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3020ストーリー~『第二の地球』と戦士の記憶を辿りながら~  作者: ユニィウルフ
〈第一章〉共鳴する過去の灯

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フェイク・騒動

 ――そして、翌日……朝起きたら、いきなり桃から通信があり、研究室に向かうよう呼び出された……。


 「ええ?! こんなにウイルス物質に変えられたなんて!!」

 

 セナはまるで、大量の害虫をこの場で見たような反応で話していた。そして、この大量のウイルス物質は桃のデスクに山のように乗せられていた……。しかも、電子レンジやモバイルバッテリー、掃除ロボットやレーザーノコギリなどといった日用品や道具が多かった……。


 「ああ、そうだよ……ここ最近、ウイルス因子がさらに活発しているらしくてね……これじゃあまるで、キリがないよ……」

 「……」

 

 桃は、キーボード操作をした後、『ツブヤキリンゴ』の画面を、真剣な表情で私達に見せた。


 「あと、トア君が最近、フューチャーファイターズの誹謗中傷について、原因となった記事がわかったんだ。これを見てくれ」

 「あっ……これは……」

 

 皆さん初めまして! これからは、ウイルス達と共に歩む時代です! 今まで、全人類の皆様と、私達との関係が争いを絶えなかった時代でしょうが、これからは違います! 私達はただ普通に過ごしたいんです! なのでどうか、私達の同族を倒すのをやめてください!


 この前、通知で流れてきた投稿だ……。『フレア』と名乗るアカウントが、ウイルスを倒すことを否定している。一見して、ただ普通に暮らしたいらしいが、何だか引っかかるような……。


 「ああ、このフレアって名乗る子が原因として挙げられている可能性が高い。フレアは他の投稿も載せているんだけど……気になるものもあったんだ」


 今日、散歩したら……同族が一般人にいじめられてしまいました……心が苦しいです……。


 今日家に原生生物の『イワハイエナ』が現れてしまいました……めっちゃくちゃ怖かった~。


 「あら? どれも画像が貼ってあるけど、どの画像も違和感があるわね……まるで後乗せの様な……」

 「セナ君! 素晴らしい答えだね! 実はこれ全部、ウイルスの戦略による、AIを使ったディープフェイクだよ!」


 桃は拍手しながら、セナを称えた……。確か……『ディープフェイク』はAIや機械学習を使って、改変されたり、架空の人物や出来事を描く合成メディア、またはその技術を指す言葉だ……。

 桃曰く、ディープフェイクによるフェイクニュースやデマ、宣伝は民主的な意思決定を妨げるとの指摘があり、詐欺やいじめ、児童ポルノなどの犯罪の利用も現実への脅威になっている……。

 現在、AIに関する法律や注意喚起、デマ対策のソフトウェアの導入されているが、それと同時にディープフェイクの技術が上がってしまっているのだ……。

 セナは険しい目つきでこう話した。


 「酷いわ! 前々から酷いデマが広がっていたけど、AIを悪い事に使うなんて!」

 「本当に許せないね! 私は今のAIロボちゃん達を家族だと思ってるんだ! AIの神様だって悪用されることを望んでないのに! AIは犯罪に使う道具じゃないんだよ!」

 「そうだね……! でもAIの神様って?」


 私は桃にAIの神様について質問したら、桃は愚痴をこぼした態度から一変、目を輝かした。


 「AIの神様に興味あるのかい?! メイキョウ地方ホトリ市にある『人工知能神社』って所があるんだけど、そこにAIの全てが司るという、素晴らしい神様がいるんだ! 私は毎年、そこで初詣やお参りに深夜で向かうんだよ」

 「大晦日ん時、コソコソと荷物まとめたの、神社に行くためだけだったのかよ! 俺様とルッコラ一号も気づいたら、激セマな荷物の中にいたから、てっきり夜逃げするかと思ってたぜ!」

 「ラッキーさん……桃様はそんな理由では夜逃げしませんよ……」

 「え? あなた達、桃のAIロボットかしら?」


 部屋の奥から、二体の歩行ロボットがテクテクと歩いてきたのだ……。


 「フン! 俺様はこいつのなんかじゃねぇよ! 俺様はただメイキョウ地方に暮らしたかった野良のロボットだ! だが、こいつに気に入られちまって、フューチャーファイターズに入れさせられちまった!」

 「でも、その時、ラッキーさんは「この街に長く生きれるならなんだってする」とおっしゃっていましたよね? こう見えても桃様には感謝してるんですよ!」

 「とっくの昔のことなんか、俺様は覚えて……覚えてなんかねーよ!」

 「ラッキー……尻尾振ってるよ……」

 「まぁ、それはともかく……今後ともAIによるディープフェイクは私が対処しよう。君たちも真っ赤な噓に惑わされないように他のみんなに声をかけたりしてくれ」

 「ありがとう、桃……ここは任せたよ」


 私とセナは、研究室を後にして、ロビーに向かうことにした……。


 「ふぅ……そろそろ私も朝食にしようかね……ここら最近、『満腹キャンディー』だったから、流石に栄養が偏るかなって思ってたんだ……ルッコラ一号、スティックサンドを……」

 「はい! すぐできますよ! スティックサンド専用のパン、最後の一斤だったので買えるかどうか心配でした」

 「え? なんでだい?」

 「ラッキーさんが駅前のブックランキングを見て、立ち止まっちゃったんですよ……それで遅くなっちゃいました……」

 「結局買えたモンは買えたし、もういいだろ!!」

 「まあまあ、ラッキー君も本に興味あったのなら、私のいくつか貸してあげるよ」

 「どうせお前の本は難しい感じの本なんだろ? そんなのはごめんだぜ!」


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