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文太と真堂丸   作者: だかずお


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悲しき報せ



文太と真堂丸



〜 悲しき報せ 〜


「わああああああああーっ」

しんべえは凄まじい烏天狗の威圧感に、恐ろしさのあまり泣き叫ぶしかなかった。


真堂丸は上空から降り注ぐ烏天狗に立ち向かう為、物凄い力で地面を蹴り上げ飛び出した。

その直後両者の刀はぶつかり合い、物凄い音が辺りに響き渡る

ガギギギギィン


「何だてめぇ、雑魚じゃねえな」

烏天狗は即座に背中から大きな葉を取り出した。

それは扇子や団扇の類いの様に見えるが

「なっ、なんだ?」

文太は得体の知れない、何だか分からないその大きな葉に驚いた。


「おらよ」


ブゥオォォオーン

烏天狗がその葉を扇ぐと、凄まじい風の渦が立ち、真堂丸の身体はその風にのまれ上空に持っていかれた。

その瞬間

脇腹の辺り 烏天狗の刀が再び襲う、体勢を崩しながらもすべてをさばく真堂丸。


刀がさばかれた烏天狗はにっと嘲笑う「おらよ」

物凄い速度で足を振りかざした瞬間、真堂丸の身体は地面に吹っ飛んだ。


「真堂丸」

烏天狗は身体を回転させ更に地面にのめり込む真堂丸めがけて上からつっこんで行った。

埃が舞い終わり、辺りを見渡せる様になると烏天狗がそこには立っていた。

身近に見るその身体のでかさにしんべえは恐怖した。

「でっ、でけえ・・・」

それは身長にすると平均成人男性、三人を縦に並べた高さはゆうにあるだろう、更には腕の太さは自身の足の太ももの二倍はある。

しんべえはもはや恐怖のあまり動くことは出来なかった。


「しっ、真堂丸」文太は叫んだ


「あの、真堂丸って野郎 歯もたたなかったじゃねえか おっ、終わりだ なにもかも」

しんべえは絶望した。


「こっ、こいつが烏天狗だ、はなっから無理だったんだよ こんな怪物に勝つのは馬鹿野郎が」



それは納言の城のちょうど裏

「おっ、お兄ちゃん お兄ちゃん」


一之助は倒れていた。

「想像以上に強い、予想をこえた速度油断した」


一之助の腹からは刀で斬られ血が出ている。


「少年、あっしはどれくらい意識を?」


「まだ、一分くらい」


「そうか、良かった」


「お兄ちゃんも、家族殺されてたんだね、さっきの話全部きいた」


「ああ」

一之助は立ち上がった。


「もう、恨みはいいんでしょう、はやく一緒にうちに逃げよう」


「いや」

刀を地に突きたて、立ち上がった。


「まだ、あっしはやらねばならぬ事がある。はやくおうちに帰れ、姉さんのぶんまで幸せになれ」


少年は泣きながら頷いた。

そして言った

「お兄ちゃんだって僕と一緒じゃないか、何で自分だけ闘うとするんだよ?もう恨んでないんなら逃げればいいじゃないか」


一之助は微笑み少年をしっかりと見つめた。

「もう他にあっし達みたいな気持ちになる人間をつくりたくない、だから暗妙坊主を今ここで止める」


「死ぬんだよ?あんな化け物 止めるなんて無理だよ、不可能だよ」


「やれることをあっしはやる、お主の出来ることはお姉さんの分まで幸せになること」一之助は少年に優しく微笑んだ。

そして次の瞬間には、その瞳は城に入って行った暗妙坊主を見据えていた。

一之助は少年の頭を撫で、自身の傷を押さえながら城のほうに向かって行った。


その背中を最後まで少年は

「馬鹿だよお兄ちゃんは… 」

そう言いながらも、その後ろ姿から目をはなす事ができなかった。

なんて凄い男達なんだ

清正さんも、あのお兄ちゃんも、刀を背負い真っ直ぐ自分の信念に立ち続ける

その為になら命すら投げだす

恐怖や不可能に阻まれても諦めず立ち向かって行く。

なんて、すさまじい人間達なんだ

少年の心は感動と尊敬の念で震え揺さぶられた。

何故だか涙がこぼれ。

僕は刀を背負わないだろう、それでもあんな風に生きたい、いや生きよう。

男の真剣な生き様が少年の心に強く残っていた。

少年の拳は力強く握られていた。


"お兄ちゃん どうか 死なないで"

