「守るわよ~!」
――接続エラー、通信が接続できません
「通信が切れちまった……! ここは、多目的ホールでも何でもねぇ所なのか……」
「とりあえず、前に進むしかない……」
レイと連絡が急に繋がらなくなってしまった上、出口も消えてしまった……、それと同時に、ファイアセルゼリーとチキ・トリスの群れが、地面から湧き出てきた!
「雑魚敵のお出ましか! よ~し、いっちょ暴れるか!」
「ラルク! ここは冷静に――」
「バニッシュフラッシュ!」
ラルクは『Light』タイプの力を弾に蓄えて、ファイアセルゼリー達に向かって、弾を撃った。すると、『火花』反応が起こって次々とファイアセルゼリーが爆発していき、チキ・トリスの群れも爆発に巻き込まれていった。
「ふぅ~」
「すげぇ! これが戦士の戦い?!」
「ラルク、あんまり大胆に撃つなって、駆に言われてるだろ? 僕たちも巻き込まれたらどう責任取るんだ?」
「おっと、わりーわりー、次はなるべく『目眩し』や『プリズム』反応を狙いながらやるぜ! 『プリズム』反応の時は、『Ice』タイプの力も必要だから、優二も手伝ってくれ!」
「方程式は覚えないのに、こういう事になると、よく覚えるんだな……、おっとすまない……イリルさんにセナさん、話についていけなかったかな……」
「いや、私は別に……」
性格が正反対の二人が、それぞれの思考を話していた。それを横目に、セナは私達の前に移動して――
「それよりも、早く先生達を探しましょう! みんな、私についてきて!」
「セナ……早速、あのアプリを使うんだね」
「ええ! 桃が入れたアプリの一つ、『ミライセンサー』よ! 探し物や訪ね人を登録すれば、センサーが反応してどこへ行けばいいか一目でわかるはずよ! イリル、オンにしてみて!」
セナは、画面を私の前に映し出した。私は『ミライセンサー』のアプリのスイッチを入れてみると……周りに青い光が輝き、地形をスキャンするかのように伝わって言ったのだ……。
「うわぁ! なんか青色の矢印が出て来たぞ? わかった、そこにみんながいるんだね!」
「あっ! 咲人君、待ってくれ!」
咲人は私達を追い抜いて、走ってしまった……。
「がきんちょは元気だな~……っていっけねぇ! もう姿が見えなくなってる!」
「急ごう……!」
私達も、咲人を追いかけるように、後を追った。道中、再び地面からウイルスが湧き出てきたが、私達が次々と倒していって、咲人を守った。
そして、矢印の方向を指している場所は、何だか大きなドアがあって。ドアは自動的に横にスライドしていった……。
そして、見えた先には、児童達や先生達が、またもや見覚えのある姿に、監視されていた……。
「ニャフフフ……計画通りだニャ! さぁ、さっさと言う通りにするニャ!」
「あの……何度も言ったはずです、ウイルス物質は私達の手元にはもうないって……」
「噓つくニャ! 貴様らを偵察した時、確かにガキどもがウイルス物質を持ってた所をこの目で確認したニャ! もう一回抵抗したら、どうなるか、分かってるかニャ?」
ラルクが言う中島先生と呼ばれる人が、シャド・ニャンに手を掴まれている。その横目に、児童たちはウイルス達に向かって話した。
「ウイルスの餌になるんでしょ?! でも、ファイターさん達が止めにきてくれるんだろ?」
「そんな甘い話ありませ~ん!! 戦士達もきっと迷ってるはずよ! この部屋の機械にウイルス弾を撃たせたから、一生助けは来ないわよ~!」
「あっ、咲人とファイターさん達だ!」
「フニャァァ?!」
入口付近で、私達を見つけた児童は大きな拍手をして、次々と大きな拍手が続いていた。ウイルス三人組は、目を見開いていた。
「みんな~!」「来たぜ~!」
「部屋をこんな状態にしたの、あなた達の仕業だったのね!」
「ニャフフフ……ここまでたどり着けるなんて、敵ながら素晴らしいニャ……」
「黒薔薇の使い『ヴェンル』!」
「毒キノコの術者『ベンガル』!」
「IQ百億のAIロボット『シャド・ニャン』!」
「三人組合わせて……」
「「「ウイルス先遣隊三人組だ!」」」
ウイルス三人組は、決めポーズ(?)を取っていた……。それを見ていた優二は顔色を一切変えず、ウイルス三人組にこう話した。
「君達と、君達の部下が企てた計画は、ウイルス因子が狙いなんだろう? 小学校の児童達を巻き込むことないと思うぞ。早く部屋から解放してあげなよ」
「解放? それは無理なご相談だな。何せ、こいつらも俺達の世界でタダ働きさせるからな!」
「それは酷いわ! 普通に学校に行かせるべきでしょう! そもそも小学校は義務教育だし!」
ベンガルは児童に向かって、呼びかけていた。
「いい? みんな~! 大人しくアタシ達に従えば、学校なんかめんどくさい事しなくてもいいのよ♪ 宿題なんかないし、まるで天国みたいな場所よ~! さぁ、一緒に行く子は手を挙げて~!」
ベンガルは手を挙げながら、その手をぶらぶらと振っていた。しかし、手を挙げる小学生はいなかった。そればかりか、眉間を皺を寄せながら、ベンガルに向かって口を開いていた。
「ずっと休みは嬉しいけど、休みなら夏休みの方が楽しいわよね……」
「うんうん、ウイルスの世界でタダ働きって事は、永遠のブラックきぎょーっていうのでしょう? パパが言ってた」
「オレ、どうせなら戦士の所で働きたい。冒険に行ったり、魔物と戦ったりしたい」
「大体、ウイルスは世界を壊した悪い奴なんだろ~? おばさんの所になんか行くわけねーだろ!!」
ある、児童の言葉で、手を振るのをやめたベンガルは――
「お……お……オバさんですって……」
ベンガルは、火山が噴火したかのような感じで、顔をこわばった……!
