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3020ストーリー~『第二の地球』と戦士の記憶を辿りながら~  作者: ユニィウルフ
〈第一章〉共鳴する過去の灯

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李徴と国立家


 ようやく日が登り、爽やかな青空が広がる朝の時間帯、国立家の屋敷で凛星が部屋の窓をじっと見つめながら理央の言葉を思い出していた……。


 「アンタの選択は手が足りない位あるけど、世界が変わる可能性があるのは三つ、一つ目は「フューチャーファイターズの縁を切って、アンタ達だけで討伐作戦を行う」二つ目は「フューチャーファイターズとの協力関係を再び築き上げ、作戦の味方に付ける」……三つ目は複雑な選択だけど……」

 「ええ……構わないわ……続けて頂戴」

 「三つ目は「父と戦士との間で何かあったか、真相を調べてどうするか考える」だよ……どれを選んでもアンタの自由だけど悔いのないようにね……」

 「ご忠告ありがとう、私も次はをするべきかはもう決まったわ。これで、そろそろ帰ってもらえるかしら?」

 「ああ、後それと『世界を決めるのは誰なのか?』。くれぐれもこの言葉も忘れないように、じゃあね」


 このような言葉を残しながら、去っていく理央の姿を思い出した凛星は、頭を抱えていた……。『世界を決めるのは誰なのか?』……この言葉は彼女にとって大きな選択をせがまれる事をなのかもしれない……。


 (『世界を決めるのは誰なのか?』今まで深くは考えた事はなかったけど……)


 そう考えていたら、凛星の部屋の扉からコンコンと叩くような音が鳴り響いて、柔らかな声がしてきたのだ……。


 「凛星様、いらっしゃいますか?」

 「この声は……彩花……?」


 凛星の教育係でリーダーの彩花は、扉を開いた先に優雅に振舞いながらやって来た。


 「凛星様に会いたがっているお方がいらっしゃいました。お会いに言ってはどうでしょう?」

 「ええ、丁度そのことを若葉様から聞いたわ。今から向かおうかとしている所よ」

 「そうですか……それでは、気をつけていってらっしゃいませ」

 「ええ、行ってくるわ」 


 凛星は、今着ている洋服を綺麗に整えてながら、彩花に微笑みを見せながら、屋敷の入り口に向かおうとしていた。彩花は立ち去ろうとする前に、凛星に一つだけ言葉を残しながら凛星とは反対側の方へと向かったのだ……。


 「あっ、待ってください。少し、慎重な判断をする事を忘れずに……」

 「いつも通りの事じゃない、それじゃあ」


 ――その一方で……。


 私達は李徴が運転する車で、国立家の屋敷へと向かった。李徴はドリフト走行をしながらも、車の駐車を行いつつも車を止めた……。途中で違反にはならなかったものの、事故が起こるんじゃないかと思いながら助手席に座っていたので、車から降りたら少し一息をついた……。セナも少し緊張感を感じたようで――


 「ふう……ひやひやしたわ~途中で事故るんじゃないか心配してたのよ……」

 「すまない……私は運転すると人柄が結構変わるらしくてな……あまりにも荒い運転でウルや両親にも注意されていて、しばらく避けていたんだ……」

 「そうだったんだね……」


 李徴は歩きながら、少しやり残したことがあるかのような表情を読み取った……。屋敷の方をじっと見つめながら、歩いていたのだ……途中で案内役の者に導かれ、大きな門をずっしりと開けた。

 そして、門を開けた先には広いロビーで曲がった階段が設立されており、目の前には大きな銅像が置かれていた……初めて見たはずなのに……どこかで見た気がするな……。

 李徴は屋敷のロビーに足を踏み入れた瞬間、なんだか落ち着かない様子をしながら話していた……。


 「それにしても……またここに来ることになるとはな……相変わらず、内装が綺麗になっているな……少し歯がゆいが……」

 「李徴は屋敷は苦手……?」

 「いや、ただ……この屋敷に最後に来た時、両親の離婚が決まった頃合いと重なってな……」

 「離婚……? あなたはさっき、両親の事を言ってたけど……今はどうしてるの?」

 「ああ、それなんだが現在の父は母の再婚相手で、私には父親が二人いるということだ。二人共、浮島型居住ユニット、浮島『TUKI(つき)』に普通に暮らしている」

 「そうだったのね……」

 「私はまだ士官学校の生徒だった頃、覚えている過去の中で雄一の一家団欒だった……。劉輝が屋敷のパーティーに招待されて参加する事となった……当初は私と劉輝は同級生だった。色々と雑談や将来について、ジュースを片手に語り合ったり、ご馳走を満喫したり、楽しい時間だった……いや……楽しい時間のはずだった……」

