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3020ストーリー~『第二の地球』と戦士の記憶を辿りながら~  作者: ユニィウルフ
〈第一章〉共鳴する過去の灯

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〈間章〉拝啓、研究結果へ 急-1


 私達はネオ・ポンドポリスで、重要指名手配犯の『當山 秀雄』の研究所から、捕らわれている理央を戦闘を交わしながらも救出した。

 笑は理央の体を調べた所、息はあるものの、呼んでも返事はない上で体も傷だらけの状態であったという……すぐさまに医療室へと走っていき、慎重かつ速攻に運んだ……。

 急いで衛生隊に頼んで検査したところ、麻酔銃による昏睡状態だった……点滴治療をすることになる……。


 「これで、よし……」


 衛生隊の『川神(かわかみ) 千夜(ちや)』、以前私がこの時代へと不時着したばかりの頃、治療してもらったから、面識がある。大らかな人だけど、仕事は真面目で真剣な女性だ。

 理央は医療室のベッドの上で仰向けになりながら


 「千夜さん、理央さんの様子はどうでしょうか……?」

 「問題ないよん。しばらく安静にさせれば、また完全に動けるようになるよ~」

 「千夜、理央のことは任せたよ……」


 笑は人差し指を合わせて、視線を逸らしながら、千夜に話していた……。 


 「えっと……ネリネさん達、みんな怒ってた……?」

 「みんな、心配してたけド、怒ってはないみたいだったよ~。ネリネちゃんが「次の休みの日は絶対にエミに来てもらうからねー!」って言ってたみたいだよ、だけド……」

 「だ、だけど……?」

 「隊長が特に心配していたから、顔を合わせてあげてぇ。多分、誰かと話をしててロビーにいると思うから、よろぴくね」

 「は、はい……」

 「笑、私からも李徴が連れてきてって言われていたから一緒に行こう」

 

 私とセナは笑を連れて、李徴がいるロビーへと向かいに、医療室を後にした……。そして、ロビーに辿り着いた時、カウンターの目の前に李徴が手を顎に当てながら、北郎と何かを話している……。


 「李徴、そして北郎、笑を連れてきたよ」


 私は、これまでの経歴を的確にかつ詳しく話した……。笑は目を閉じながら、李徴に頭を下げた……。


 「次からは危険な行動は慎むように」

 「は、はい……勝手にいなくなってしまい、申し訳ございません……」

 「生憎、私からも理央から『アタシの問題だから』といい、『當山 秀雄』の事について一切関わらせたり、募集を受付させたり出来なかった……まさかとは思っていたが、君たちの過去に大きく関わっていたとはな……」

 「俺も、李徴の兄さんに色々と話せることは話したぜ。俺も女アサシンと情報を共有したからな……ウイルス因子の場所と引き換えに、あの男に関する情報をな……」

 「それってつまり……あの時、理央がウイルス因子が海賊版街から出てきたっていう情報は、あなたが提供したのね?」

 「ああ、そういうことになるな……」


 北郎は腕を組んで、壁に背中を寄りかかりながら天井の方を見ながら話していた。李徴は、北郎に対して気になる事があるようで――


 「北郎先生、ウルから聞きましたが、海賊版街へ?」

 「ああ、あれは、去年の正月の後ぐらいだったかなぁ……あんときの俺は裏社会と大きく関わってる事を知られちまって、妻と子に逃げられちまった頃から開業したんだよ……二人に裏社会に巻き込まれるよりかはよっぽどマシだ」

 「その時に市長にスカウトされる形で海賊版街にしたのでしょうか……?」

 「ああ、そうだとも、俺は市長に『海賊版街』という危険な繫華街の番人が必要不可欠だって、適任は俺しかいないっておべっかを交えながら交渉してきたんだ。ちょうど、病院の場所を決めていたからさぁ、引き受けることにしたんだよ。んで、最初の仕事はガリガリに瘦せてた仔猫を保護して餌やって、ボランティアが来るまでにチビ助の面倒を見たんだ。そして、チビ助は母ちゃんとこにいる、保護施設に行ったんだよ……それで、俺は気づいたんだ……『何のためにここまで来た理由』が何なのかをな……」

 「何のためにここまで来た理由……ですか……私は、浮島からメイキョウ地方へやって来た理由は一つ、『この地域を安全暮らせるようにすること』ですね……今は亡き友と交わした約束でもありますので……この約束を大事にしていくうちに、弟子を取り、旅をしたりして、最終的にメイキョウ部隊隊長に任命するまで今日に昇りました……」

 「目標達成の近道はコツコツと重ねていくことだ……『何のためにここまで来た理由』を考えて、目の前の事を成し遂げてみろ……おめぇさん達も目標があるとして、『何のためにここまで来た理由』も必ずはあるはずだろう? ねぇと、ただ何となくになっちまうからな」

