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3020ストーリー~『第二の地球』と戦士の記憶を辿りながら~  作者: ユニィウルフ
〈第一章〉共鳴する過去の灯

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ウイルス物質

 中央ニュートラル通りにて、私達が天閃野家の檜木様と、娘の若葉と合流しており、私達が記憶探しをしているということで近衛兵に扮した若葉が手伝ってくれたり、ウイルスと戦ってくれたりしてくれた。

 そして、気づいたら、帰宅する人がいっぱい出歩いて、日が落ちていったのだ。


 「皆様、今日は本当にありがとうございました。皆様と合流してくれたことで、私も戦士の事を詳しく知ることが出来ました」

 「こちらこそ……」

 「若葉……戦士の手伝いをしたかったら、次からは、ちゃんと私か酢橘に言ってくれよ……」

 「はい……申し訳ございません……」

 「まあまあ、閣下、本日は想定外のトラブルが起こってしまったので、若葉様は臨機応変に対応なさっていたので……」


 ――一方その頃、西ニュートラル通りにて……。CMトラックと流れると共に、少年が、息を切らしながら走っていった。


 「第二の地球の皆様に、素敵な音楽を……『日課曲』、無料ダウンロード!」

 

 息を切らしながら、走っている少年は、天閃野家の長男、『天閃野(てんせんの) 楠木(くすのき)』だ。周囲の人々から、姉と同じく『楠木様』と、周囲に親しまれている。

 

 「早く、姉様と合流しないと……! 止めてある車に乗らないと行けない!」

 「楠木、そんなに慌てなくても、若葉達は逃げないわよ」

 「わかってるよ母様、……でも、おばあ様の墓参りに行くってこととなると、姉様は、意地でも先に行きたがるから……父様と酢橘が止めてればいいけど……」


 楠木と通信を交わしていたのは、天閃野家の妻、『天閃野(てんせんの) 本葉(ほんば)』、親王妃という身分で、家族や国を支える手助けをしている。


 「あっ! 信号……他の人もいっぱい……」


 楠木の目の前に、母親らしき人物と、姉弟を思わせる、子供達が歩道の端へと止まっていた。


 「あら? あの家族、車で行くのかしら……」

 「そうみたいだ……ってえ?! あ、あれは!」


 楠木は、目を見開いたまま、立ち止まった。

 

 「母様! あの家族、ウイルス物質を持っている! しかも、コーヒー飲料のペットボトルに入ってて、男の子の手に持っている!」

 「えっ?! 本当?!」

 「母様! 父様達とフューチャーファイターズに連絡して! 僕はあの子を説得して、回収してくる!」

 

 楠木は急いで、ウイルス物質を回収しにいこうと、走って男の子の所へ向かって行った。しかし、間が悪いことに、家族の前に車が到着していた。


 「あっ! 待ってくれ!!」


 男の子は、楠木の声に気づかないまま、車に乗ってしまった……。そして、その車は大通りの方面へと走って、飛び立って行ったのだった……。


 (このままだとまずい……もし、あの子かあの子の家族にウイルス物質を口にすると、取り返しのつかない事になる……、ひとまず、父様と合流しよう……)


