〈間章〉拝啓、研究結果へ 破-1
ネオ・ポンドポリスの大通りにて、私とセナは美菜と共に、お菓子の材料を買いに行った後にネオ・ポンドデパートへと向かおうとしていた。その時に笑から連絡が来て、「理央が誘拐された」と緊急事態を要しており、私達は急いで笑の元へと向かって行った。
向かった先には、同じネオ・ポンドポリスらしからぬ荒れ果てた場所であり、少し先には研究所らしき建物が建てられていたが、いかにも崩れそうな感じで壁が朽ちていた……。
それを背景に、知っている声が手を振りながら小走りしながら向かってきて、やや大柄な陰がゆっくりと歩きながらこっちに来た。
「来たよ……笑……そして、北郎……?」
「ごめんなさい……急に呼び出しちゃって……休みたかったでしょ……?」
「私は別に……理央の命が晒されてると知ったから、見て見ぬふりを出来なかったから……」
セナは辺りを見渡しながら、困り顔をしながら話していた。
「それより、結構荒れている場所ね……ネオ・ポンドポリスにこんな場所があったなんて……」
少し落ち着きのない感じのセナと笑の横目に、北郎は冷静にしながら大剣を取り出した……。
「ここは、重要指名手配犯が残していった、研究所周辺だ。この嬢ちゃんが言うには、女アサシンが変な男に連れ去られちまって、今はこの門をどうにかする事で頭いっぱいってわけだ……俺は……訳アリで宝探しだぜ! 警備ロボットのパーツをな……!」
宝探し……? 重要指名手配犯の住処を……って……あっ!
――警告! 侵入者を確認――警備体制に入ります
突然の警報と共に、鉄の門から沢山のモーターの音が鳴り響いた……! 一瞬で重要指名手配犯の警備ロボに包囲されてしまった!
「しまった! 囲まれた……」
「た、宝探し……?! ここはちょっと難しいんじゃないのかしら?!」
「戦士なら普通気付くだろ? ほら、見えねぇ所に誰かさんが盗み聞きしてるらしいからな!」
警備ロボが私達に敵意を向けるかのように、こっちを睨み続けている……警備ロボは光線銃やハンマーを取り出して、私達を攻撃しようとしている……。
北郎曰く、このロボットは西暦2990年代に作られているらしく、現在流通している警備ロボに比べて、外見は角が多く、腕はノコギリや銃などの武器になっており、強盗やウイルスなどの力がある者に対しての防衛に特化しているらしい……現在では、環境の相性や臨機応変に弱いといった理由で、ほとんど見なくなっているそうだ……。
私は、ハンマーをすぐさま取り出してTypeの力をハンマーに蓄えた! 私は地面をたたき割るかの様に、ハンマーを両手で構えて叩きつけた!
「震えよ!」
周囲を包囲していた警備ロボ達は一瞬にして、飛んで行って爆発を起こしながら、壊れていった……。
「やっぱりすげぇチカラだな、トキワタリ」
「あっ! みんな、誰か来るわよ!」
セナは目を尖らせながら、研究所の方へと指を指した。すると、謎の男が屋根の上から見下すように、こちらに話しかけていた……。
「素晴らしい……! さすがはフューチャーファイターズ……この様な襲撃に物ともせずに受け流せるとは……」
「何者……?」
まさか……あの男が重要指名手配犯の……? 男は屋根の上から笑の方を見ると、目を見開きながら話していた。
「しかも、よくみたら、私の『最高傑作』の一人ではないか、久しぶりだね……お前を迎えに来た……」
「あ、あなたは誰なの……? しかも、『最高傑作』の一人って……」
「まぁ、忘れても無理もないか……」
男は首を横に振りながら、話した。すると、セナは冷たい目つきで男に説得を試みる……。
「笑から聞いたわ! 理央を返して頂戴!」
「返す? あれは私が逃亡した時に落としていったクローンだ。本当は、第二の地球中の者共が私を探し回っていない時に探そうとしていたんだが、あれから17年……変装や整形を繰り返してここまでたどり着いた……」
えっ?! クローン……? まさかとは思うけど……理央の事……? しかも、笑を『最高傑作』って……?