 「『何のためにここまで来た理由』……か……私とセナは説明済みだけど……」

 「あ、ありがとうございます……もう一度、自分のために出来ることは何なのか、自分と向き合ってみます……」


 北郎は意味が深い事を言いながら、私達にこう語りかけた……記憶を辿り始めてからしばらく経つけど、まだ完全に記憶は戻っていない……この時代にやってきて、フューチャーファイターズに入ったこともメイキョウ地方のあちこちを回ったことも、どこかにある記憶を見つけ、ライルを見つけ出して、ダークマターとの決着を付け、この『第二の地球』に再び平和を迎え入れる事を望んでいる……そのためには『第二の地球』中に散らばっている力と記憶を探すために、レイト地方へと向かおうとしている予定だ……。



 ――空が暗くなって、辺りの建物は明かりがつき始めている頃……戦士達は次々と寮の部屋や食堂へと歩いて行く頃になっていた……雄一、笑は迷うことなく医療室へと向かって行った……。

 笑が再び医療室の扉を開くと、ベッドの上に腕を組みながら座っていた理央の姿があった……。


 「……」

 「理央さん……大丈夫……?」

 「ああ……それよりも大勢で、派手な救出劇をやってくれたね……お陰でとっちめるのも難しくなっちゃったよ……」

 「ご、ごめんなさい……」

 「いや、大したことない。お陰であいつの狙いが分かってきたから」

 「ね……ねぇ……理央さん……正直に答えてほしい事があるんだけど……私が何処から生まれて、何処から孤児院に流れてきたか何か知らないかな……? それに、あなたは私よりも少し前にフューチャーファイターズに居たはず……なのに、當山さんは私の事を初対面にも関わらずに『最高傑作』って呼んでたの……?」


 理央は長いため息を吐きながらも話すことを決意した……。


 「はぁ……どうやら全部話す羽目になっちまったよ……いいよ、知ってる事なら全部話す……ただし……どんな結果であっても引きずらないこと、わかったか?」

 「うん、覚悟は出来てる……」

 「そうか……んじゃあ……話すね……」


 理央は息を深く吸った後に、経歴を話していた……。


 「アタシ達は、『當山 恵梨香』のデータをサンプリングしたクローン……『EMIRION(エミリオン)』……プロダクトナンバーはアタシは『C-01』であんたは『C-02』……そう、アタシ達はあの男から産まれたクローンって事になるんだよ……」

 「ク……クローン……當山さんが言ってた……つまり、私も理央さんも、當山さんの妹のクローンだったって事……?」

 「そうだよ……そのきっかけは、20年前に起きたレイト線脱線事故……その時、恵梨香とあの男の友人二人が乗っていた電車に大事故に巻き込まれてしまった……。駆け付けた時にはもう遅かった……秀雄はどうしても三人の死を受け入れられず、彼女達を蘇らせようと思い、研究を始めたんだ……年月が経って考えた先は……最初はマジックの『リザレク』の習得だった……このマジックは戦闘不能になった者を復活させる『蘇生マジック』と呼ばれる特殊なマジックだ……しかし、当初のリザレクは利用者の寿命が大幅に減少するほど、気力もかなり消耗し、最悪の場合、死に至ることがある……この代償があまりにも大きかったから、『十大禁令マジック』の一つに任命させたんだ……」

 「リザレクって……今も戦士達が使われている『リザレクパウダー』の元になったもの……?」

 「ああ、『リザレクパウダー』は使うと、戦闘不能になった者を復活させる戦闘用道具だってこと知ってるよね……あれは、『復活草』をベースにいくつかの薬草をブレンドして、正三角錐の袋に入れた物……代償を無くした代わりに死者には一切効果がないんだ……だからあいつは、マジックの方のリザレクを使って復活を試みることにしたけど、失敗……それどころか、他のマジックユーザーに止められたケースがほとんどだった……」

 「そうだったのね……今では『キュアール』に『キュアールパウダー』が、『パワード』に『パワードパウダー』のような支援マジックを参考にした戦闘用道具があるのに、なんで『リザレクパウダー』があっても『リザレク』がない理由がわかった……でも、蘇らせる方法を試したけど、失敗しちゃったんでしょ? 結局はどうやってクローンを造る事になったの……?」

 「ここからが本題……どうしても諦めきれなかった當山は、自分が身につけた技術で蘇らせる方法を思いついて、研究員チームを辞め、研究所を作り、クローンによって復活させる研究に励んでいた。恵梨香や友人二人のデータをベースにしてね……。ただこれが、あいつの人生が突き落とされるきっかけになってしまう……」

 「な、なにかしちゃったの……? あっ、そう言えば……」


 ――「みんな、妹の――と知られたら……知り合いに、妹の死が知られてしまったら……そして、『禁断の研究』の事について知られてしまったら……」


 「――って記憶の中の當山さんが言ってたけど……『禁断の研究』って?」

 「『禁断の研究』は、人工的に生命を一から作ったり、過去の人達を無暗に蘇らせる研究だ……前に大きな事件が起こって以来、この行動は『禁断の研究』とみなされてしまったんだ……でも、あいつはそのことも覚悟していたんだろう……。その後、クローンによる研究を行っては失敗、行っては失敗……これを繰り返すうちに、西暦3002年6月5日に『EMIRION(エミリオン) C-01(シーゼロワン)』と『EMIRION(エミリオン) C-02(シーゼロツー)』が誕生した……」