「あぁ、まずい! ベンガルが『Fire』タイプの技を習得したか?!」
「もう、仲間を増やす計画は破棄よ! ヒューマル・アサシン! あの生意気小僧をやっつけちゃいなさい!」
男子児童に指を指したベンガルは、荒げた口調でヒューマル・アサシンに命令した。
「ブチ切れのくせに、他人に命令してて草」
「ヤレヤレ……、今回ダケダゾ……」
ヒューマル・アサシンは男子児童に向かって、刃を振り下ろした……! それと同時に、咲人はその子の元へと走って向かう!
「クラエ!」
「あ、危ない!」
咲人は男子児童を庇おうとしたら、突然、咲人のポケットが光出した! 光出した後、ウサギが急に咲人の前に現れた!
「守るわよ~!」
そのウサギは、ヒューマル・アサシンを足で踏みつけた。ヒューマル・アサシンはあまりにも突然だったのか、防ぐのには遅く、後ろに倒れていった……。
「ナニ?! 小賢シイウサギガ……!」
「た、助かったよ、咲人……」
「おう、お前も生意気な態度をとるのも程々にね」
どうやら、ウイルスから攻撃を防げたようだ、その隙に、私は、ヒューマル・アサシンに対して、Typeの力を使い、攻撃を仕掛けた!
「はぁ!」
「フンッ!」
「避けたか……」
ヒューマル・アサシンは一瞬の隙も与えないかのように攻撃を避けていった……。すると、ラルクが私にこう話した。
「イリル、こいつの目を眩ませようぜ! お前と俺とのTypeの力を当て続けて『目眩し』を起こすんだ!」
「わかった……」
Typeの力は、同じTypeを与え続けても効果があるらしい……『Light』タイプを攻撃し続ける事で、相手の視界を遮る『目眩し』が表れるらしい……。
それを抗うかのように、ヒューマル・アサシンは再び避けようとしていた。
「ソンナ事シテモ無駄ダ!」
「それはどうかな?」
優二は『Ice』タイプのマジックを使って、ヒューマル・アサシンの動きを封じ込めた。ヒューマル・アサシンの足は、
地まで凍っており、逃げ出す事ですらままならなかった。
「ナ?! イツノ間ニ、凍ッテル?!」
「光線!」
「パワーレーザー!」
「グハァ!! 目ガ!!」
「すげぇ連携だ……」
『目眩し』が起こって、ヒューマル・アサシンの身動きが取れなくなってしまった。
「このままだとまずい……! 手助けするか?」
「いや、プランBを実行するニャ!」
「ああ、そっか! あいつらが気を取られてる隙に……!」
シャド・ニャンは、咲人に目掛けて走っていた……!
「うわぁ!」
「咲人……!?」「咲人くん!」
しまった……! ヒューマル・アサシンに精一杯で、ウイルス物質が彼らの手に渡ってしまった……! でも、まだ打つ手はある……。
「ゲッ! ウイルス物質があいつらの手に!」
セナは急いで、ウイルス三人組の元へと飛んでいった!
「私が行ってくるわ! イリル達はヒューマル・アサシンを!」
「頼んだよ、セナ」
「何よ?! ちびドローン、アンタ一人でアタシ達に立ち向かうつもり?」
「あら? あなた達に立ち向かうつもりはないのよ?」
セナは取って置きの技をウイルス三人組に対して、披露したのだ。
「ウインク♪」
「ドローンにウインクされても嬉しくない……」
「あらそぉ? 咲人くん、早くこの人達から離れましょう」
「でも……あれっ? う、うん」
(やけに諦めが早いわね、まいっか!)
