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文太と真堂丸   作者: だかずお
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危機



ヒョオオオオオー



真堂丸と蝿王蛇は、激しい攻防をみせていた。


「真堂丸、負けないよな?」凛は心配そうな表情を浮かべ文太を見ては言った。

すると後ろから「馬鹿野郎、あいつは女狐に勝った程の奴だ、負けるはずがねーじゃねえか」


すると文太が口をひらく

「万全の状態じゃないとしたら」


「馬鹿野郎、お前まで疑うのかよ?それでもあいつは負けねえよ」


「いや、その状況下で相手が狙ってくる可能性がひとつ」


「えっ?」


「まさか、こちらを狙ってくるということですか?」千助が言った。


「そうです、僕らはここから離れてたほうがいいかもしれない、相手が勝てない時にもし僕らを人質にとったら、全員殺されます」


すぐにこんな発想になる文太を見て千助は思った。

今までどんな危険な状況をくぐり抜けてきたんだ?

大帝国を相手に本当にたたかってきた奴らなんだ、空想の話じゃない・・・現実に闘ってる者達なんだ。


しんべえは今まで普通にしか見えなかった文太から何か言葉に出来ない迫力を感じ息をのんだ。

今まで見てきて知ってたはずだ

こいつらは本当に大帝国と向き合い生きている

毎瞬に命がかかってる

常に生き死の不安

すると同時に足が震えはじめた。

自分も今までのように、いつ見捨てても良いように、こいつらをみれねぇ。

俺はもうこいつらの仲間なんだ。

もう見捨てられねぇじゃねえか。

しんべえは心の中自身に語りかけていた。

腹くくらなければならない

もう逃げるところはなくなるんだぞ、しんべえ?

この先どんな地獄が待ってるかもしれないんだぞ?

本当にこいつらとこの先、共に進むのか?

自分にこの戦を見届け、関わる勇気はあるのか?

仲間の行く末を知る勇気があるのか?

この先平穏はないぞ?

頭は真っ白になった。

今や自分にとってこいつらは家族以上の絆に変わった、が、それと同時にこいつらが大切で大切でどうしようもなくなった。

今や真堂丸の闘いすら見届けるのが怖いくらいだった。

あの刃が少し横にそれてればあいつは死ぬ。

この世からいなくなっちまう

愛する仲間の命をかけた闘いを見届けるのがこれほど覚悟のいることだとは。

愛する者たちが出来たと同時に失う恐怖を知った。

文太てめぇは強い野郎だ、怖くて、怖くて俺には見ていられねえよ。

ガタガタ ガタガタ


「それなら、すぐにでも行かなきゃ」と凛

しんべえは耳に入ってきた声でハッと我に返る。


「あいにく、今僕は身体が動かせません 皆さんだけでも先に、自分で後から何とか逃げます」


「そんなっ」

文太てめぇ、こいつらを逃がす為に言った言葉でもあったんだな、しんべえは思った。


その時だった。

「乗れよ」身体をかがめ、背中を向けて立つしんべえがそこにいた。

文太はその姿を見て微笑み

「ありがとうございます」


礼を言いてぇのはこっちだ、お前らは最初から、俺のことを友達と思ってくれてた。

わりぃ、俺には全く見えてなかったんだ。


この先ずっとついてくぜ。


ありがとう


ありがとう


しんべえの心の中の声


生まれてはじめて人の力になりたいと思った。


生まれて初めて信じられる者に出会った


生まれて初めて人間が好きになった


凛はそれを見ていて、自分と重なるものをしんべえの背中から感じとり涙ぐんでいた

「馬鹿野郎、泣かせやがってよ」


「良かった、本当に」凛は微笑む。


その時、すぐにそれらの動きを察知した蝿王蛇

「ちっ、逃がすかよ」


ザッ

目の前に立ちはだかる真堂丸


「俺はお前の噂を昔からきいてきた、残酷な男だと、実際会ってみて驚いている、あの真堂丸がこんなに仲間思いの人間だったとはな」


「泣く子も黙るとは笑わせる」

噂などあてにならんな

だが確かに強い

「俺にも命の保険が必要でね」


シャア「毒雨」

口から吐かれたのは紫色の毒、空に向かって吐かれたその毒は雨のように真堂丸に降り注ぐ


「さて、真堂丸は雨に当たらず動けるのかな」


「!!!」

真堂丸は雨のように降り注ぐすべての毒をかわし、目の前にいた。

「さすがだな」

キィン キン

再び刀と刀がぶつかり合う


「どうしても、行かせないつもりかい、まぁいい、奥の手があるんだよ」

更に斬りつける速度を増し真堂丸に遅いかかる


キィンキィンキィンキィンキィンキィン

「どけよ、くそ野郎」

蝿王蛇は正直驚いていた、万全ではなくこんなに強いのか?

