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第20話 初任務

 俺たちの囲むデスクが、モニターのように大陸の地図を映し出した。三国の国境や主要な都市、街道が線や点となって地図に表れていく。


「今回の任務は、帝国の方での任務だ。ある程度、帝国については全員頭に入ってんだろうが。まあ、おさらいだ」


 地図が拡大され、帝国の領土が大きく映し出される。主要な都市や街道だけでなく、帝都の地形まで詳しく示されている。1つの巨大な都市を中心に5つの都市が囲み、国土全体の街や都市をつなぐ、蜘蛛の巣のように張り巡らされた街道は、5つの都市へと集約されている。


「リヒトエルツ帝国は、帝王を象徴とした軍事国家だ。だが、その実、帝王は大きく政治に関与しない。その帝国の首都に当たる帝都トロスは、国土の東部の平原にある。第一都市を中心として5つの衛星都市を抱える複合都市だ」


 凄いなこの部屋、立体映像なんてできるんだ。

 音無が大きく腕を広げるのに合わせ、映し出された帝都は、内部までは見えないまでも、ある程度どんな街並みかまで再現されていた。

 

 「それぞれが関所の役目を持ち、同時に国土全体をつなぐ街道の出発点でもある。要は、最終的にすべての道は、5つの都市のどれかにつながってるってわけだ。おさらいは、この辺でいいか。本題に移ろう」


 音無がそう言い、立体映像を払うとバラバラに散り消える。視線を下に下ろせば、さっきまで帝都を映していた地図は、山脈に近い街を中心とした周辺の街や街道が映されていた。


「今回の任務は、各街に潜伏している仲間へ指令を届ける伝令役だ。今回は、帝国西部にある山脈で栄える採石と鍛冶の街、ヴァルドを目指す」


 山脈の麓にある街を音無は指差す。街の周辺に目をやる。周囲を山に囲われてる盆地地形。街へつながる街道は1つだけか。


「見ての通り、周囲を山に囲われている。これの影響でヴァルドにつながる唯一の街道だ。唯一の街道ってだけあって、かなりの巡回兵がいるから、用心が必要になる」


 要は、バレるような行動は避けろってことか。


「今回の任務にあたり、特殊な錠剤を服用する。能力隠匿薬 S-0424。服用後、10分以内に効果が現れる。効果は、名前の通りだ。一時的に能力者と判別する機械を誤魔化せる。ただし、効果中の約12時間の間、能力(フェイルノート)想像力(イマジナリー)などの力の一切が使えなくなる。つまり、今回の任務中は、俺らはそこらの一般人と大差なくなる。覚えておいてくれ」


 能力を隠匿する薬か。バレなくなるのは良いが、緊急時に対応できなくなるかもしれないのが辛いな。化け物に目をつけられたら逃げるしかないって事だもんな。


 音無がモニターに触れると地図は消え、元のデスクのように戻る。


「任務開始は、2週間後。装備の支給などは、当日に行う。具体的な役割等は、前日までに端末へ送る。絶対、目を通しとけよ。じゃあ、解散だ」


 そう言い残し、音無は部屋を後にする。俺たちも同じようにそれぞれの帰路についた。

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