ベンガルは、少し首を傾げるながらも、大した事ないなと思っていた。
ラルクは身動きが取れなくなったヒューマル・アサシンに向かって、銃口を向けながら話した。
「これで、決着付いたな! バイバーイ!」
「グワァァァァァ!! ソンナ……」
ラルクはヒューマル・アサシンにトリガーを引いて、トドメを刺した。すると、ヒューマル・アサシンは完全に消える前に、虚ろ目にしながらこう口にしていた。
「主様……我ガ主、『シャドウ・コロナ』様……申シ訳ゴザイマセン……」
「!? い、今なんて?! 『シャドウ・コロナ』……?」
「またやられた~!! でも、今回は逃げるが勝ちよ!!」
「「「また来週~!!」」」
ウイルス三人組は、煙玉を持ちいって、煙を起こしながら逃げて行った……。
「やれやれ、手間がかかる奴らだったな! さてと、みんなで~……あれ?」
「どうしたの?」
「どうやって出るんだ?」
「ちょっとーーー私達閉じ込められたの~?」
「どうやって暮らせばいいんだよ~?!」
「皆は静かにしてくれ! 確か来た道に出口が――」
「その必要ないよ」
ラルクや優二、児童達は「どうしよう~」「またピンチー!」と部屋中騒いでいった……。しかし、聞きなじみがある声が、この禍々しい基地のような空間から、鏡が沢山あり、複合フローリングの場所へと変化していったのだった……。
「あら? 多目的ホールに戻ったわ」
「この声は桃? どうしてここがわかったの?」
「ああ、レイ君から連絡を受けてね、どうやら多目的ホールに設置されたプロジェクターがウイルス物質にされて、ウイルスが普段使っている檻にされてしまってたようだね」
「だったらなんで、最初から出てこなかったんだよ~」
「あえて泳がせて置いたのさ、初っ端なから手助けすると、流石に相手も警戒されるかと思ってね」
「なるほど、流石にそれは、読み切れませんでした。感謝いたします」
優二は桃に礼を言っていた。咲人は桃に出来事の中で、気になっていた事を挙げていた。
「えっと、オレから質問いい? さっき、優二お兄ちゃんにカードもらったんだけど、突然ウサギが出て来て、ウイルスからクラスメイトを守ってくれてたんだけど……」
「いい質問だねぇ! それは私の発明品、『森のおともだちカード』っていうんだ! ウイルス因子が多い空間で危険な状況に会った時、森のおともだちが現れて、守ってくれるんだ! 本当は全児童にサプライズで配る予定の物だったんだけど、状況が悪かったからね……サプライズは諦めることにして、君に渡したんだ。この後、終了後にみんなに渡すことにするよ!」
児童達は、拍手や声援をしていた。その一方で、ラルクは何かに気づいた事があって――
「あ~でも、ウイルス物質があいつらの手に渡っちまったぜ……これからどうすんだ……?」
「あっ、それは大丈夫よ! だって――」
――一方その頃……、人気のないビルの屋上で、ビル風に打たれながらウイルス三人組が話していた。
「早速、さっさとコレを封印したあの場所に――」
ベンガルはポケットからペットボトルを出していた。中身は色鮮やかなライトブラウンの液体が、ただ揺れるだけだった。
「おいベンガル、これって、ただの飲みかけのカフェオレじゃねぇか! 何で?!」
「ええ?! 確かにあそこにいた時はウイルス物質だったのに!」
「慌てるニャよ……。こういう時はさっき、ヒューマル・アサシンから貰ったウイルス因子を――」
シャド・ニャンはペットボトルの蓋を開けて、ウイルス因子を入れたのだ。しかし、それを拒否するかのように、カフェオレはウイルス物質になることはなかった……。
「消えちゃったニャ……抗体まで出来ちゃってるニャ!」
「結局無駄足だったじゃないのよ! あーもう! このままだと、戦士達が勝っちゃうわ~!」
ベンガルが足を強く踏み入れた後、ヴェンルの端末から、突然、謎の声が流れていたのだ……。
「無駄足じゃなくてよ」
「え?! お前、まさか……」
【ミライ図鑑】
お馴染み、美人解説家の大喜山 八二三ちゃんで~す! オメーらはハロウィンをどう過ごしたか? アタシ? アタシはジャック・オー・ランタンと七五三の時の相談してたぜ!
というわけで、今回の紹介を――
くらえ!!
【アプリ紹介:日課曲】
……ってTypeの力紹介じゃないんか~い!!
……と思ったオメーはTypeの力マニアだぜ……。さすがに、三連続じゃ、飽きる奴もいるかなーと思って、今回はこの時代の技術をもっと知ってもらいてーから、アプリ紹介にしたんだ!
アプリの一つ、大人気ストリーミングアプリ、『日課曲』だぜ! 割とよくあるストリーミングにしても悪くねーと思うが、日課曲の大きな特徴は、思い出が曲になるってことだ! どんな端末でも、どんな状況でも作成ボタン一つで、曲になるんだ! 楽しい思い出だと明るい曲になるし、暗いとバラード曲ができるってやつだ。喧嘩するとロックやヘビメタになったり……と十人十色なアプリだぜ!
ただ、これは収益化は出来ねぇ上にここの曲達は売る事ですら禁じられている。趣味程度に特化しているから、音楽活動したいって奴は、DTMや音楽の知識を習っているやつもいるぜ! 最近では、音声合成系の曲が流行っているんだよな~。
以上! 他人の物を使って、自分に名声や富を狙おうって考えたら、泥棒! 何もかも失う前兆だぜ……。