少年はただただ祈っていた。



町では

「お願いします、天狗様 どうかこの子だけは」


「うーんどうしようかな?」


「どうする? どうする?」


「うん、殺す」


「ばいばい」


キィン


刀はとめられる

「てめぇら、この場所で随分好き勝って暴れてるじゃねえか」


「光真組 三番隊長 平門か」


「ありゃー好きかってやってたのに」


「どうして、ここにいるんだよ?」


「そうだ、そうだ 姫を守ってるはずだろ」


「お前等に説明した所で姫の気持ちはわかるまい」清正も刀を抜いた。


町の人間からは歓声があがり始め

「光真組だー」


「これで、大丈夫だ」


「随分人気者だこと、でも僕ら三人と隊長二人 果たしてどっちが強いんだろうね?」


「やれば分かろう」清正は天狗に刀を向け。


「ふっふ、だね」

三人の天狗の息子達は二人を囲うように走りまわり始めた。

すぐに清正と平門は背中を合わせ、お互いの死角をかばいあう。


「怖いかい? 清正 平門」


「いつ僕らの刀が君たちを襲うか」


想像以上の連帯感

さすがに天狗の子供達

舐めてかかれば即首が飛ぶだろう。


「平門 一瞬たりとも気を抜くな、奴等は少しでも隙を見せたらそこをついてくるぞ」


「ああ、分かってますよ」


三人の動きは見事だった。

小さい頃からお互いを知り尽くしている者同士の動きはまさに阿吽の呼吸。

町の人間達の目には三人がどのように動き回ってるのかすら捉える事が出来なかった。


時同じく

納言の城を警備する光真組の隊員達は次々に斬られていった。

そう、その異常な強さはもはや隊員達では相手にならない

暗妙坊主は刀を舌で舐めた。

「さて、納言は何処だ」

ニヤリと不気味な笑みを浮かべ、奴は城を歩き回っている。


納言は城の一番上の階の奥の大広間に身を隠していた。


「おいっ、本当に何とかなるのか?

