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ダンタリオンと勇者   作者: 小栗とま
魔界の章
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16 オズワルド王城


 帰還を果たした勇者3人は、オズワルド王国の王城へと向かっていた。

 

 荘厳な王宮馬車に乗り、城下町に集まる国民の大歓声を受けながら、慣れ親しんだ故郷の町を見やれば、勇者たちから朗らかな笑みが漏れる。


 小高い丘にそびえるオズワルド王城は白を基調とする作りで、質素ながらも爽やかな色彩の城である。 

 澄んだブルーの屋根を戴く円柱型の見張り塔が城を囲み、すぐ隣に広がる精霊の丘と合わせて、日夜、3つの魔法騎士団による警護が続けられている。


 王城へ到着した勇者たちはすぐさま、国王の待つ王座の間へと向かう。

 

「勇者たちよ。よくぞ、戻ってくれた」


 そう勇者らを称えるのは、国王カイザー・オズワルドである。


 王座に深く腰を掛け、青い瞳を細め、勇者らを見つめている。

 黒髪とあごに蓄えた髭が贅沢に長く伸び、国王らしい威厳を感じさせる。

 

 カイザーの全身をまとう重たい雰囲気、その額に刻まれた深いしわと、目元の濃い隈が、国王たる彼が悩み多き日常を過ごしていることを表していた。


「ありがたきお言葉」


 勇者のリーダー格たるユリウス・オッペンハイマーが、膝をついて頭を下げる。

 リアとロミオも、彼に続いて礼を示す。


「魔王サタンは、確かに封じました」


 ユリウスが粛々と報告する。


「そのようだな」

 

 と、国王が頷く。

 

 「笑顔を見せたことがない」と噂が立つほどの国王は、

 このめでたい報告に対してもやはり無表情である。


 国王とは対照的に、傍に控える宰相のネロ・カーペンターは、

 いつでもお世辞を言いだしそうな気さくな表情で口を開いた。


「君たちのお陰で、サタンと魂の契約を結んだ大罪人グレゴリーの弱体化に成功した!これでグレゴリーは、ただの老いぼれにすぎんよ」


 ネロは豪快に笑い、水色の長髪をぱさぱさと揺らした。


「あとは、マシュ・フルーム団長が奴を捕らえれば、一件落着だ。

 彼からの朗報を待とうではないか!」


 と、既に勝利を手にしたかのように、ネロは両手を天に突き上げて笑う。


 第2魔法騎士団長マシュ・フルームは、サタンと契約した闇の魔術師グレゴリーを捕えるべく遠征に出かけていた。

 マシュ・フルームは、勇者パブロ・フルームの義理の父でもある。


(パブロの仇をとってください。フルーム団長……)

 

 リアは心の内で、グレゴリーの逮捕を祈る。


 まだまだ気の抜けない状況が続くが、勇者たちはひとまずの休息を欲していた。

 それは国王カイザーも理解している。


「奥に休める部屋を用意している」


 と、国王が言えば、メイド服をまとった奴隷たちが現れ、勇者たちを奥間へと案内した。

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