ニックのやらかし
そして王家主催の学園卒業パーティー会場でやらかしてしまった。
(うわ〜っ!エヴァのドレス姿綺麗だな‥‥たまには褒めてやるか)
「エヴァ!お前とは婚約破棄する!お前は俺には相応しくない!」
(あっ!いつもの癖で言ってしまった!)
本当はエヴァ綺麗だよと伝えたかったがニックは照れてしまい、いつもの言い慣れた悪態を吐いてしまったのだ。
「‥‥そうですか。何か私に至らない所がございましたかニック様」
(あれ?いつもは口答えしないのにどうしたんだ‥‥クックック、これは躾が必要だな!)
「ふん!そんな事もわからないのか?私の婚約者のくせに!婚約して7年だがもう我慢の限界だ!こんな野暮ったい女なんて破棄だ!破棄!婚約破棄だっ!」
(これだけ大勢の前で言われて恥ずかしいだろ!幾らお前が優秀でも私より下なんだから!もう一度煽ってみるか)
「おい!聞いてるのか?ボケーっとして。昔は神童と呼ばれてたのに、今となっては凡人だな!」
(‥‥さっきから無反応だぞ!)
「ちょっと言い過ぎたな。ふっ、しょうがないなぁ!お前には俺様がいないと‥‥」
「はい、婚約破棄お受け致します。では、私はお先に失礼致します、ニック・ヴェントン侯爵令息様」
(へっ‥‥了承した?‥‥私を置いて先に帰る?‥‥はぁ?)
ニックはわからなかった。エヴァがこんな事言うはずがないのだと本気に思っているのだ。
ニックの声を遮りエヴァが今まで言いたかった言葉を皆の前で了承の宣言をした。周りは「「おおっ!」」と反応してるのが大半た。中には、
『当然よね、こんな場所で婚約破棄する男なんかと結婚できないものね』
『やっと踏ん切りがついたのねエヴァ様』
『全然凡人じゃないでしょ!いつも学園のテスト1位じゃん!生徒会にも所属してるんだよ』
『エヴァ様っておしとやかで!とても美しいのに』
『‥‥‥‥‥‥』
『ざまぁ、ざまぁ、最高!平民に落ちろ〜』
会場中が騒ぎだした。私は結構嫌われているようだ。
中には無言でエヴァを見て驚愕している者、私に対して恨みの目で見てくる者もいる。
そんな喧騒の中、エヴァはニックに頭を下げ、会場を抜けようと‥‥
「エヴァ?何故だ?いつも婚約破棄はしないって言ってくれたじゃないか!嘘だよな?了承するなんて?」
婚約破棄を了承すると思っていなかった私は今にも泣き出しそうになった。
「もう、7年も婚約破棄したいと言っていたのはニック・ヴェントン侯爵令息様ですよ。そんなに嫌ならヴェントン侯爵様や私のお父様に伝えればよかったではありませんか。でも、やっと願いが叶って良かったじゃないですか。今度は私より爵位が上でお綺麗で頭の良い方と一緒になってくださいませ。陰ながらお幸せを祈っております。では失礼致します」
「何だよ、他人行儀で!俺達、卒業したらもう結婚するんだろ!俺がお前の伯爵を継ぐんだから」
「こんな大勢の前で婚約破棄したのですからもう撤回は無理でございます。ここは王家主催のパーティーですよ。あと、私が次期伯爵になるのです。もしニック・ヴェントン侯爵令息様と結婚してもあなた様は伯爵にはなれません。私の家に婿に来るのですから。伯爵になったら我がスカッシュ伯爵家のお家乗っ取りだと思われますわよ。それにヴェントン侯爵令息様は領主教育は一切してませんよね。どうして、そんな方が次期伯爵になれるのですか?」
「え?俺が次期伯爵になるんじゃないのか?エヴァが領地経営をするから俺は何もしなくていいって!?」
ダ、ダ、ダダダ!パーティー会場に1人の男性が走って来た。
「この馬鹿者〜!お前は入婿で伯爵家に行くんだぞ!私はエヴァ嬢の事を支えろと言っていたではないか!エヴァ嬢よ、本当に愚息が申し訳ない。後日スカッシュ伯爵家に伺うのでレイモンドによろしくと伝えてくれるだろうか」
「はい、わかりました。ヴェントン侯爵様、頭を上げて下さいませ。お父様にお伝え致します。私が至らぬばかりに申し訳ありませんでした」
