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ダンタリオンと勇者   作者: 小栗とま
オズワルド王国の章
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59 決戦(パブロの視点)


 その時は来た。


 「現れたゾ――!!」


 俺の肩に乗ったちびサタンが、耳元で言った。

 それは「奴」のお出ましを告げる警報だ。


(――あれがネロ様に成りすました男)


「オルオンっ!!」


 奴が姿を現したのは、やはり精霊の丘の真上の空だ。


 空中に浮かぶオルオンが、その足元に左手のシジルをかざし、魔方陣を浮かび上がらせようとした。

 それは一瞬の隙も見せない召喚だろう。


 けど、俺たちも負けるわけにはいかない。


 オルオンが現れた頃には、クロムを握ったダンタリオンが奴の背後に回っている。そしてクロムがオルオンに触れるべく、その刃先をもたげた。


 当然クロムをかわそうとするオルオンを、リアとエレナが挟み撃ちにする。

 2人は今まで見たこともないほどの殺気を放ち、その熾烈な魔法攻撃の勢いはちょっとオルオンが哀れになるくらいだった。

 そこへ魔法騎士団と聖職者からの援護も加わり、オルオンを中心に全ての力が集約されていく。


 そしてクロムがオルオンに触れた途端、オルオンの身体中のシジルが消えていく。


「やった…………!!」


 俺は食いつくようにその光景を見た。

 シジルを失えば、オルオンの闇魔法のシールドは全て無効化していく。

 

(悪魔契約が、解除された!)


 信じられないような奇跡だけど、クロムの力は本当だったんだ。


「ぐあああああっ!」


 そのまま地面へと落下したオルオンを、魔法騎士団が一斉に取り囲む。

 そして今度こそ、奴の身柄を拘束した。


「ぐっ、くそっ!」


 いくら藻掻こうとも、もはや悪魔の力を使えないオルオンは無力だった。


 頑丈な鎖に繋がれて、武器を全て没収され、ただ拘束されるがままにぐったりとしていた。

 もはや、怪物ヨルムンガンドを召喚できる状態ではないことは確かだった。


 勝負は決した。

 ――オルオンの敗北だ。


「――っ!!」


 こみ上げる思いのままに、俺は相棒の元へ駆け寄る。


(――ダンタリオン!!)


「俺たち、勝ったんだ!!」


 手放しに嬉しい俺は、その勢いでダンタリオンの巨体に飛び乗った。

 クロムもちびサタンも、まとめて全員で抱き合って喜んだ。


「やったぜ!やったぜ兄ちゃん!」

「クックック、さすが吾輩である!」


 俺は「運命」とかいう言葉は、あんまり信じてない。


 だけどいままで俺が辿ってきた道の全てが、この時のためにあったような気がして――それってなんか、運命っぽい。


 魔法騎士団員たちも、聖職者たちも、国王陛下も、皆が勝利の安堵に浮き立ち、湧いていた。


 エレナは、リアと抱き合って喜んでいた。

 ふと目が合えば、俺たちは自然と微笑み合った。





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