 「私達はこうやって誕生したのね……でも、気になる所が沢山あるんだけど……何で、私達は『他人』と言う形でフューチャーファイターズで再会する事になったんだろう……苗字も違うから、その間にはぐれちゃったのかな……。えっと、ここに来るまでは何してたのか、覚えている……?」

 「……アタシ達が目を覚ます前にあいつは尻尾を出しちまったんだよ……研究を行って失敗したクローンの残骸が、研究所の外へと逃げ出して、見るものを次々と襲っていった……当初に研究所を建てた場所の周辺へと……そう、あんた達が今朝行ったあの研究所と、そこに現れた変な生き物のことだよ……事件当時のネオ・ポンドポリスは負傷者が絶えずに施設も壊している変な生き物がいっぱいいると相次いでいた……それが原因で、研究所が捜索された……秀雄は捜査官が押し寄せて来ると悟り、『EMIRION』を連れて逃亡を図ろうと計画した……しかし、実際連れて行けたのは『C-01(アタシ)』だけで、『C-02(あんた)』は研究所に残されていった……あんたの言う限りでは、何らかの形で孤児院で引き取られたけど……実験結果とは気付かなかっただろうね……ここで、アタシはどこから来たかって話だけど……逃亡中、大きな災害に見舞われて……アタシは……知らない土地に投げ出されてしまった……至って普通の住宅街と然程変わらない場所だったけど……アタシはある家族に拾われながら生活していった……その家族とは因縁が出来たんだけどね……」


 理央は険しい顔で、拳を握りしめながら話した……笑は疑問を抱きながら――


 「い……因縁……? 上手くいかなっただけじゃなくて……?」

 「ああ、どうやらその家族……家族を装った、シャドウ・ウイルスの最高執行官の女の軍隊だってことが判明した……あいつは本来ならば、ウイルスの世界『ダークウェブ』に滞在しているはずだけど、人里に紛れては少しづつ侵攻していく最中だったんだよ……アタシも強制参加させられた……アタシに長年、親切にしてくれた理由が、ただの殺人人形として増やしたかったという、残忍な理由だったんだよ……」

 「理央さん……辛かったでしょ……」

 「……まぁ、辛かったけどあいつには少し代償を払わせてもらったよ。等々耐えられなくなったアタシは、作戦開始の事前にアタシがこっそりと戦士達を待機させたんだ……部下のウイルス達は戦士達に倒されたんだけど、執行官の女は力はまだ不完全だったから、逃げる事で回避する事となったんだ……執行官の女はダークウェブに帰る前にアタシの方に振り向いて、こう捨て台詞を吐いた……「お前の創造者はもう死んだ……」ってね……」

 「……」

 「結論を纏めると、アタシ達は双子の姉妹ってこととなり、クローンとしてアタシ達を生み出したのは當山 秀雄、あいつの目的は妹と友人二人を蘇らせることであり、アタシ達を連れ戻すためにここへとやって来たって事になる……あの時のアタシは自分が何のために生まれてきたのかはさっぱり分からないけどね……」

 「でも……理央さんは確か……外の世界にも、トキワタリにも興味を示してないよね……理央さんの趣味って……ウイルスを倒すことだけ……?」

 「ああ、散々利用してきたあの執行官の女に復讐を果たすまで、アタシはウイルスを倒し続ける……それが、アタシの目標かもね……」

 「そ……そうなんだね……あ、あんまり長く居ても良くないよね……最後にこれだけ……」

 「ああ、続けろ」


 笑は理央に記憶の中の事を伝えて、医療室のドアをくぐった後、ドアを閉めた……。

 その後に、イリルとセナがいる、トキワタリの部屋に行って、理央が話した事と作戦の内容を的確にかつ簡単に説明した……。


 「なるほど……やっぱり秀雄が言ってた話は本当の出来事だったんだね……」

 「うん、私の目標の最初の一歩は、當山を止めること! このままだと、メイキョウ地方にクローンが現れてきて、街をめちゃくちゃにされちゃう……!」

 「ええ、笑の答えは見つかったみたいね! そう言えば、聞いた限りでは、理央の目標って何だか冷血よね……」

 「うん……理央さんが調べたことによると……私は恵梨香さんの『喜びの感情』をデータベースにして、理央さんは『悲しい感情』をデータベースにしたみたい……だから、はっきりとあの事を覚えているかもしれない……」

 「そうなんだ……」

 「それじゃあ、さっき言った通り、明日の朝早くにスタンバイするから今日は早く寝るね! おやすみ!」


 笑は手を振りながら、笑顔でトキワタリの部屋を出て行った……。


 ――そして、翌朝……朝早くに人気が少なく、シャッターが閉まっている建物が多い中で、二人の戦士とドローンがネオ・ポンドポリスの横断歩道をゆっくりと歩いていき、険しい道へと真っ直ぐに向かって行った……。


 「よし、準備完了……『美川 笑』、戦闘を開始します!」

 「うん、行こう……! クローン研究所へ!」



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