私は天狗達を良く理解している、あいつらと暗妙坊主に攻められて本当に助かると?」

共に身を隠している殿は言った。


「今は信じるしかない、皆も命を懸けているのだ 」


殿は震えながら頷いた。

「すまなかった本当に私が天狗達にすべてを喋ったばかりに、私は怖れに身を任せていたのに気づかなかった」


「過ぎた事はもうよい今私達に出来ることをしようではないか」


その部屋に辿り着くために必ず通らなければいけない廊下

そこには二十ほどの光真組の隊員

そこを抜け部屋の入り口前には一番隊長 誠が待ち構えている。


暗妙坊主は階段をのぼり

「上だな」

確実に一歩一歩納言に近づきつつあった。


ゴゴゴゴゴ


圧倒的な強さの烏天狗

「そこの二匹の小僧 お前達も殺すからな」口元は大きく開き笑った。


しんべえは涙を流し始め

「そっ、そんな俺こんなとこで死にたくねぇ」

恐怖のあまりもう立つことすらも出来ない。


文太は立っていて烏天狗を睨んでいた。


「なんだぁ?その目つき、お前は儂が怖くないのか?」


文太は空に煙が上がったのを目にしていたのだ


「最悪の間の悪さでした」文太はつぶやきはじめた。


「真堂丸 僕なにが出来るか分からないけど向こうに行くよ、少しでも時間を稼ぐ」


「分かった」


文太の目には しっかりと烏天狗の後ろに立つ真堂丸の姿が映っていた。


烏天狗は後ろの気配に足を止め

「本当にただの雑魚じゃあねえな」


文太は走り出し

「真堂丸向こうで待ってる」


「おいっ、誰が行っていいって言ったんだ小僧」

烏天狗は刀を振りかざし文太を斬ろうとしたが見事に一人の男の手によって遮られた。


「貴様は一体?」


「真堂丸と言う」


「貴様か、我々の城に侵入し暴れた男は」


「あっはっはっは あっはっは」

烏天狗は突如声をあげ笑いだした。


「おいおいそこの小僧ちょっと待てよ」


「文太構うな、行け」


「はいっ」


「いやいや、お前は行けないよ、自ら足を止める」


「何故なら、お前が真堂丸なら報告しておきたい報せがあるからなぁ」


「何だと?」


「お前達が是非知っておかなきゃいけない、悲しき報せとでも言おうかね」


その言葉に文太の足は止まった。

「えっ」

心臓が張り詰める様な感じがし

一瞬呼吸が出来なくなった。



ザーッ



ザーッ



ザザーッ



「君たちの仲間だと思われる一山先生が死んだんだよ」


ザーッ ザーッ ザザーッ


雨の音だけが妙に耳に残り

あとはすべて止まってしまった様だった。


「まあ、正確に言うとだな 俺たちに消されたと言ったほうがいいかもしれないな」


「一山は強い、そう簡単に殺されるはずはない」真堂丸が叫ぶ様に言った。


「ふっふ、確かに強かった だが我々、十対一だとしたらどうだ」


「儂はつくり話などしない、その為にわさわざ、我々十人は集まったんだからなぁ」

大きな目ん玉はギョロリと動いた。


そっ、そんな一山さんが・・・・


「あいつが、言っていたなぁ真堂丸君達をこれ以上追うな、私が許さんぞと、鬼道様に直々に話ていたわ」


「詳しい話は何人かネズミが紛れてたからそいつらにきけよどうせお前らの仲間だろう?全部を見ていたはずだ」


そんな一山さんが死んだ


「文太行け 今出来る事をやれ」


その真堂丸の言葉に我に返り、僕の目は今に向き、空にあがってる煙を見上げた。


「はいっ」

僕は涙をこぼしながら全力で走った。


「なんだぁ?何処に行く?」

烏天狗は空を見上げた。

「煙 あの方角は」

その時だった、自身でも信じられない事が起こった、想像すらしてなかった事。

突如腹部に痛みを感じたと思ったら、自身の巨体が後ろに吹っ飛んでいるではないか

その時、吹き飛びながら烏天狗は思った。

こいつは、気を抜いたらこちらが危ない

目の前にいるこの男は自身の命を危ぶませる力を持つ男だ。


それを目の当たりにした、しんべえは開いた口が塞がらなかった。

「こっこいつ本当に強い これが真堂丸」


「来い、天狗野郎」

真堂丸はその報せに怒っていたのだろうか。

声の語尾が少し荒いでいた様に感じた。


烏天狗はすぐさま立ち上がり、大きなあの葉を振りかざした。


「しんべえ身を伏せろ」


そこには、葉を振りかざす事によって生まれた風による、風の刃の様な真空波が生み出されていた。

木は軽々と切れ次々に木々を切り倒し、真空波は飛んでくる


「ひぃぃぃぃっ」

しんべえは身を伏せ叫ぶ


烏天狗は突然

「ラーラらら~ らららーラー」

と歌い出し後ろに向かって走り出した。


すべてを躱し、すぐさま追いかける真堂丸


「ちっ、逃がすか」

奴を追って辿り着いた場所は城の裏手の場所。


真堂丸の目の前には何百以上の赤い鳥居が連なる道がひろがっていた。


躊躇なく踏み出し歩き入って行く


ひたすら続く赤い鳥居の道


敵は完璧に気配を消していた。

真堂丸は相手の一瞬の呼吸でもすぐに存在を察知出来る。

しかし、そんな気配も微塵に感じない。

視界には赤い鳥居だけが続いている

突然自分の視界にただの鳥居ではないものが目に入った

鳥居の連なりの間、真横に烏天狗は立っていた。


「何がしてぇ?」


「この場所はワシの聖地 ここで強い男を殺すのが好きなんだよ」


「我々天狗と言う種族は気配を消すのが得意でな、お前でも簡単に見つけるのは難しいだろう、しかもこの鳥居だけが並ぶ場所は私のかっこうの遊び場、慣れているんだよ、闘うのにな」

烏天狗の気配は再び消えた。

真堂丸は意識を研ぎ澄まし歩き始め

真っ暗闇の中、赤い鳥居だけが不気味に視界に入っている。

すると後ろから気配が

「そこか」

だが真堂丸は突如、身を伏せた。

飛んで来たのは風による真空波、いくつかの鳥居は斬れ崩れ落ちた。

真堂丸は再び立ち上がり

そのまま歩かず、その場から動かなかった。

あまり時間をかけられない、このまま動かず奴が攻めてくるのを待つ。

しかし、さしもの真堂丸を分からなかったのだろう、気づかなかったのだろう。

完璧に気配を消した烏天狗は真上にいたのだった。


ギロリ


鳥居の連なりの間、真横に烏天狗は立っていた。


「何がしてぇ?」


「この場所はワシの聖地 ここで強い男を殺すのが好きなんだよ」


「我々天狗と言う種族は気配を消すのが得意でな、お前でも簡単に見つけるのは難しいだろう、しかもこの鳥居だけが並ぶ場所は私のかっこうの遊び場慣れているんだよ、闘うのにな」


烏天狗の気配は再び消えた。


真堂丸は意識を研ぎ澄まし歩き始め


真っ暗闇の中、赤い鳥居だけが不気味に視界に入っている


すると後ろから気配が

「そこか」

だが真堂丸は突如、身を伏せた。

飛んで来たのは風による真空波、いくつかの鳥居は斬れ崩れ落ちた。


真堂丸は再び立ち上がり

そのまま歩かず、その場から動かなかった。


あまり時間をかけられない、このまま動かず奴が攻めてくるのを待つ。

しかし、さしもの真堂丸を分からなかったのだろう、気づかなかったのだろう。

完璧に気配を消した烏天狗は真上にいたのだった。



ギロリ



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