いがあります、私の命と引き換えにこの島の侵入者を助けてあげて下さい」


「はぁ?」

「ハッハッハ笑わせやがる、貴様は俺の大事な奴隷、あいつらを変わりに助ける意味などない、だがあまり俺を怒らせるな、貴様も殺すぞ」

鬼神はののを睨み付けた。


すると背後から声が

「鬼神、ののから離れろ」

それは青鬼の声だった。


「てめぇ」


「鬼族の幹部が俺に楯突くつもりか?」


「ああ、俺はもう、お前のやり方にうんざりしてるんだ」


「青鬼よ。貴様を処刑する」鬼神は立ち上がる。


「もう誰も傷つけさせたくない」


ニヤリ

俺の強さを ワ ス レ タ カ ?


ゴォゴォゴゴゴゴー


その時だった島中が揺れる

「なんだよっこりゃあ」叫ぶ太一


「鬼神だ」と道来


「急ぐぞ」


ゴオオオオオーーー

「あっ、青鬼さんっ」叫ぶのの

青鬼は地面に倒れていた。

やっぱつぇえ 桁外れだ、鬼神さんに勝てる奴などいない、絶対に来るんじゃねえぞ あいつら。

ここに来て待ち受けるのは確実な死だけだ。

逃げろ、逃げるんだ


「さて、のの こいつも殺すが あの侵入者達は本当に来るんだろうな?」


ゾクッ

その目は絶対的強者の目

その目は ののを震えあがらせ、全身、いや心まで縛りつけるのに充分だった。

駄目……身体が動かない


お姉ちゃん



恐い


すると、鬼神がニヤリと笑い喋りだす

「来やがったか」


ヒョオオオオオオオー


目の前に立っているのは

文太、道来、太一、しんべえ、一之助


「んっ?」鬼神は驚いた


「貴様、生きていやがったのか」


真堂丸の姿だった。


「お前たち、何故来た、せっかく せっかく 馬鹿野郎」青鬼は言った。


鬼神の前には、道をつくるように鬼達が列になり左右に立っている。

「その鬼達の間を通り俺のもとに一人ずつ来い」

両脇には武器を構えニタニタ笑う鬼達


「ヒャッヒャッヒャッヒャッ」


「死ね 死ね 鬼神さんに殺されろ」

鬼達が喋りだす


「だめっ、みなさん来ちゃいけない逃げて」叫ぶのの


ブチッ

「てめぇまだそんな事を、良いだろう 先に死ね」


武器をゆっくりとかざす鬼神を見た文太が叫んだ

「僕らはお前をゆるす、だからここでもうこれから二度と人を傷つけないと誓え」


「なんだぁ、あのクソがきがぁぁぁ」


「答えはこれだ」鬼神が叫び、武器を振りおろそうとする姿を見せる。

その瞬間、突然文太は鬼達の真ん中を走り出した

「うおおおおおおおおおおおー」

文太の頭の中は先ほどの日記


ののを愛し大切に見守っていた婆


ののが生きる事を望み死んでいった 姉


誰よりも ののを気遣い、まるで自身の子のように大切にしていた 青鬼


彼らが頭に浮かんだ瞬間身体は勝手に動き走り出していた


絶対に




絶対に




死なせない




死なせてたまるか

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ」


「だめっ、文太さん 殺される」叫ぶのの


「そいつを殺せ」


刀が文太の首もとに

「あっ危ない」叫ぶ青鬼


キィン


刀を止める太一


文太は止まらず走り続けている


すぐに、斧が自身の顔の真横まで飛んできている


文太は止まらず、一瞬の躊躇もなく走り続ける


目を閉じそうになる のの


それを叩き落とす一之助

「えっ、どうして」ののはこの時、こんな事を思った。

驚いた、沢山の武器が自分の首もとに向かってくるのに恐れず、なんの躊躇もなく走っている文太の姿

その姿は完全に仲間を信頼している姿だった

仲間が必ずふせいでくれる

しんべえは鬼の下着をひっぱり「こっ、このやろう」と必死に止めている


刀が文太の両足首を斬り落とそうと飛んでくる


それを道来がはじく


この人達 本当に凄い



「ぢゃあよ、これはどうだ?」


鬼神が文太の前に立ちはだかる


「やめろおおっ」叫ぶ青鬼


目の前に飛んでくる鬼神の大きな拳

文太はなんの躊躇もなく走り続けていた


そして

ズゴオオオオン

