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キツネと悪魔の話

作者: クルス†
掲載日:2026/01/31


 昔々、ある森の奥深くには悪魔の館があり、

その悪魔はどんな願いでも叶えてくれると言われていました。


 ある日、ひとりぼっちのキツネが悪魔の住む森にやって来ました。


 暗い夜の森で、ぽつりぽつりと降り出した雨に、慌てて雨宿りする場所を探していると、

大きな石が積まれた廃墟を見つけました。


 おそるおそる廃墟の門をくぐったキツネの目の前に、悪魔が現れました。


「ようこそキツネさん。君の望みは何だい? 叶えてあげるよ」



 キツネは悪魔に言いました。


「あなたが森の悪魔ですか?」


「そう言われているね」


 悪魔は笑いました。


「悪魔さんは、どうして願いを叶えるなんて言うのですか?」


「誰かの願いを叶えるために、私はあるからさ」


 キツネは不思議に思いました。


「どうして、あなたは悪魔と呼ばれているのですか?」


「そう望まれたからさ」


「悪魔なんて望むやつはいませんよ」


 悪魔は首を傾げて答えました。


「私は誰かの願いを叶えただけさ。そして望まれたから私はいるのさ」



 キツネは悪魔の姿を上から下まで、じっと見て言いました。


「あなたは一体、何ですか?」


「人間は昔、私を神と呼んでいたね。神が何かによるよ」


「神様なのに知らないのですか?」


「神も悪魔も、人間がつけた名前だからね。

 私は呼ばれたまま、そうであるだけさ。君がキツネと呼ばれてるのと同じことだよ」


 キツネは少し考えてから問いました。


「あなたは善ですか? それとも悪ですか?」


「君が望む方だよ。どちらでも同じさ」


「じゃあボクは、あなたを悪魔と呼びましょう」


 悪魔は機嫌良く笑いました。


「なら私は悪魔さ。では改めて、君の願いは何だい? 叶えてあげるよ」



「ここで雨宿りをしたいのだけど、雨をしのげる場所が悪魔さんの足元しかないのです。

 だから、あなたの側で休んでもいいですか?」


「もちろんさ、私は願いを叶える悪魔だからね」


 キツネは大理石で作られた大きな像の足元で、冷たい雨をしのいで一晩を過ごしました。




『キツネと悪魔の話』完

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