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ダンタリオンと勇者   作者: 小栗とま
魔界の章
44/84

42 仲間の結束(パブロの視点)


「なんか打ち解けちゃってるけど!!

 吾輩は勇者を許したわけではないゾ!」


 甲高い声を上げて俺の視界に飛び込んできたのは、さっきから傍にいる小さい真っ黒な悪魔だ。

 

「えっとぉ~さっきから誰なんだ?」


 そんな俺の疑問を解消するように、ダンタリオンが小さな悪魔を抱き上げた。


「彼は小さくなったサタン様だ」


 と、衝撃の他己紹介をする。


「えっええーーっ!?」


(サ、サタンだと!?)


 俺はここにきて現れた刺客に戸惑う。


「そうだ!吾輩は魔王サタン。

 吾輩の力を封印した貴様は、許しがたい男だ!」


 と、ちびサタンが俺をびしっと指さす。


「……パブロに危害を加えるつもりなら。

 サタン様とはここでお別れするしかないですが……」


 と、ダンタリオンが言えば、ちびサタンは必死にブンブンと首を横に振った。


「危害は加えない!そんな力も残ってないし!

 吾輩はダンタリオンと一緒にいたい!」


 小さな白い目をうるうるさせる小さなサタンは、ぬいぐるみのような愛らしさがあった。


(あれ?なんか。か、かわいい……)


 と、つい思ってしまった俺の隣で、クロムがケタケタと笑声をあげた。


「いつの間に、サタンを手下にしちまうなんて。

 さすがダンタリオンの旦那だよなあ」


 しかしこれは不服だったらしいちびサタンは、クロムをキッと睨みつけた。


「吾輩は手下ではない。ダンタリオンの守護者と呼んでもらおうか」


 とか言ってる。

 ということは、ダンタリオンに付いてくるつもりなんだろう。


「……サタン。あんたが俺を恨むのは当然だと思う」

 

 かつての敵でもある魔王サタン。 

 彼と行動を共にするならば、俺は伝えておきたいことがあった。


「俺は王国の命令で、魔王サタンを封印した」


 ダンタリオンの肩に乗っかったちびサタンは、「ほう」と俺の話を聞こうとしてくれている。

 ダンタリオンもクロムも、静かに耳を傾けてくれているようだ。


「後悔はしてない。

 戦士としての俺の仕事は、王国の命令に従い、執行することだ。

 命をかけた戦いの場で、命令に疑念を持つ余裕もない。だけど――」


 俺は丁寧に言葉を探した。

 ダンタリオンに、クロムに、サタンに、伝えたい気持ちを拾い上げるように。


「だけど俺は、あんたがどんな悪魔で、何を思っていたのか知りもしない。

 あんたが魂の契約を結んだ、闇使いグレゴリーがどんな人間かも」


「……」


「戦場じゃ、敵と分かり合う余裕なんてない。

 仕方ないとわかっていても。

 それは一方的で、虚しいことだ」


 それは口からもれでた、俺の本音だった。


(たぶん、ダンタリオンとクロムと会って、俺は変わった)


 俺はこの魔界で実感してしまったのだ。


 敵だと思っていた「悪魔」と、それと契約する「闇使い」という人間。

 そんなカテゴライズでひとまとめに出来るほど、彼らは一様ではない。


「俺は……もっと悪魔や魔界のこと、知らないといけないんじゃないかな。

 だから俺は魔王サタン、あんたがどんな悪魔なのかも知りたいよ」


 俺がそう言えば、ちびサタンは白くて丸い目をうるると輝かせた。


「勇…者…」


 と言いながら、俺の胸に飛び込んできた。


「おっと……」


「お前のことは嫌いだ。しかし、その小さな頭をひねり、他者に学ばんとする姿勢は嫌いじゃない。ダンタリオンの契約者として、認めてやらんことはないゾ!!」


(なんか言い方に棘あるんですけど……)

 

 と思いながらも、俺はこの小さな魔王の協力に感謝して、頭をなでなでした。


「よろしくな、ちびサタン様」

「なでなでするなぁ!!」


 と、発狂するちびサタンは、それでもマスコットキャラクターみたいに可愛い。


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