第15話 幕間
投稿遅れてすんません。獣狩りしてました。いや~、今週になって「は?!え?そんな時間たってたの?!」ってなってました。次は気を付けます
模擬戦の様子が映された複数のモニターが壁に掛けられた部屋。無機質、機械的な印象を与えるような部屋だ。そのような観戦室の一角、他の観戦している団員とは少し離れた場所で華城は、模擬戦の様子を観察していた。
音無と天瀬を映したモニターに目をやる。音無からの攻撃を紙一重で捌き、善戦しているように映る。だが、2人の様子は明確に異なる。余裕をもって自分のタイミングで攻撃をしている音無に対して、天瀬は何とか食らいついているような様子だ。顔からは、大粒の汗が流れ、肩で息をしている。
(今回注視すべき人物は3人。1人目、天瀬 秤事。即戦力になるだけの戦闘能力はもっていますね。煽られやすい部分も見えますが、冷静さは失っていない。元執行者という情報がある以上、しばらくは、様子見は必須でしょうが、それを差し引てもメリットが大きいですね)
天瀬が映るモニターから花木が映るモニターへ視線を移す。そこには、悪戦苦闘しながら火や水を生み出し、木宮と矢部へとけしかけては、出来の悪い迷路へと身を隠す花木の姿があった。
(2人目、花木 磨衣。天瀬さんには、僅に戦闘面で劣るものの、頭の回転が早く、選択肢を絞り判断する速度が早い。逆に言えば選択肢を絞ってしまう部分が弱点になりえますが、十分即戦力になるでしょう)
そして、募の映るモニターへと目を向ける。地面に手を付き、苦痛で脂汗をかきながら顔には笑みを浮かべ能力で何かを生成していた。
(3人目、明石家 募。判断力、思考力は十分ありますが、他の二人に比べれば抜きん出ているとは言えないでしょう。天瀬さんのような戦闘の技術もなければ、花木さんのような戦闘面を補う思考力もない。ですが、他の2人より抜きん出ている点が1つ。能力の根底となる力、想像力の強固さですね)
モニターを見ている華城へ隣に座る銀色の髪を横に束ねた女性が疑問を投げる。
「華城団長。今回の模擬戦で、班長を3名で対応させた理由なんですか?あの様子なら例年通り1人、もしくは2人で良かったのでは?」
「そうですね。今だけ見れば必要なかったと思います。けれど、能力者の今だけを見れば見誤る。ですから、用心として3名に任せました」
「それなら能力の使用を許可すれば良かったのでは?」
「いいえ。それではダメです。あなたも知っていることでしょう。能力者の戦いは 言うなれば想像/格付けの戦いです」
テーブルとコーヒーが入ったコップを取り出しながら話を進める。
「能力者同士の戦いは、いかに自分の世界を押し付けるかと言っていいでしょう。私達の力は、根底にイメージが深く関わることもあり、想像できないことは実現できません。明確に思い込む必要があります」
華城は、テーブルの上に森林タイプ1のジオラマを置いて駒を並べる。14個の駒。その中で大きいのが3つ。大きい駒を2つジオラマから降ろして話し続ける。
「仮にこちら側を1人にしたところで、勝敗は見えています。能力の使用を許可してしまえば、格付けができてしまうでしょう。彼らは、何の勝利のイメージもできず完敗、全滅です。」
ジオラマに並べられた大きな駒を中心にしてジオラマに青い染みが拡がる。染みの中にいる11個の小さな駒は、気の毒に見えるほど怯えているように震えている。
「私たちは、本能的に他者を勝利の勘定に入れない以上、格付けが済んでしまえばそこで終わりです。私達が言う能力を縛るということは、そこに乗せられる『想像力』を縛ることです」
大きな駒が鎖に縛られ、染みが消えると震えていた小さな駒の震えも止まる。
「想像力を縛ってしまえば格付けは、保留となり協力さえすれば勝ち筋が出てきます。あくまでも、私が見たいのは勝ちへと向かう姿勢と、その中で見せる実力と可能性ですから。念の為に何かあった際に対応できるように3名に任せたのですよ」
華城は、自身の前にあるテーブルをジオラマごと消しながら、それに、と付け加える。
「これは、彼らの訓練でもありますから」
――――
顔へと迫る音無の剣を寸前で体を反らして何とか避ける。無理矢理回避したことで体勢は崩れ、横から迫る剣への対応に遅れが生じる。
槍を体と剣の間に挟み込み直撃を防ぐ。しかし、無理な体勢も祟り横へ大きく吹っ飛ぶ。
「馬鹿力がっ!」
石突を地面へと突き刺し、減速して何とか止まる。立ち上がろうと力を込めると、右脇腹の痛みで動きを止める。すぐに何もなかったかのように立ち上がる。
(受け止めきれてなかったか。幸い折れてはない。戦闘継続に問題はない)
天瀬を吹き飛ばした張本人がゆっくりと歩いてくる。ニヤニヤとした笑顔を浮かべ天瀬を見下ろす。2mほど手前で足を止める。
「なあなあ、そろそろ本気出してくれよ。俺だって暇じゃねぇんだからさぁ。『糸』できんだろ?できねぇとは言わせねぇ」
「知らない」
音無の言葉を否定しながら立ち上がり、放たれる突き。すれ違うように避け、一歩間合いを詰める。音無の接近に合わせるように踏み出し、石突きを切り上げようとする。
「ここだろ?」
あたかもそこに来るのを知っていたように切り上げ、その初動を剣で潰した。タイミングをズラされ、動きの途中、脆弱な部分を突かれたことで動作の連動が途切れ、大きな隙が生じる。
「は?」
音無の強烈な蹴りが天瀬の腹にもろに入り、鈍い音と共に後方へと蹴り飛ばされた。
「何を嫌ってか。糸を使うために作られたその動きは、糸を使おうとしない時点で死んでいる」
憤ったような声で話ながら天瀬へ一歩一歩近づいていく。
「そのことに気付かねぇのか。お前、ここに何をしにきたんだ?」




