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3020ストーリー~『第二の地球』と戦士の記憶を辿りながら~  作者: ユニィウルフ
〈第一章〉共鳴する過去の灯

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国立家


 昨日の夕暮れ時、国立家の屋敷にて、仕事を終えた凛星の元に招かれざる客人が部屋に入って来た。そう……理央が凛星の部屋に腕を組んだまま入ってきたのだ……。

 凛星は話が終わったらさっさと帰る条件で、理央を部屋に招く事にしたのだ。

 

 「話って……何? というかどこから入って来たの? 警備体制をどうやってくぐったの?」

 「確かに警備体制が完璧でアタシも手こずるような感じだったよ。でもよく見たら、完璧なコンピューターにセキュリティホールがあったかのようにあんまり警備されてない所があったから、そこからお邪魔させてもらったよ……次からはそこを視野を入れる感じで、見直すように」

 「ご指摘ありがとう……じゃなくて……一体何の用なの……?」

 「アンタが今やろうとしているウイルス討伐作戦に釘を刺しに来た。このまま実行すると、大変な事になるよ……そういえば、アンタ達は天閃野家と協力関係にあたるフューチャーファイターズに何かトラウマがあるようだね……」

 

 理央の言葉に対して、凛星は少し視線を逸らしていた……。


 「何で知ってるの……? ええ……確かに、父上がいなくなったのは……戦士の一人が裏切ったって聞いたから……!」


 凛星は、仕事で使う大きな机の方へと向かって、立ったまま手を置きながら、戦士達との過去を話していた……。


 「あれは、シャドウ・コロナがメイキョウ地方へ上陸した時……、父である『国立(こくりつ) 劉輝(りゅうき)』は、フューチャーファイターズの一員と協力をして、シャドウ・コロナに立ち向かったわ……父上は槍術で、死闘を強いられながらもシャドウ・コロナ討伐作戦に貢献できたわ……しかし、戦いの最中にフューチャーファイターズは姿が見えなかった……そう……フューチャーファイターズは父上を見捨てたのよ!! そうじゃなかったら……!!」

 「……」


 凛星は拳を強く握りながら、強く机の上を叩いた。それを横目に理央は顔色を一つも変えないまま、凛星の父親の過去に対して、首を横に振っていた。


 「悪いけど、アタシの知り合いで見捨てるような奴は聞いたことがないよ……内通者がいるなら別だけど。そもそも、その時代はアンタもアタシも生まれてなかったはずだ。誰から聞いた情報だ?」

 「……! それは……教育係の三人から……だけど……」

 「……そうか……もしそれが事実なら、アタシ達との絶縁を検討しても「仕方ない」しか言えないけど、今の話からすると、間違ってる可能性だって当分あり得る。身近で信頼できる人物が、突然裏切る事だってあるからね。「仲良くしてた子が引っ越しに行ってしまう時に手紙を送るって言っといて、別の子に手紙をやり取りする」みたいなもんだよ……」

 「……確かにその可能性があり得る気がしたわ……でも、あなたも戦士でしょう……? 万が一、父上を殺した団体に再び利用されて、国立家が崩壊する運命に至る事もあり得るでしょう……?! 私はもう二度と間違った道へと進みたくないわ! あなた達は目的は何なの……?」

 「アタシはこの辺にいるシャドウ・コロナを討伐しに場所を把握しただけだ……アンタ達を殺しても壊しても、前科が付いてしまうだけだよ、それにアンタもシャドウ・コロナの復活に危機感を覚えてるようだね」


 理央は凛星に向かって、指で数を表したのだ。


 「アンタの選択は手が足りない位あるけど、世界が変わる可能性があるのは三つ、一つ目は「フューチャーファイターズの縁を切って、アンタ達だけで討伐作戦を行う」二つ目は「フューチャーファイターズとの協力関係を再び築き上げ、作戦の味方に付ける」……三つ目は複雑な選択だけど……」

 「ええ……構わないわ……続けて頂戴」


 