目の前で拳は止まっている


文太はののを抱え走り出す

「みなさん、ありがとう のの さんは大丈夫です」


ポタッ ポタッ のの の瞳から涙が溢れ落ちる

仲間を本当に信じているんですね。

ありがとう


「貴様」

鬼神の拳の前に立っていたのは真堂丸

「なるほど、女狐嬢を討ち取った人間だったな」

鬼神は落ち着き静かに立っていた。


鬼神の真っ黒いまん丸の瞳は真堂丸をぎょろりと見つめている

その瞳は底の見えない強者の瞳

しんべえは女狐を思い出し震えていた。

あの野郎、鬼神は女狐より強いんだろう

しんべえは唯一、真堂丸と女狐の死闘を真近で見ていた者

双方ただではすまない事を分かっていた。

死ぬんじゃねえぞ真堂丸


ゴゴゴゴゴォオーー

「一つ聞いておこう、女狐嬢は強かったか?」

コキッ コキッ 首を動かす鬼神


「ああ」


鬼神は笑った


「良かろう」


「貴様は絶望を知らない」


「?」


「まだ俺に勝てるという視点でそこに立っている」


「そのつもりだ」


「ハァ」ため息をついた。


「人間、よく聞け 貴様は分かってない」


「何も分かってない」


その時 「だっ、駄目だ駄目だ駄目だ、駄目だ真堂丸、逃げろ」叫んだのは青鬼


「お前は分かってない鬼神の本当の恐ろしさを」


鬼神は微動だにせず立っている

「なぁ、知りたいか?」


「?」


「力の差」


「圧倒的な強者を」

鬼神の真っ黒いまん丸の瞳はまるで動物の持つ瞳のよう、そこにはいってんの嘘も、気負いも感じられない。


ただ真堂丸をまっすぐ見据え語られた


鬼神からの真実


事実この時

鬼神からは真堂丸がただの餌にしか見えていなかった

これは絶対的に今までの相手とは違った

今までの相手は真堂丸を強者と見て闘っていた



鬼神には真堂丸がどうしたってただの餌にしか見えないのだ。

少し普通の餌より生きのいいただの餌

これはおごりか? それとも?


「ああ、お前には分からないのか?この絶対的な力の差が」

鬼神は本当に失望するように言った。


「あわれなり」鬼神の目に殺気がおびる

餌を食らう


何か嫌な予感がした。


その同時刻、実はこの国の行く末を作用するもう一つの大きな闘いが行われようとしていた。


場所は龍山

白竜はピクリと何者かに反応する


「おやまぁ」白竜の近くに立っていた死神


「この山に何者かが足を踏み入れたなんて、全く信じがたい行為、なかなかの手練れですね」


「私が殺しましょう」

白竜は何も喋らず目を開き一点を見つめていた。



ザッ ザッ

「さすがに気づいたか、気づくように殺気を消さず入ってんだから、まあ当然だが」


それは骸の姿


「来やがったか」

背後に構えていたのは大きな鎌を持ち立っている存在


「おや、全身 焼け焦げたように真っ黒、私の風貌とあまり変わりがないですね」鎌を持つそいつは笑っている


「貴様が、死神か?」


「ええ」


「俺は骸と言う」


「貴様の名は知っている、大層強かったそうじゃないか、何でも貴様の姿を見て生きてる者はいないと」


「そうですね」


「笑わせる」


「白竜はどうだ?勝てないと踏んで犬になり下がったか?」


「口を慎みなさい」


「安心しろよ、白竜は今日俺が殺す、まぁお前もな」


「フゥ、全く、我々がどれほど強いか今日の人間達には分からないようですね、少々この山にこもりすぎましたでしょうか」


「良いでしょう、その強さで一時代を築きあげてきた者達がどれほど強かったか教えてあげましょう」

死神と恐れられたそいつの目つきが豹変する。


「ねえ、まだまだ青い青二才の小僧や」


「私の強さが私の名の由来」


「死神参る」

辺りの空気が一変する


骸は刀を抜き


死神は鎌を向け


両者は睨み合った


今、ふたつの大きな闘いが行われようとしていた。

しかし、この時まだ 誰も知る由もなかった。

とんでもない事が この同時刻に起ころうとしていた事を。



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