無意味じゃない――
シャドウ・コロナに導く道のりで、ウルと北郎と理央は突然、出現したバグト・タラチュラの討伐を行っていた。このバグト・タラチュラはかつての因縁であった企業の責任者であり、因縁を晴らしたかのように去っていた……。
その後、ウルは初めて連携した理央に対して、疑問を抱いている……。
「理央、お前に聞きたいことがある。俺とお前は一人で行きたがる性質があるが、一つだけ違う点がある……お前は笑の事をやたらと守りたがる傾向があることだ。この作戦の詳細で、最初は俺の同行に乗り気じゃなかった癖に、笑がコロナの討伐作戦に参加するって耳にすると急に「気が変わった」と同行することとなったんじゃねぇか」
「……アタシと笑はただのルームメイト……ルームメイトだから守る……それだけだ……」
「……その割には関係は良好とは言えないように見えるがなぁ……笑もお前とはあまり話したことがねぇって聞いたことがあるし、特別な事情が――」
ウルは腕を組みながら、再び理央の方を見たが、理央の影が一切視界に入ってこなかった……。
「さっきの女アサシンは、天閃野家のお嬢様の方へと向かっていたぜ。何も言わずにな」
(はぁ……相変わらず厳密な女だな……)
「んで、俺はもうひと暴れしてぇところだが、おめぇさんはどうすんだ?」
「俺は駆達と急いで合流しようかと思います」
「んじゃあ、気軽に行っていい所じゃねぇと思うが、俺も狼に同行しようかねぇ……堅苦しい一家の軍に混じるのは少々申し分なくてねぇ……バリアが使える奴も一人必要だろ?」
「後輩にも『Typeバリア』を使える奴がいるんですが……そいつはネオ・ポンドポリスの防衛戦に参加してて……不足していたところでした……ありがとうございます」
「任せな! 面白れぇ夜になりそうだぜ……!」
ウルは北郎と共に、急いでイリル達の元へと向かって行った……。
――その一方で……。
メイキョウタワーの前にて、八二三とアプルはメイキョウタワーのステージに行く最中に、弓達はバグズ・アーマーと交戦中、少し息を切らしていた……。バグズ・アーマーのレバーを掴んでいるウイルス三人組は堂々と胸を張りながらレバーを引いた! バグズ・アーマーは手のひらを見せながら力を蓄えて、レーザーを放った!
「あぶない!」
「食らえ! レーザー!!」
碧正は弓を引いて、Typeの力で迎え撃った! しかし、レーザーの力で弾は打ち消されてしまい碧正はレーザーを受けて、吹き飛んでしまった……。
「うわぁぁぁぁ!!」
「あっ! 碧正!」
弓は急いで碧正の元へと向かって、碧正の身体を支えた。碧正は弓に支えられてゆっくりと立ちながら声を震えながら話していた……。
「ごめん……弓さん、蜥影……やっぱり俺は……ただの釣り好きで、戦うことなんて……」
「碧正……立てる……?」
「う、うん……少し休ませて……」
弓は碧正に寄り添い、簡単な手当てをしようとした所、バグズ・アーマーは弓と碧正に向かって拳を構えていた……すると、腕にエンジンがかかり――
「今だ! ミサイルパンチ!」
「ぐっ!!」
すぐさま、向かってきたミサイルパンチは、弓と碧正と当たる寸前に、蜥影がハンマーで防いだ! 蜥影はミサイルパンチの圧力で後ろに引きそうになるも、跳ね返そうとしていた……。
ベンガルはバグズ・アーマー内から、喧嘩を吹っ掛けるような態度をしながら話していた……。
「やっぱり、所詮テレビ出演者ね~! Typeの力を持ってても使いこなせないと無意味よ~♪」
蜥影はハンマーでミサイルパンチを防いだまま、鋭い目つきでTypeの力を纏いながら言い返す。
「いや……俺達は……この力を使いこなせてるよ! 碧正の使うアクアフィッシュは、使いこなせないと、あんな威力にも形にもならなかった……! 俺だって……この力がないと……ハンマーを十分に扱えなかった……!」
「だ~か~ら~? あんた達は足手纏いなのよ! あんた達の番組なんてなんも意味ない!」
「その言い方、ちょ~腹立つ!! ベンガル達は番組観てないから、そんなこと言えるのよ! 『最強! トップスクール!』は無意味じゃない! 例え、視聴率は低くても……アタシ……年下の子を支えてあげたい……最近の子達はTypeの力に恵まれるって事はあまり良いと思ってない子が多いんだ……それでも、その子たちはケーキ作りやサッカー、鉄道を研究したりと……Typeの力とどう向き合っているかを……もっと知りたい……。アタシは戦士という身分だけど……Typeの力に恵まれている子と繋がって……支えてあげたい……だから……出演者になることを決心したんだ! アタシはファンだから……わかる……」
「俺たちは……みんなも虫たちも待ってるからね!」
弓は強く足を踏み入れながら、ベンガルに対して反論する。Typeの力を纏った蜥影は軽々しく、ミサイルパンチをバグズ・アーマーの方へと跳ね返した!
「はぁぁぁぁ!!」
「うわぁぁぁあ!!」
バグズ・アーマーは跳ね返されたミサイルパンチを受けて、突き放されるように飛んで行き、倒れてしまった……。 それと同時に起こるかのように、謎の光に、いくらレバガチャしても身動きが取れないほど縛られる……。
「立ち上がるニャ……って、動けないニャ~!?」
「かかったな! 弓の言う通りだ! 若者だろうと老人だろうと、戦士か否かで舐めるんじゃないのだ!」
留美はこっそりと仕掛けていた罠を掛けて、ウイルス三人組に対して、鼻で笑っていた。
そして、留美は再びブラストをチャージして、罠用のユニットをバグズ・アーマーの頭上へと出した!