あれこれと考えていると、北郎が男に向かって鋭い目つきをしながら、男の事を知ってるかのように声を掛ける。
「貴様、重要指名手配犯の一人、禁断の研究と建造物損壊罪と殺人未遂罪の疑いがある『當山 秀雄』だな? 貴様はかつて、ミライ大学を卒業後、研究員チームとして勤めていて、妹と友人二人と共に過ごしていた過去があると聞いたが……」
「ああ、そうだとも……」
「ねぇ……聞くけど、クローン……って? それと、笑の事を『最高傑作』って呼んでるのって……あんた、人を騙してまで抵抗するの?」
「何故、噓なんか吐かないとならないんだ? 科学者は噓が大嫌いなんだ。これまで、噓をついてきたことはほとんどない……ついた噓は家族にこっちは大丈夫って言ってたくらいだ……本当は研究員チームの仕事は忙しすぎて休めてないくらいだったからな……」
秀雄と呼ばれる男は、表情を一切変えず余裕があるように話していた。すると、笑は突然、頭を片手で抱えながら――
「うっ!!」
――「みんな、妹の――と知られたら……知り合いに、妹の死が知られてしまったら……そして、『禁断の研究』の事について知られてしまったら……」
「え、笑……!?」
「イリルさん……またあの光景が……ひょっとして、あの記憶に出てきた博士って……あの人……?」
笑は片手で頭を支えながら、私に映し出した記憶の事について話してきた……! 私は思わず、目を見開きながらこう思い浮かべた……。
(笑?! まさか、あの男が言ってることって……)
「私の元へと戻らないっていうのなら……それでも構わないけど……そうなった場合、お前達の残された時間はもうないってね……何のためにここへ来た理由を果たすために!!」
「上等だゴラァ!!」
北郎は表情をこわばりながら大剣を片手で持って、担いでいた……! 秀雄は端末を取り出して、大柄のロボットに乗り込みながらこっちに向かって飛んでくる……!
「やめて!!」
――一方その頃……。
駆とウル、ラルクに優二はサンストーン通りを歩いて行った後、サンストーン・シティへと入っていった。
サンストーン・シティには様々な施設があり、アパレルやホビーなどの幅広いジャンルの店や、室内遊園地や水族館などの施設までもあり、大人から子供まで幅広い年齢層を虜にするショッピングセンターだ。
駆達は巷で大人気のトレーディングカードゲームの公式ショップ、「3020カードゲームステーション」を出た後、室内遊園地にあるゲームセンターへと向かっていき、駆は背伸びしながら話していた一方、ラルク不機嫌な感じで立っていた……。
「ゲーセン、楽しかった~!」
「ウル先輩……レースゲームで連続で1位になってましたが、本当に初めて何ですか?」
「ああ、あのゲーム、空飛ぶ車のレースゲームだったからな。俺は車の免許あるから一瞬で操作方法はわかった……それに、駆もラルクも荒々しい運転をしてたな……何度も他の車や壁にぶつかって、ましてやとんでもねぇ場所にコースアウトしてたからな……現実だったら生きることすらままならねぇだろ……」
「だって……レースゲームクソむずいんだ! シューティングゲームなら負けねぇけど……てか、さっきのカードゲームで負けたばっかなのに何でレースゲームで初めての奴に負けなきゃなんねーんだ!」
「ラルク……さっきウルが言ったじゃん……君もオレも荒々しい運転してたって……それに、さっき『3020カードゲームステーション』に行った時だけど、君のデッキはアタッカーしかいなかったから、スターターデッキを買ってた優二にボロボロにやられてたでしょ!」
「ああ、カードゲームは前から気になってたんだけど……意外と頭を使うんだね……カードゲームに関しては転売問題や偽造問題とかよく耳にするからどんなのかと思ったんだけど、実際は「戦略と知識を求める大人から子供まで愛されるゲーム」って言ったところか……僕の主観だけどね……」
「優二まで……次は負けねーよ! 気晴らしにおやつでも食おう!!」
ラルクは端末を操作して、バケツなほどに大きいプリンを取り出し、スプーンを片手に持ちながら、勢いで食べた。
「デカすぎだろーーー!? 一人で食えんのか?! 昼飯でラーメン大盛り5杯食ったばっかりなのに?!」
「俺はいつもこのくらいだぜ? だいたいお前たちは小食じゃねぇか? そんなんじゃ元気がでないぜ~?」
「君が大食いでしょ! やっぱりラルクの胃袋ってどうなってるんだろ……」
三人は不思議な感じで室内遊園地を歩き回っていた。雑談を交えながらも歩いていき、ジェットコースターやミラーハウス……様々なアトラクションを見て回っていった……。
そして、ラルクは大きなプリンの容器を空っぽにした後、やたらと怖いデザインの看板を目を尖らせながら指を指していた。
「だったら、次はお化け屋敷で勝負だぜ!」
「あそこは涼しくなることだけど……どうやって勝負するんだ?」
「一番、驚かなかった奴が勝ちって訳だ!」