 「えっ?」

 「当時、実父と劉輝の父親とのトラブルが発生してしまい、辺りは騒動と化とした……二人のトラブルは治まる事なく、関係者や管理人、最終的に警備員や警察が出動する羽目になってしまい……パーティーは途中で中止するような感じでお開きとなってしまったのだ……それが原因で、元から関係が悪かった両親は更に悪化し、次の日に離婚が決まったのだ……実父はメイキョウ地方に残ったままだが、母は私を連れて浮島『TUKI』へと引っ越す事となり、士官学校も転校する事となった……」

 「ええ! 何で喧嘩しちゃったのかしら?! 「ご馳走を取られた」って理由じゃないでしょうね?」

 「いや、そんな些細なことではない。実父は元から人格に問題があり、劉輝の父とは噛み合わなかったのだろう……」

 「なるほど……それで、劉輝は……?」

 「劉輝との再会は、少し特殊で私がメイキョウ地方部隊に移る時――」


 李徴は昔の頃を話していた途中、一階の部屋の方から出てきた強い声でかき消されてしまい、廊下が早歩きするかのような足音でこちらに向かってきたのだった……屋敷のメイドだろうか……。


 「ちょっと、あなた! 確か、劉輝様のご友人の李徴さんでしょう! 一体何の用かしら?」

 「え? あんた達は……」

 「すみません、こちらの早苗(さな)先輩は少々強気な方で……あっ、私は美鈴(みすず)とお呼びください。私達は凛星様の教育係で、貴方様がたがここにおっしゃると若葉様からお聞きしてます」

 「は、初めまして……私はイリルでこっちはセナ……」


 私達は自己紹介を軽く済ませた。先ほどの教育係の早苗が言ってた事に、李徴は頭を手で支えていた……。


 「ああ……過去の騒動により、こうなる事も予測はしていた……国立家の関係者で見剣家とは不仲と思われると多いだろう……私も長い間で劉輝と合っていなかったから、噂は広まり続けている……」


 美鈴はあたふたしながらも李徴を慰めたが、早苗は顔色を変えずに白い目で睨んでいた。


 「いいえ……! 私はその噂、信じてませんよ! フューチャーファイターズについて、劉輝様と仲が良かった事を私は耳にしていたので……!」

 「いや、あの時と同じようにこの屋敷をどん底に突き落とすかもしれないわ! 用が済んだら早く帰って頂戴!」

 「待って! いくら実父がそうした事でも、李徴がそうするとは限らないでしょう!」


 セナは李徴を庇いながら、早苗に説得を試みようとした。すると、階段の方から凛々しい声がしたのだ……。

 

 「早苗……下がって頂戴……後は私が……」

 「は、はい……凛星様……」


 国立家の長女、『国立 凛星』が私達の目の前に姿を現した。凛星は階段を下りながら、こちらへと向かっていった。


 「あの人が……」

 「若葉と同じくらいの子かしら?」

 「貴方が国立家の長女、国立 凛星だな……母の王妃はグラン地方、長男の翔輝様はエスカロード地方へと向かっており、雄一メイキョウ地方に滞在中の貴方に交渉へと参った」


 李徴は丁寧に凛星に挨拶した……しかし、凛星は視線を逸らしたままだった……。


 「はじめまして……貴方達の事は檜木様から詳しく聞いているわ……でも貴方達との関係上、戦いに協力することはできないわ……」

 「断る理由、教えてもらえるか?」

 「貴方……戦士達が父上を裏切った事は本当?」

 「劉輝を?! どういう理由で友を裏切らないとならないのだ?」

 「実は、教育係から聞いたの……シャドウ・コロナとの戦いで、父上はフューチャーファイターズと共闘した……しかし、戦いの最中に戦士は誰一人もいなくなって、最後は父上の命が……!」


 凛星は涙目になりながも、李徴を責め立てていた……しかし、李徴は首を横に振りながら冷静でいたままだった……。


 「……凛星様……シャドウ・コロナの戦いに参加したのは、君の父親だけではない……友である私も参加したのだ……あの頃の背景を全て話そう……」

 「えっ……? 貴方は父上の事を知ってたの……? 全部話して頂戴……」

 「ああ、当時のメイキョウ地方で、シャドウ・コロナの出現予兆が確認され、警報が出されたのだ……私はその時、別の場所からメイキョウ地方に来て間もなかった為、少し緊張しながらも作戦に参加した……そして、出現予兆が当時の国立家と近かった為、戦いの途中で劉輝と再会した……」

 「再会……? 昔から合っていたってこと?」

 「その通り。詳しくは君にも後に話すが、久し振りの再会に伴いつつも、協力関係を築き上げる事となった……しかし、シャドウ・コロナとの戦いはあまりにも激戦を強いられた……奴は高い生命力と強い魔力を兼ね備えていた為、戦士達は撤退せざるを得ない状況までに追い込まれた……それでも、劉輝は撤退はしなかった、彼は奴の弱点を知っており、その技でシャドウ・コロナを弱体化させることができ、討伐に成功した……しかし……その反動で、劉輝は命を落としてしまったのだ……」

