適は身内にあり!
便秘で奮戦した体験談です。共感してくれるとたいへんうれしいです。
年のせいとはおもいたくないが、むかしはなかった便秘に陥ることがある。
身体を動かさない連休後、とくにそれは起こる。
自分は恐怖とともにこう呼んだ。
―― 連休後便傷シンドローム ――
その夜は、5日のお盆休みが開けた翌晩だった。
「なんか痛い」
トイレに行く。
5分10分。
少し出た。
出たいのに出ないことがあるが。若干の傷みと、排便したい欲求。こんなときは座るだけ無駄だ。どれだけこもっても、期待は裏切られる。需要に供給がおいつかない。時間のベットは流されて、親の総取りとなる。この場合の親が誰だか知らないが、「いつか出る」の賭けは成り立たない。
「残りは朝だな」
そうして寝床につく。お腹に違和感を従えて、うつうつしながら寝てるような起きてるような時間がすぎた。1時間後、すさまじい腹痛に襲われる。
「いまか?」
傷みへの嫌悪より、それを越える嬉しさを抱えて個室に直行。もちろん家族はみんな寝ており、静かで暗い。真夏とはいえ涼しい時間帯で、エアコンも切ってる。
「ふんぬーーー」
力んではいけない。いきむのだ。
過剰な力みは肛門に余計な負担をかける。痔主さまになってしまう。
過去に2度、肛門科のお世話になった。孔のあいた専用パジャマをはいて指を突っ込まれる屈辱。3度味わいたくはない。便秘(下痢でもおこる)による2次災害は、引き起こしてはならないのだ。
ふっふっふー
便の動向は、腸内の鞭毛活動にゆだねるしかない。
自分は、無力な宿主である。結局は生命という生まれ落ちた自然に、流れを任せるしかないのだから。
ときに。
ウンの正体をご存知だろうか。ネットで調べると成分割合がわかる。
健康な人のウンの内訳は、こうなってるという。
水分 約80%
食べかす 約6.6%
生きた腸内細菌 約6.6%
はがれた腸粘膜 約6.6%
約1兆個の腸内細菌 残った約1グラム
これに諸説あります。食べカスと腸内細菌がそれぞれ10%とか、水分は70%とか。なんにせよ、ほとんどが水分で、食べかすは少ない。
水が、いかに便生活に影響をあたえているか、わかるというものだ。
暑い日はどれだけ水を飲んでも汗になる。貯水量が足りなくないから、便に回せる水分は低下。便秘になるやすい。
また寒い冬は、身体がそれほど飲み物が欲しがらない。これもまた水分が枯渇する要因となる。便秘は年中おこるのだ。
自分は「はがれた腸粘膜」がポイントだと考える。仕事では多少なりとも身体を動かすが、休みの日はそれがない。寝転がってスマホか読書、座ってPC、狭い庭で土イジリ。
身体を動かせば胃腸も活発になる。腸粘膜も無事にはがれて、外に出る。休みには腸粘膜を剥がすほどの動きはない。でも、細胞は老廃するので、剥がれないまま胃粘膜は層を厚くする。
仕事の始まりに一斉に剥がれ、カサカサ(当社想像)粘膜は、廃水溝の枯葉だ。便秘の元として立派に機能する。
「で、でない。腹イテー!」
日中に飲んだ水が足りなかったのか。
夕飯の食べ過ぎか。
9時過ぎのおやつか。
それとも……。
ありとあらゆる後悔が、脂汗とともに流れ落ちる。
お腹は痛いのに、出てこない。明日も仕事、寝ないといけない。いつまでも個室でふんばってるわけにはいかない。いかないのだが……あとすこしだけ。
肛門に意識を集中。押し出す大腸に想像力を投影。スポンジ、または残り少ないケチャップを押し出すイメージをむける。
細い管をしゅるるるるーといく泥水を想像したとき、出そうな気配が止った。
「ぐぬぬー」
トイレでの奮戦は時間との戦い。だからといってスマホを持ち込むのは止めたほうがいい。敵の思うツボだ。立ちはだかる壁を突破するには、たゆまない想像力を集中が不可欠。
よそ見は少ないチャンスを見逃す。ガマンして我慢して、小さな運搬を積み重ねた者だけが、勝利できるのだ。
「で、出た……」
今日も勝った。だが次回もこうだとは限らない。長くつらい排便生活を楽しいものするには、日頃の精進がものをいうのだ。
―― おしまい
よんでくれて、ありがとうごうざいます。
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