こりゃたまらねぇ。

ああ、こいつを今日ここで殺すのは少し惜しいが仕方ねぇよな。

「こりゃあ、俺はあいつらを追えなさそうだな」

突然、蠅王蛇の口をついて出た言葉


「今頃気づいたか?」


「ああ、そうだな、まぁあくまで俺はな」

蝿王蛇はニヤリと笑った。

なんと、次の瞬間、口から勢いよく蛇が飛び出した。


「まあよ、せいぜい身体をしびらせて動けなくさせるくらいしか出来ねぇ蛇だが充分だ」


「あの動き結構速ぇえだろ、訓練してあるからな」


「しまった、お前達そこから離れろ」


「なんだ、真堂丸が何か言ってる」気づいたのは文太

その時だった、文太の背後に動く何かが見えた「あっ、あぶねえ」叫ぶしんべえ。

とっさに文太を庇うため身体が動いていた。


ガブッ

蛇はしんべえの腕を噛みつきすぐに逃げていった。


「しんべえさん」


「ふっ、これで人質一人確保だな、あいつは今動けねぇ」


「こういう戦いも悪くねえ」長い舌が蠅王蛇の口からでていた。


「?」


いねぇ?

首元に風を感じた瞬間、全感覚が感じたものそれは死

蠅王蛇は全力で地面に倒れ込みかわした。


「ちっ、恐ろしい奴だぜ、話す時間くらい待てねぇのか」


しんべえは自分の身体が全く動かない事に気付いた

「ちっ」


「しんべえさんしっかりして下さい」


「てめぇ、文太なにしてやがる、てめぇらさっさと逃げろ」


「そんなっ」


「おい、千助 文太を担いで逃げてくれ」


「そんなっ、だったらしんべえさんを」


「大丈夫、兄貴私も一人かつげるよ」


「違うんだ、今身体に触れられるだけで激痛が走る、今は動かせねぇ」


「そんなっ」


「あいつが、蛇を放ったのは間違いねぇ、文太お前の言った通り、あの蛇野郎は人質として俺たちを逃さないつもりだ、すぐに獲物を殺しにくるぞ、だから逃げろ」

しんべえは真剣な眼差しで文太を見つめた。


その眼に文太はハッとする。


凛が「それなら尚更お前だけ置いて逃げれねぇじゃねえか」


「逃げましょう」

それは文太の言葉だった。


「えっ?」驚く凛


しんべえの口元はほくそ笑んでいた。

それを見た、千助「文太さん背中にのってください、行きましょう」


「あっ、兄貴まで」


「はやく、お前もいけ」


「ばっ、ばかやろう本当に行くからな」


三人はしんべえをその場に残し逃げだした。



そうだ




それでいい





文太お前も同じ気持ちだったんだろう






大丈夫





真堂丸がここにいる




文太は真堂丸を見つめた



しんべえさんをお願いします。




「さて、面白くなってきた」

不気味に笑う蠅王蛇



「あいつの、痺れを治す薬は俺の血液、あいつの傷口に塗れば治る、だが簡単には出来ないだろうな、さて本気をだすかな」


一瞬だった 蠅王蛇は即座に真っ二つになった。


ズバッ


ぐげっ


「悪いな、急いでんだ」

真堂丸はしんべえに向かい歩き始める。


見ていたしんべえ

「へへっ あの野郎、とんでもねえな」


直後背後に気配を感じる


ズバッ


よく躱したな

真堂丸の肩から血が噴き出した。

確かに斬ったはずだった、変り身の術?そんな類いではない、確実に斬ったはずだ。


「お前が斬ったのは確かに俺の身体」


「くっくっく、脱皮前のな」


「これで更に速く動けるぜ」


シャアアアアア


キィン キィンキィン


「ああ、すごい すごい さすが真堂丸と言ったところ、まだ俺の速さについてこれるか」


「もう気付いてるだろう?」


「お前、身体が思うように 動かないだろう?」


「毒か?」


「ああ、俺の刀についてたな、もう、まわり始めたみたいだな」


「やばいねぇ、万全じゃない状態、更に毒まで身体に入った、俺の勝ちだな」