「もう一回……罠にハマるのだ!」
罠用のユニットが、バグズ・アーマーを謎の光に縛られながら持ち上げた! 蜥影は一気に近づいて、ブラストを放つ。
「カブトムシのように……勇ましく!!」
「ぎゃぁぁぁぁあ!!」
蜥影はハンマーを振り下ろして、バグズ・アーマーに命中させた! すると、弓はジャンプして弓矢を引きながらバグズ・アーマーの出てきた弱点部位に向かって、ウインクしながら矢を放った。
「人の事を馬鹿にしてばっかりだと、これからの人生テンサゲだよっ!!」
弱点部位を当てられたバグズ・アーマーは、等々耐久度に限界を超え、爆発寸前への状態になった……!
「嫌あぁぁぁぁぁ!! トキワタリがいない環境でも負けるなんて~!!」
爆発音と共に煙が舞っている状態で、すぐさま留美はウイルス三人組に向かって、ロープを取り出した。
「ここで大人しくするのだ!」
「ちょっとなんでよ~!!」
――その一方で……。
「なぜ……そこまでして邪魔するのですか……? この第二の地球はもういらないのに……!」
ウイルス因子が出て来る穴を背景に、コロナは戦士たちとの交戦をするも、力は勝っても数の多さに対応出来ずに、『強感電』反応を食らい、魔力が尽きたかのように片足で立つような感じで話していた。セナは真剣な表情でコロナに強い言葉を放った。
「コロナ……もうわかったでしょう! この第二の地球が必要としているのかを……! これが、今必要としている私達の意思なのよ!」
「今、この第二の地球を滅ぼしたって、ウイルスですら住めなくなってしまうだろう」
「……そこのジェットブーツの戦士さん……あなただって思い出の場所が潰されても、全然引きずってない様子でしたが……あなたは孤児院の事なんかどうでもよかったんですの?」
「ううん……最初は引きずっていたよ……誰だって、トラウマや受け入れられないことだってある……でも、それと同時に楽しいことや夢だってある……私の夢はとっくに叶ったの……「トキワタリに会いたい」ってね……」
「えっ……? それってまさか……」
「うん、イリルさんに初めて会った時にね……!!」
イリルは「どういう事?」と言わんばかりな表情で笑を見つめていた。それでいて、笑は心の中で過去の出来事を再現しながら、ここにいる戦士達に熱弁する。
――「笑~そろそろ起きなさい~」
「ふわぁ~……おはよう……おばさん……」
「今日はお散歩する? お庭の方へ!」
「孤児院のルールは結構優しかったけど……一つだけ、受け入れられないルールがあった。それは、「孤児院から外には出ては行けない」……たったそれだけの決まりが一人の少女を退屈させた……。ある日、孤児院のおばさんが一つの絵本を私にプレゼントしてくれたの。それは……『トキワタリのたびにっき』という本……出て来るトキワタリは時代や世界をあちこちで掛け渡り冒険を繰り広げ、時には辛く……時には楽しく……時にはすごい事をやり遂げた……。それと比べて……私は真逆の存在だった……そしてコッソリと、孤児院を出て、外の世界に行った……危険だとわかってでもそんなことは分かってる……でも、引きこもり生活はもう飽き飽きなの! そういわんばかりに、丘へ行ったら……見たことのない景色がいっぱい! 穏やかな風や羽ばたく小鳥達、カラフルで素敵な光景だった! 最終的にはおばさんには見つかって怒られちゃったけど……私とおばさんとの思い出の場所になった。 そして、17歳になった今、戦士として外の世界をあっちこっち回れる……寂しさもあるけど、私は冒険する権利を手に入れた。次はどんな世界に会えるんだろう」
笑は胸に手をあてながら、コロナに対して笑顔を見せて、第二の地球の必要性を伝えた。一方でコロナは、ゆっくりと立ちながら視線を下に向けていた……。
「……」
「笑……」
「だから……コロナ……もうこんなことはやめて!!」
「……嫌」
「な、なんでかしら?! あれ程笑が説得したのに?!」
「……ない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない……」
「コロナ……ひょっとして、君よりも幸せになってる人に対して憎んでるの……?」
「フフフ……もう理由を聞いて、もっと第二の地球を余計に滅ぼしたくなりましたわ……! やっぱり、信じるべきなのはダークマター様だけですわ!!」
コロナは穴から出て来るウイルス因子を全て吸収して、鋭い目で力を解放した……! すると、先ほどよりも比べ物にならないぐらいの大きさになっていき、黒色の身体を変化とし、翼も鋭くなっていた……!
「我が主よ……この宇宙の運命を絶望に与えし……再び『無』へと変えよ!!」
「……! しまった……! この為にわざとやられたのか?!」
穴から紫色のオーラが噴射して、コロナは噴射したオーラを全身で吸収した……!
「ウフフフフ……おーほっほっほー!!」
コロナは最大警報級と呼ばれる超特大型ウイルス……『完全体シャドウ・ウイルス』となり、再び魔力を纏いながら叫び声を放った。『完全体シャドウ・ウイルス』は戦士でも複数人いないと倒せない程、強力な力を兼ね備えており、出現地域に避難指示を出されるほど、街を壊してしまう傾向がある……。
完全体になったコロナは高笑い混じりで、戦士達に拳を構えた!
「私はようやく、完全体へとなりましたわ! これで、『コロナ禍3020』が襲来出来ますわ! まず、手始めにその娘から殺りたい所ですが、その娘の憧れのトキワタリ、駆除されてくださいませ!」
「何を言ってもダメみたいね……もう、倒しちゃいましょう!」




