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ダンタリオンと勇者   作者: 小栗とま
オズワルド王国の章
54/84

51 勇者の矜持②



「右目と左手だ!」


 カルロスがエレナに伝えたのは、この2人の闇使いのシジルの場所である。


「了解!」


 すぐさま、エレナと聖職者たちが祈りを始め、ユリウスの右目とオルオンの左手に眩しい白い光を浴びせた。

 あらゆる属性の精霊魔法をあわせた極限の力がその光に集約されている。


 それは一時的にシジルを――闇使いの力の源を封じる方法としてロミオが研究したものだ。光を当てている間しか有効ではないため、莫大な精霊魔法が継続的に必要になることが難点である。

 しかし今、闇使いに対抗する方法としては最高のものだ。


「くっ、ああああっ!!」


 痛みにもがくユリウスの呻き声が響き渡り、オルオンの動きも鈍る。

 その隙を見て、第1魔法騎士団による攻撃が始まり、やがて2人は精霊魔法を込めた拘束具で手足や首を拘束されていく。


 一方で、エレナと共に来たケインは、カルロスとリアを救出し治療を始めた。



 最強の闇使いオルオンとユリウスは、不気味な程に静かに、なされるがままに地下から引き上げられた。

 ユリウスの方は、完全に力なく倒れている。


 2人の闇使いを前に、第1魔法騎士団を搔き分けて現れたのは馬上の国王カイザー・オズワルドだ。


「おやおや、これはこれは国王様!」


 オルオンは途端、宰相ネロの口調に戻る。

 それは悍ましい皮肉だ。


「宰相ネロ――いや、オルオンとやら」


 怒りで目が据わっているカイザーは、

 全身が偽物のネロへの殺意で満ちていた。


「怪物を召喚しようとした貴様の目的はなんだ。

 計画の全貌と協力者を白状しろ。でなければ今すぐ殺す」


 カイザーが馬から降り立ち、その腰に付帯した剣をかざした。


「……」


 オルオンは、不気味なほどに静かに俯いていた。

 しばらくの沈黙が流れた。



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