その頃、山の寺前では、

「お主達何者だ?逃げろ殺されるぞ」首ねっこを鬼につかまれてる一之介が叫ぶ


「誰の心配をしてんだ、お前、自分が一番やばいだろっ」叫んだのは太一


「まあ、黙って見てろ」太一は笑った。


即座に鬼に刀を向ける道来

「最後の忠告だ、今そいつを離せばゆるしてやる」


「はぁ?人間の分際でこの俺様に指図か?」


「よかろう貴様から殺してやろう」鬼がギロリと道来を睨んだ。


「よせ、逃げろ」一之介が叫んだ瞬間


ドゴオオオーン

鬼の一撃

砂煙りが舞い辺りが見えなくなる。


「くそっ」一之介は悔しんだ、なんて破壊力、これじゃあ即死だ。


だが、どういう訳だろう

「ぐわああああああ」

叫び声をあげたのは鬼の方


「てめぇ、俺の腕を」右腕が地面に落ちていた。


「お主は一体?」

ニヤリと笑う太一


「そこの侍、覚えておけ、この方は道来さん、いずれ二人の兄貴達と共に大帝国をつぶす偉大な男だ」


一之介は驚いた「大帝国」


「クッハッハッッハ 笑わせやがる、俺ごときの右腕を斬って勘違いしたか?大帝国を倒すだと、そいつは無理だなぁ」


「いいか、人間どもよ 大帝国の幹部には絶対に人間ごときじゃ敵わない本物の化け物がいるんだよ、鬼族の大頭領、鬼神様だ」


鬼神 それはこの国で生きる以上、育つ間に一度は名を耳にする絶対に逆らう事は許されない鬼の怪物であった。

もし生きてる間に鬼神に関わることがあったのなら、その人間に唯一出来ることそれは絶対服従それだけと言われていた。

伝説の怪物。


「なぁ、人間今の言葉を取り消せ、そうしたら鬼神様には言わないでやろう」


「鬼神様はな、自身を兄者としたっていた可愛い女狐様を失いとてもお怒りになられてる、しかもやったのは人間と言う さあ、頭を地につけ謝れぃっ」

その声は大地を震わしたように感じた。


一之介は驚いた、まさか鬼神と呼ばれる化け物までもが大帝国の幹部だったのか。

文太さん、先生 あっしたちは本当にとんでもない戦いをしてるんですな。

一之介は拳を強く握りしめた。

あっしは二人を信じる。

一之介は望むところだ と言葉を返そうとしていた。

だがそれよりもはやく

「何も知らないのはお前のほうだ、貴様は誰よりも優しく、強い二人の人間を知らない」

それは道来の言葉だった。


そして声を張り上げ

「降参するのはお前らのほうだ」


ニヤリと笑う太一

一之介も二人の男達の意志の強さを感じ微笑んでいた。


ピキッ

「良いだろう、皆殺しだ」鬼の表情は一変する。



その頃、真堂丸と蠅王蛇の所では。

「本当に恐ろしい奴だよ、その毒でもまだ動くか」


「だが、大分速度が落ちたな」

しかし、この状況下でどういう訳だ一番焦ってるのは己だった、拭えない恐怖。

なんだこいつの目は?この状況でまったく諦めひとつ見えない。

それにまだ俺がおされてるだと?


キィン キィン キィン キィン

ああ、腹ただしい ああ憎らしい

このままじゃ死ぬのは俺じゃねえか

思った以上に強ぇえ、これじゃ人質の所にまで行けねえじゃねえか。


まずい

だが、その時、それは起こった。

「蠅王蛇様、今です」

それは自身の部下の声


蠅王蛇は笑った。

「良くやった」

後ろのしんべえに刀を突きつけ立つ兵


「貴様、動くとこいつを殺すぞ」叫ぶ兵


「なぁ、真堂丸よ、どうやら天は俺に味方した」


「さて、刀を捨てようか クツクック」


そして死ね


「ばっばか、野郎 俺なんか見捨てろ たったのむ やめてくれー」



カラン



しんべえの目の前で真堂丸の刀は地面に落ちた。


「ばっ、ばきゃろー」

辺りにはしんべえの叫び声が響き渡っていた。


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