 「そ……そんな……」

 「凛星様、戦士の誰かが劉輝を殺したこと、フューチャーファイターズが貴方達を見捨てたこと、そして……「信頼している人物」の言ってる事全て……本当は真っ赤な噓なんだ……」

 「……でも……証明になるものはある?」

 「その証明にこれを、貴方に」

 「えっ?! 私が幼い時、父上にプレゼントした折り紙のペンダント?! 何で貴方が……?」

 「それを貴方に渡すように劉輝があの戦いで最後の一言を振り絞るように私にお願いしてきた……ただ、当初の国立家は私を白い目で見る者が多かった上で、劉輝の娘や妻の情報があまりにも少なかった為、渡すタイミングが見つからなかったんだ……長い間、待たせてしまってすまない……これで、証明できるかな……」

 「……」


 李徴は凛星に、折り紙のペンダントを渡した……。ペンダントはボロボロになっていたものの、幼い頃の凛星の絵はまだはっきりと見えていた。凛星は両膝を床に着きながら、ペンダントを両手で抱きかかえてた……。


 「何で……今までお父様……何も言わなかったりしたの……今まで自分の事と周りの人の事、全部話してくれなかった……」

 「君の父親こと劉輝は、自分の状況を口にするのは苦手で、家族事情や経歴の事、ご先祖様の事ですらあまり話さなかった……このような劉輝をどうか、愛してやってくれないか……?」

 「ええ、これはもう受け入れざる負えないわね……李徴さん……今まで、ごめんなさい……私達があまりにも他の国との合流が少なすぎるせいか、このような誤解を与えてしまったわ……」

 「気にしないでくれ、我々フューチャーファイターズは国立家との関係を再び築き上げること、それだけで十分だ」

 「ええ、後ほどご報告するわ……それに、天閃野家に連携を同意するように連絡しないと……」

 「李徴……良かったわね……受け入れてもらって……」


 凛星は、ゆっくりと立ち上がった。私は気になったことを李徴に聞く……。


 「李徴……凛星と劉輝のご先祖様様って?」

 「ああ、あの銅像の人物、コードネーム『リグル』についてか? 彼は伝説の鍛冶屋と呼ばれるほど、強力な武器を次々と戦士達に提供したと伝説がある。子孫たちは多くの鍛冶職人を残しており、凛星様の弟の翔輝様がエスカロード地方へ行ってる大きな理由となる」


 コードネーム『リグル』……初めて見た気がしない……ひょっとして、私と会ってるのかな……。


 「あっ!」


 ふとした瞬間、私はあの時の記憶が、蘇ったかのように浮かび上がった!


 ――「リグル……いる?」

 「なんだ? 手紙に書いてあっただろう? もう武器は作らないと……」


 そうだった、私はあの時団長からの依頼で、鍛冶屋との交渉を願いしていた……その鍛冶屋は確か――


 「ああ……全てあんな事になったのはあのデカブツとの戦いで俺の嫁さんも事故に巻き込まれちまった……こうなったのは自分が鍛冶屋の人生を進んでしまった事によるもんだと、思っておるんだ……」

 「いや、あれは事故なんかじゃない。ウイルス達は積極的に人々を平気な顔をして襲ってきた。その中には、あんたの嫁もいた。そして、嫁はあんたに渡したいものがあるって、最後の一言を絞りながら話してた」


 私はあの時、ポケットから四角い小さい箱を取り出して、リグルに渡した。するとリグルは、目を涙をこらえながらも、話していた。


 「指輪か……フン、あいつ……俺の最初の誕生日プレゼントもこれだったな……特別高いもんじゃないが、あいつとの温もりが感じるもんだ……わかったよ……材料、そこに置いていけ」

 「わかった……ありがとう、リグル……」


 リグルにお礼を言った後、私は鍛冶屋を後にした……リグルはため息を長く吐いて、鉄の塊を掴んだ。


 「もう一回だけ……一緒に出かけたかったよ……いつも仕事ばかりですまない……嫁さん、こんなダメ夫でも許してくれ……」


 ――「リル……! イリル……!!」

 「あっ! ごめん……昔の記憶を思い出していた……あれ? 李徴は?」


 ふと我に返ったら、セナが慌ただしく、私に呼びかけていた……気付けば、李徴と凛星の姿もなかった……。


 「さっき、李徴はよく分からないけど、真剣な顔で庭の方に行ったわ! 私達も急ぎましょう……!」


 セナの後に続いて、私達は駆け出しながら李徴が行った方角へと走っていった……。



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