 ――そして、翌朝……まだ日が昇り切ってない時間帯に、私達はセナの着信音で目が覚めた。私は背伸びをしながらも通信に出ようとした。


 「あら? 李徴からだわ? 繋げるわね」

 「イリルにセナ、こんな朝早くからすまない……少し相談がある」

 「李徴……? どうしたの……?」

 「実は、『天閃野家』の長女、若葉様がフューチャーファイターズの通信に直接、繋がってきた。通信室へと繋げてあるから、私と共に、来てくれないか」

 「ええ、良いわよ!」

 

 私とセナは李徴に呼び出されて、急いで通信室へと向かうこととなった……。そして、映し出されたモニターに若葉と酢橘が映し出されている……。


 「若葉、酢橘まで……」

 「イリル様にセナ様……お休みの所、申し訳ございません……急を要する事態が起こってしまいました……。このような形で報告する事となりますが、ご了承ください」


 若葉と酢橘は丁寧に頭を下げながら、話していた。


 「どうしたの? 何だか困った表情をしているわよ?」

 「実は、ウイルス因子の出現地を調査した結果、シャドウ・コロナの出現予兆の場所と一致したと報告がありました……」


 若葉は端末を使って、シャドウ・コロナの出現予兆をマップに映し出した……。何だか山に囲まれている感じがする……李徴は何かを思い出したような感じで話していた。


 「ここは……国立家が警備している地域ではないか……」

 「国立家……?」

 「あっ……イリル様達には伝えていませんでしたね……詳しく説明しますと――」

 「若葉様、国立家については私がご説明させていただきます」


 酢橘は若葉と位置を入れ替わるような感じで、前に出た。


 「国立家は『国立 凛星』様が率いる、もう一人の『親王』様のご一家です。国立家は戦闘力に長けている者であり、私達とも長年にわたり、協力関係を築き上げて来ました」

 「劉輝の娘か……その者達も今回の戦いに加勢に参るのだろうか?」

 「いいえ……凛星様がどういう訳か、「今回は連携しない」と言い出してしまい、我々も頭を悩ませているのです……」

 「何故だ? 劉輝は戦闘能力に関して厳しい上に神経質な場面があったが、私の剣術を素晴らしいと認めており、数少ない友人の関係でもあった……。その上で我々フューチャーファイターズとの関係も悪くはなかったはずだ……。現在、劉輝はシャドウ・コロナの討伐作戦に犠牲となってしまい、娘は王妃の手一つで育て上げた事を今でも覚えているのだ……」

 「原因は不明です……恐らくフューチャーファイターズに嫌悪があるような態度でした……恐らく、内通者が劉輝様との過去を改ざんして凛星様に噓の情報を伝えたのでしょう……」


 酢橘の予測を李徴は仮面の下の表情が、ギラギラしている目つきで指の関節をポキポキと鳴らしていた……。


 「若葉様、国立家の説得は私のが引き受けよう、かつての友の娘を間違った道を歩ませるわけにはいかない。イリルにセナも私に同行してもらえるか?」

 「わかった……」

 「ありがとうございます……くれぐれもご無理のない範囲でお願いいたしますね……」

 「任せて頂戴!」

 「それでは、失礼いたします」


 若葉は通信室に繋げた通信を、モニター画面を真っ暗にするように終了させた……。その後、私とセナは李徴の後に続き、国立家の屋敷おうとしていた……向かっている最中に、李徴は――


 「今回は急ぎの用事だ……久しぶりにアレを使おう……ついてこい……」


 李徴は走りながら端末を操作して、シャッターが開く音と共に、今までなかったような扉の方へと入って行った……その部屋には、作業台やエネルギータンクが置いてあり、白い空飛ぶ車が一台あったのだ……そして、私達のは開く車の助手席に乗り込んだ。


 「まさか、久しぶりに運転する機会が来てしまったようだな。ウルや先輩に長らく封印されてしまったから、うずうずしていた……」


 外の方へと繋がるシャッターが開く音が続く中、李徴は運転席でパネルでパスコードを入力した後、エンジンの音が響いてきた。そして、レバーを動かした後、ハンドルを握りしめてアクセルを踏む……。


 「しっかりと掴まって置くように! 発進!!」

 (なんか嫌な予感がして来た……)(なんか嫌な予感がして来たわ……)