 ――そして、再び、中央ニュートラル通りにて……そろそろ、お開きの時間がやってきたのだ。


 「さて、若葉、そろそろ行こう。今日は家族で墓参りに行くんだから」

 「はい、それにしてもお母様も楠木も遅いですね……この時間帯は車が混雑してますから……」

 「しかし……道路上の車は比較的少なかったです……何かあったんでしょうか……」


 檜木様の端末から、着信音が聴こえてきたのだった。


 「おっと……妻から……? 失礼する。はい、檜木です」

 「あなた? 聴こえる? 楠木がとんでもない者を観ちゃったのよ!」

 「まさか、また怖い映画や小説を見たのか? 姉弟揃って好奇心旺盛だからな……」

 「そんなんじゃないわよ! 実は、ウイルス物質を持ったっていう家族を目撃したって言ってるのよ!」

 「え!?」

 「ウ、ウイルス物質?!」

 「そう言えばあなた、戦士様と合流する事になったって言ってたけど、まだ、戦士様はいるかしら?」


 私はすぐさま、檜木様の端末に映っている、本葉様に向かって、話していった。


 「代わって! 私はイリル、トキワタリかつ戦士……状況を詳しく教えて……」


 本葉様は、通信を繋げたまま、事の経緯を正確に話した……。


 「――という事だったんです……。どうしましょう……」


 焦りを見せた、本葉様に向かって、セナは、胸を張って話した。


 「心配しないで! 私達はフューチャーファイターズよ、ウイルス物質の事は私達に任せて頂戴!」

 「ありがとうございます。只今、楠木が車を通じてこちらへと向かっています!」


 本葉様は、セナと私達の熱意に、お辞儀をしながら、話していた。すると、笑は歩行者の男性を指差して話した。


 「あっ! みんな、見て! あの男の人がウイルス物質を持っている! た、たい焼きっぽいけど……」

 「えっ?!」


 なんと、男性は、たい焼き型のウイルス物質を持っていたのだ……。続けて、美菜も、服屋の方へと長杖を指して話した。


 「皆さん、あちらにも! あれは……マネキン……?」

 「なんで、どこもかしこもウイルスまみれなの~?! しかも、なんで、みんな気づかないの~?!」


 なんと、長杖を指した先には、帽子がウイルス物質のマネキンだった……。セナは、驚きを隠せない様子で、慌てていた……。

 まさか……これが、ヴェンルが言ってた――

 「――何のことだ? 俺達は人々にちょっとした物をあげてるだけさ」


 ――となると、急いで回収しないといけない……。笑は拳を握りながら、話して、私は疑問を抱きながらも考えた。


 「やっぱり、シャドウ・ウイルスの復活に関係があったんだね!」 

 「でも、あんなに沢山……どこから出てきてるんだろう……」


 そう言うと、後ろから誰かの声が聞こえてきた……。


 「……あれは、海賊版街から出てきたんだよ」


 この人は確か……桃の隣にいた、あの冷ややかなあの女戦士かな……。


 「あっ……理央さん……?」

 「えっ……? 海賊版街から……?」

 「ああ、あたしは北郎って名乗る奴と一緒に、ウイルスの世界に繋がる穴を見つけたんだ」


 理央って言う戦士から、事の経緯を少しづつ話してくれた……。


 「その穴は、他のホールよりも小さかったんだけど、穴からウイルス因子が飛び散っていた、おまけに目立たない所にあったから、余計タチが悪い……」

 「……」


 話によると、海賊版街の中で、最も人が立ち寄る事のない場所にウイルス因子が飛び散ったという……。


 「それで、あたしは原因を突き止めて、これ以上ウイルス因子が出ないように、穴を塞いだんだ……。天閃野家の長男が早く気づいてなかったら、もっと増えていたよ……」

 「なるほど……」


 理央が手を腰に当てて離した後、その横から、少年の声がした……。


 「あ、あの~……そろそろ話しても大丈夫ですか……?」


 「楠木……!」

 「アタシはいつでもいい」


 道中、理央と出会い、情報提供していたという、若葉の弟の楠木が、私達の方へ頭を下げながら、お辞儀をした。


 「遅れてごめん……姉様……。初めまして、僕は『天閃野 楠木』、今日、姉様とお父様から聞いたことがあります。姉様達を助けてくれてありがとうございます」

 「ど、どうも……」

 

 美菜は楠木に、ウイルス物質をどこで見かけたか、問いを掛けた。


 「それで……楠木様が見た、ウイルス物質はどういう感じだったのでしょう? 話によると、よく見かけるペットボトル飲料の中に入っていたと、本葉様がおっしゃっていましたが……」

 「はい、実は……父様達と合流すべく、学校から車へと向かおうかとした所、例の家族がいて、男の子が手に持っていたそのペットボトルに、ウイルス物質が入っていました……。急いで回収すべく、その男の子に声かけようかと思った時、車に乗っちゃって……大通りの方面へと、行ってしまいました……」

 「ええ!? それは大変! 早く突き止めないと! 坊ちゃま! 車の特徴はどんなのかは覚えているかしら?」

 

 セナは、宙に左右と飛び動いて、焦りを見せた感じがした。楠木は、そんな焦りを見せるセナを落ち着かせるように、両手を前に出した。


 「落ち着いてください、セナ様! 車の特徴までは、詳しく見てないので、わかりません……家族がニコニコと話していた事ぐらいしか……」

 「家族が……ニコニコと……? 家族がウイルスになろうと企ててるのかしら?! それはまずいわ!!」

 「セ、セナさん?! まだ、その家族がウイルスになろうとは決まったわけじゃ……」

 「で、でも……万が一の事態にも対応しないとでしょ?! 人には実は、裏があるって展開もあるのよ! 早く警察にも――」


 慌ただしくするセナを、笑が必死になって掴んでいた。すると、理央は何かわかったかのような表情で――


 「楠木の話でよくわかったよ……その家族は、ウイルスを使った犯罪を犯そうとしている可能性はない。きっと、ウイルス因子がこっそりと感染したんだよ」

 「こっそりと……?」

 「そう、桃さんから聞いたことがある、ウイルス因子は感染力が結構高く、一掴みの因子でも大きく感染するんだ。その上で、宙を舞ってる上で、移動性もあって、狙った奴は逃がさないってやつだよ……ただ、アタシ達の様なTypeの力を持っている奴は、ウイルス因子に耐性があって、感染することはなく、風邪をひく程度で済む。ただ……問題は、一般人だよ……ウイルス因子のワクチン接種をしない限り、ウイルス因子を身体に取り込めば、問答無用で、ウイルスにされてしまうんだ……」

 「そんな……何か手はないの……?」

 「……残念だけど、医者にはお手上げを言い渡されるだろう……ウイルスの世界に暮らさせるか、可哀想だが、倒すしかないよ……アンタ達も知っているだろ……一度ウイルスになると『死亡』判定になるってこと……」

 「……」


 私は、何だか悲しくなってきた感じがした……もし、あの家族が、温かい家庭が突然、ウイルスによって壊されてしまったら……想像しただけでも震えてきた……。

 沈黙の中で、笑は、手を顎に当てながら話していた。


 「とにかく今は、回収出来るだけのウイルス物質を回収するしかないね……。楠木様、今日の事はオペレーターや隊長に急いで報告しておきます。なるべく、ウイルス物質には近づかないように、呼びかけてください!」

 「はい、わかりました。父様達にも周りの人達にも報告しますね」

 「皆様、本日は本当にありがとうございました。最終的には、このような状況になってしまいましたが、私達も全力でフューチャーファイターズの方々の、手助け出来るように励んでいきます」

 「ありがとう、二人も気をつけてね」



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