わが家の七段飾り
わが家のおひなさまは七段飾り
亡き祖母が京都で買ってきた
毎年三月三日が近付くと
押し入れの奥から運び出す
わが家のおひなさまは七段飾り
一番上は新郎新婦のお内裏さま
右が笏持ち刀帯びた男雛
左が檜扇を優雅に広げた女雛
わが家のおひなさまは七段飾り
二段目はお世話係の三人官女
真ん中は座り姿で島台を持っていて
両端は立ち姿で長柄銚子と提子を持つ
わが家のおひなさまは七段飾り
三段目は雅楽担当の五人囃子
太鼓、大鼓、小鼓、横笛、それから謡い
左へ行くほど大きな楽器になってゆく
わが家のおひなさまは七段飾り
四段目は弓矢で御所を警護する随身
右がおひげを生やした玄人の左大臣
左が白酒がお好きな新米の右大臣
わが家のおひなさまは七段飾り
五段目は雑用を司る三人上戸
箒や熊手を片手に泣き顔、笑い顔、怒り顔
左には橘、右には桜が咲いている
わが家のおひなさまは七段飾り
六段目は婚礼道具が並んでる
箪笥、長持、挟箱、鏡台、針箱、火鉢に衣裳袋
はては茶の湯道具まで揃ってる
わが家のおひなさまは七段飾り
一番下は平安貴族のおでかけ用具
左は御駕篭で、右が御所車
あいだに重箱を置けば完成
わが家のおひなさまは七段飾り
苦労して飾ったお人形たちも
三歳の娘には値打ちがわからないようで
今は彩り豊かなひなあられに夢中