〈間章〉拝啓、研究結果へ 結
「あれから笑と理央の具合は大丈夫かな……」
秀雄のクローン、『HIDEN C-09』が消滅してから3日後……私はベッドから降りて背伸びをした後、セナから着信音が聞こえてきた……。
「あら? 誰からかしら? ちょっと出るわね」
セナが通話に出ると、あまり通信を行わない女戦士の声がしてきた……。
「イリル、聞こえるか?」
「理央……? 珍しいね……あんたが通話なんて……」
「ああ、ちょっと手放せない事情があってさ……もし合流したいって言うなら、『ペドロ・ニュートラル』に来い。笑もいるよ……じゃあ後でね」
急いで、出かける準備を行った後、すぐさま『ペドロ・ニュートラル』へと向かって行った……丸いテーブルで、人々が座っている中で、笑と理央が座っている席を見つけた……。
「これ、美味しい~! いくつでも食べられる~!」
「こんな油っこいジャガイモ、真顔で食べられるね……」
「フライドポテトだよ~! ここのポテト美味しいから……! せっかくだし、理央も……!」
「アタシはいい、これだけあれば十分」
「ええ?! 辛そう……赤いし、まだ沸騰してるし、唐辛子が丸ごと乗ってるし……」
「アタシは味覚があんたより鈍いから、旨味が感じにくいんだよ……だから、今食べているような『レッドペッパー・スープパスタ』のような激辛料理が丁度いいんだよ……」
笑は私とセナを見つけたのか、こちらを見て手を素早く振った。
「笑に理央……? 珍しい組み合わせね……」
「あっ、イリルさんにセナさん! こっちこっち!」
私は、笑に呼ばれるがままにテーブルへと向かって、椅子に腰を下ろした。
「笑……? 理央を普通に呼んだって事は……更に仲良くなったってこと……?」
「うん! 私達は双子だってこと、最近知ったから……だから、少しそれらしいことをしようかなって……」
「まあ、アタシはどっちでもいいけどね」
「理央……笑から聞いたけど、ちょっと目標がドロドロすぎるわよ……! まるで、復讐劇を連想させるぐらいに……!」
「ああ……でも、その前後の事が見つかった、『あんた達や仲間の手助け』でもしようかなって考えていた……イリルもセナも、目的があってこの時代に来てるだろ?」
「いいの? 私の記憶探しだよ?」
「構わない……あんたには借りを作っちまったからね」
理央は、両腕を組みながら話していた。まさか……何もかも無関心な理央も協力してくれるなんて……少し意外だなって感じた……。
そこに、見覚えのある青年達とAIアシストロボットがこちらへやって来た……。
「やぁ、みんな! あっ、笑と理央も具合治ったんだね!」
「こんにちは! 今回は駆さん達とご同行です~!」
「……」
駆は、カレーパンを焼き、ルッコラ一号はスティックサンドを片手に持ちながら、笑顔で話していた。ウルはコーヒーが入った紙コップを片手に持ちながら、沈黙していた……それを見た笑は、申し訳なさそうにして――
「う、ウルさん……」
「……なんだよ……」
「え、えっと……何も言わずにいなくなっちゃって……ごめんなさい……」
「フン、あれ程一緒に行きたいって言いたがるお前が、まさか単独行動をするとは……命知らずだな……俺たちが電気屋でウイルスに遭遇した時に、他人の命のために自分の命が犠牲になったら本末転倒って、セナが言ったこと忘れたワケじゃねぇだろうな?」
「ううん……それは、覚悟していたよ……理央の帰りがかなり遅くって、何があったのか考えるのが怖くなっちゃって……居ても立っても居られなかったの……」
「少なくとも、心得は立派だな……まぁ、今回は大目に見といてやる……だが、次からは大事があったら、連絡を入れるようにしろよ。特に理央、秘密行動も作戦の一つだが、音信不通が長く続くと笑も李徴さんも心配する。適度なタイミングで連絡を入れろよな」
「う、ウルさん……」
「あんたにだけには言われたくなかったけどね……わかったよ……」
「……やけに素直だな……」
「あんな事が起こったんだ……情報が不十分だったとはいえ、相手の罠にかかってしまった事、自分でも反省してる……これからは、トキワタリとルームメイトである笑を中心に、合流を深めておこうかって考えてるんだ……」
理央は一瞬だけ目つきを優しくすると、ルッコラ一号からどこか、聞き覚えのある声がしてきた……。
「素晴らしい! 理央君!」
「……桃さん? また、焼きルッコラ一号に通信機を持たせて……」
ルッコラ一号の通信機から、桃の声がしてきた……。
「あれ程ウイルス殺しな君が、誰かの為に手助けをするとは……また一歩成長したね!」
「フン……あくまで他にやる事がないだけですよ……」
「せっかくだし、私の発明品のテストしてくれないか? 箱に入ってるやつ全部を……君の旅に役立つと思うよ! しっかりと説明書を読んでくれたまえ」
「ああ、オレがルッコラ一号に運ばせてって言ってた箱? 」
「桃さん……駆とルッコラ一号に運ばせて……」
「まぁまぁ、カレーパンもコーヒーも私の奢りだから、完全に私だけが収益を得るわけにもいかないだろう?」
「あっそ。んじゃあ切――」
「あっ、ちょうど良かった……私の理央君の素晴らしいコードネームが――」
理央は急に目つきを尖らせながら、ルッコラ一号の通信機を取り上げて、通信機に顔を近づけていた……。
「刺しますよ?」
「ひぃぃぃぃい!! 冗談だよ……」
理央は通信機に冷たい声で囁き、ルッコラ一号に通信機をボタンを押しながら返した……。
「また理央さんは、勝手に電源を切って……」
「理央って、桃さんによく発明品のテストを任されてるのか……?」
「まぁ、ちょっとね……少なくとも、ウイルスを倒しやすくなる」
「そこは、相変わらずなんだ……」
「まぁ、ともかく……理央、ありがとう……」
理央は口元を少し微笑ませながら、私の方へと頷いた……。
『何のためにここまで来た理由』……この言葉を大切にしながら、目標を成し遂げることを心掛けてみるのもいいかもね。
ここまで、読んでくれて本当にありがとうございます!
私も『何のためにここまで来た理由』を自分に言い聞かせて、目標に向かっています!
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