「よーっし! もう一回勝ってやるぜ……ってウル? 耳と尻尾が垂れ下がってるけど……どうしたの……?」
「い、いや、何でもねぇ……早く行こう……」
(お化け屋敷は大体偽モンだ……そう考えれば、きっと大丈夫……)
暗闇の中で提灯の灯りのみが照らされていたこの屋敷で、4人は歩いていた……。すると演技が上手いお化けが4人を驚かせた……! お化けも驚くような青年一人の大声で、辺りはお化けよりも驚いていた……。
ようやく光が見えてきた頃には、ラルクと優二は急いで脱出して、駆は青ざめたまま動けないウルを抱えながら脱出した……。
「ウル!? 歩ける……?」
「……とんでもねぇ所に入っちまったみてぇだ……昔、本物の幽霊に会っちまったから……あれだけは……ダメなんだよ……」
「お前、お化け嫌いなの~? ニチアサによくお化け嫌いな設定付けられるキャラいくつかいるけどさぁ、お前もお化け嫌いの会に入るかもな~……って、いてててて!」
「てめぇ、俺に勝ったからつって、調子乗るんじゃねぇよ? 他人を煽った分、痛いしっぺ返しが喰らうかもしれねぇぞ?!」
「わぁぁぁぁ! すまねぇ! 調子乗り過ぎましたぁぁぁぁぁあ!!」
(ウルって怒らせちゃいけないな……今度から、早起きしてもすぐに、テレビや電気を付けないようにしよう……)
ウルはラルクの腕が縮むぐらいに腕を握り締めた……。すると、室内遊園地の出口からどこか見覚えのある姿を優二が目撃した……。
「あれ? 美菜……? それに、ネリネや弓先輩、留美先輩まで……」
室内遊園地の出口の前に、美菜とネリネ、弓と留美が腕に買い物袋を通しながら歩いていた……4人はどうやら次の店に向かおうとしていた……駆は大きな声で、4人を呼び出し――
「おーいっ、みんな~!!」
「駆さん、皆さん、奇遇ですね」
「かーくん! 早速だけど……次の店に行く時に服選んでくれよー!」
「ネリネ……駆はファッションナビゲーターじゃないよ……ファッションは自分で選んで楽しむからこそ輝くものっしょ!」
弓は胸を張って、ネリネに熱意を伝えた。それを目の前に駆は、何だか人が足りない様な感じがしてきて美菜に疑問を話した。
「相変わらずネリネは人任せだな……そう言えば、美菜……イリルさん達はどうしたの……? ネリネから聞いたんだけど、君たちで服を買いにデパートの方面に行くんじゃなかったの?」
「は……はい……しかし、笑ちゃんとイリルさんは気になったお店があって現在、別行動になったんです」
「そうそう! 端末機器の会社の姉妹ブランドのお店に~! エミはトキちゃんに着せたい服あるってはしゃいでたな~」
ネリネは笑がイリルに着せたい服のことについて話していた……。フューチャーファイターズや一般人が日々使っている端末には、開発しているメーカーがあり、中でも有名メーカーの『Universe・THE・Crystal』は姉妹ブランドとして、ファッションブランドも設立している。近未来的なデザインで新しい物好きの若者に人気のブランドであり、笑が一番好きなファッションブランドらしく、イリルにも新しい服を選ぶと約束していた……。
しかし、その話を物ともせずにウルは目を尖らせながらながら、美菜に話した……。
「美菜……正直に言え……イリル達は笑の後を追いかけて行っただろ?」
「あっ……」
「追いかけていくって……よく分からないお店に行ったんじゃないの? あの子、好奇心旺盛な所があるってあんたも知らないワケないっしょ?」
「俺は偶然にも、笑を見かけた。やたらと荒れてた道にコソコソとな……一体何があったのか全て説明しろ」
「人生楽あれば苦あり、たまには楽な主観でみるのだ。ほら――」
「はぁ……美菜……俺は噓つく野郎が大嫌いだって分かってる事だろう……最後にもう一回聞く、イリル達は笑の後を追いかけて行っただろ?」
ウルは長いため息を吐いた後に、美菜に正直に話すように説得した……美菜は、少し視線を逸らしながらも、今まで起こった事を簡単に話していた……。
「……ご、ごめんなさい……イリルさんに伏せてくださいって言われた事なんですが……実は、理央さんが……数日間帰ってきてないらしく、ルームメイトである笑ちゃんの所に手紙が残されているらしいんです……レイさんにも確認してもらいましたが……GPSが切られていると……」
「え?! やけに桃さんがキョロキョロしているなって思ったら、理央さんが……」
「確か「理央君どこいるんだい~今夜は不安で眠れそうないんだ~君の美しい太ももで膝枕してくれないか~?」って言いながら探してたな」
「……ひょっとして、理央さんが捕まってて、笑とイリルさん達で救出しようと思ってるんじゃ……」
「それなら、かなり危険だ! 俺は笑が行った場所へと向かって行ってくる!」
「待ってよ! オレも一緒に行くよ!」
「……わかった、他に行きたい奴はいるか?」
ウルは手を挙げた戦士達を見渡した……美菜とネリネが手を挙げていて、他の戦士は拠点へ連絡するのと同時に、急いで拠点に戻っていた……。




