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2023/2/3 東京、涼子

「今頃真希はヨーロッパでエンジョイしてるのかなあ」

「そうねえ」


 ほう。向かいの席で穂香は小さく息をこぼした。宙を見る眼差しにはさびしさと、それから若干の羨ましさが混ざっているように思える。海外旅行を趣味とする穂香にとって、真希の選択はそれだけ魅力的でもあったのだろう。

 三人の行きつけだったレストランは、今日も穂香と涼子を温かく迎えてくれる。

 一週間と少し前、同じくここで開かれた彼女の送別会を思い出した涼子は、連鎖的に浮かんだ人の影を振り切るように小さく頭をふるった。

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