 空飛ぶ車はジェット機かのように、かなりの速さへと飛び立っていく……。



 ――一方その頃……イリル達が空飛ぶ車に乗り込んで、国立家の屋敷に向かった後、ニュートラル東スクエアで、焼きルッコラ一号とラッキーが、女子高校生二人の愚痴を耳にしながらもテクテクと歩いていた。

 

 「最近、ららニュートラル先生の新作エッセイ読んだんだけど……前作から一転して、酷かったんだよね~」

 「ああ、あれ? ホント~最悪だった……」

 「今日はフューチャーファイターズの食堂の買い出ししないといけません……ラッキーさん、ついてきてください!」

 「今日って、本屋に行く予定だっけ? あの雷オオカミが言ってた『チート級スキルで俺は異世界の冒険者食堂を始めてみました』がちょっと気になってるんだよな~」

 「全然違いますよ……いつも行ってるスーパーにですよ……今日は特売日なので、食材費が結構抑えられそうです」

 「チッ! 俺様達がAIだからってこき使いやがって! 今度、あのババアに頼まれることがあったら――ん? なんか尻尾が……」


 ラッキーは、いつもの不機嫌そうな表情を一転、違和感を覚えるような表情をした後、振り返ってみると――


 「うわぁぁぁ!! 何だよ、このバカ犬が!! いっつも俺様の尻尾を嚙みつきやがって!」

 「え……? バカ犬って……誰ですか? 僕、そもそもロボットだし……」


 なんと、ベレー帽のような頭のAIアシストロボットが、ラッキーとルッコラ一号の目の前に立っていたのだった……。ルッコラ一号は珍しい者を観たような感じでこう話す。


 「あれっ? この子、作家ロボという個体じゃないですか? 芸術に特化している人工知能が搭載されているAIアシストロボットですよ!」

 「ご、ごめん……ビックリさせちゃったかな……」

 「一体何なんだよお前は! 俺様と戦う気なのかゴラァ!」

 「い、いや……勝手触っちゃってごめんなさい……僕、ちょっと泊まる場所探してて……」


 作家ロボは目を涙目にしながら、元気がないような声で話していた……。


 「その荷物……ひょっとして家出しちゃったんですか?」

 「うん……僕、昨日までご主人様と小説を書く仕事してたんだ……最初はお互いに頑張ろうって背中を押してくれたんだけど……日に日に渡って、仕事が増えていく割には僕に給料が減っていき、ご主人様は仕事を僕にやらせてばかりなんだ……それにご主人様は僕に仕事を押し付けては、高いバーで男を弄んだって噂を耳にしたけど、「知らない」っていうばかりなんだ……」

 「え~?! それは酷いですね!」

 「それだけじゃないんだ……僕が一番不愉快だったのは、ご主人様に「たまにはサイン会を開いて、応援してくれているファンの皆さんに感謝の気持ちを伝えようよ」って言うと「ファンなんか勝手に増えて、勝手に応援するだけで勝手に買ってくれるから必要ない。今は私を嫌っているアンチを黙らせる方が先よ!」ってサイン会の話が却下されちゃったんだ……それで、僕はもう耐えられなくなって……昨夜、夜逃げしたってわけなんだ……」


 作家ロボは前かがみの姿勢になりながら、これまでの経緯を話した。それを聞いたラッキーは、こわばった表情で足を強く踏み入れる。


 「あぁん?! なんてゴミみてぇな主人なんだ!! まるで、俺様の過去にそっくりじゃねぇか!! ついてきな、フューチャーファイターズの拠点に行って桃に交渉してくるぜ!」

 「え? い、いいの? あ、ありがとう……」

 「あんなにへそ曲がりだったラッキーさんが、一体のロボットの為に人肌を脱いでくれてます……感動しました!」

 「んじゃあ、先に帰るぞ! ついでに他のロボットに買い物ができるやつがいねぇか聞いてみるぜ!」

 「え?? まさか、買い物をサボれるのが狙いじゃないですよね?!」


 ラッキーは、作家ロボを拠点へと、まるで任務から逃げるような感じで連れていった……。


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