「エヴァ嬢は悪くない‥‥もうお義父様と呼んでくれないんだな‥‥どうか婚約破棄をしないでいただきたい」
(何で父さんが頭を下げるんだよ!エヴァが婚約破棄するわけないだろ!これじゃあ、本当に婚約破棄されるみたいじゃないか)
そしてエヴァはこの場から抜け出した。
ニックとヴェントン侯爵は会場から逃げるように去り家に帰った。
(何で婚約破棄を受け入れたんだ!?エヴァは俺のこと好きなんだろ。だから俺を婚約者にしたんだろ!もしかして、エヴァは俺の気を引きたくて‥‥)
「ニックよ、何故あの場で婚約破棄をしたんだ。王家主催の卒業パーティーだぞ?エヴァ嬢のどこに不満があるのだ!あんな優秀な令嬢はいないぞ。エヴァ嬢は幼い頃から領主教育をさせられ、今では重要な仕事もしてるのだぞ。そのおかげでスカッシュ伯爵家は没落から逃れ、今では裕福になり我が侯爵家まで恩恵があったのだぞ!お前にやれる小遣いだってエヴァ嬢のおかげだ。だからお前が婚約できたのは、たまたま私とレイモンドと友人だったからだ」
「え?向こうから婚約の打診を受けたんではないのですか?私のことが好きだから格上の私と無理に婚約したんですよね!?父さんと伯爵様は友人だからと」
「誰がそんな出鱈目な事言ったんだ!レイモンドとは昔約束したが、あれはただの口約束だから効力はない!だけど、もし子供達が仲良かったら結婚させようとしたんだ。だから6歳から交流していたんだぞ。お前は次男だから、いい家に婿入りして欲しかったからスカッシュ伯爵家に、こちらから婚約を打診したんだ。あの子は正に神童だったから、このままでは他の者に取られてしまうと思って、レイモンドに無理を言って幼いエヴァ嬢とお前は婚約したのだ。てっきり、お前はエヴァ嬢の事が好きなのだろうと思ってたのだが、勘違いだったのだな。もっと早めに言ってくれれば破棄ではなく白紙にできたのに。
はぁ、お前はこのまま婚約破棄されたら、誰も婿に欲しがる者はいないだろうし、王宮勤めも出来ないだろう。このままだと平民だぞ!それが嫌ならエヴァ嬢に謝罪し、婚約破棄を撤回させろ!わかったな」
「ふふふ、大丈夫ですよ父さん!エヴァは私の気を引く為に婚約破棄を了承したに違いありません。私のこと愛していますから。幼い頃から私の世話を焼き、何を言っても笑って許してくれたのですから」
「‥‥そうなるといいな。私にはエヴァ嬢が許してくれるとは思わんがな。はぁ、こっちもレイモンドにお願いするから、お前も誠意を込め謝罪するのだぞ」
「はい、私が謝ればすぐに許してくれますよ!だから父さんは格下の家に謝罪する必要ないです」
(どうして父さんがそんなに怒るのかわからなかった。エヴァが私から離れるはずかないのに!
しょうがない、父さんに言われたから私から謝ってやるか!
そしたらすぐにエヴァの機嫌は良くなるだろう。あと少しで結婚するんだからな!)
「どうして、こんな馬鹿息子に育ってしまったのだろうか。次男だから甘やかしてまった私達の落ち度であるな。スカッシュ伯爵家の訪問の許しが出るまで部屋で謹慎してなさい。セバスそいつを連れて行け」
エヴァとの結婚生活を想像していると、ヴェントン侯爵アレックスに命令されたセバスがニックを強引に部屋に連れていかれそうになった。
「ちょっ!ちよっ!離せセバス!」
ガチャ!自分の部屋に投げ入れられ、鍵を閉められた。ダンダンダン!私は思いっきり扉を叩いた。
「開けろ!おいセバス!」
こうしてニックはスカッシュ伯爵家の謝罪の日取りが決まるまで監禁された。
「あれは、もう駄目だな‥‥あいつの手綱を握れるのはエヴァ嬢しかいない。なんとしても婚約破棄を撤回してもらわないと」
この言葉はニックには届かなかった‥‥
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