12 勇者の剣 (ダンタリオンの視点)
「なあ、コイツどうする?」
クロムは、家の隅に鎮座している剣を指す。
それはパブロが使っていた剣で、禍々しい魔力を持っているため、檻の中に封じたものだった。
見た目は「いかにも勇者の剣」で、直線系のスラリとした剣刀とグリフォンを模した剣柄でできている。
しかしその中身は剣を持った者への呪いで満ちていて、パブロを呪おうとした誰かが、パブロに持たせたとしか思えなかった。
「その剣も市場に持って行って、高値で買う奴を探すか」
俺はそう言って、不気味な剣を檻ごと持ち上げた。
すると、その剣はすぐさまに小ぶりな蛇に姿を変えて、「シャーっ」と牙から毒を吐くと、檻の隙間からするりと抜け出した。
どうやら、牙から吐いた毒で封印を解いたらしかった。
「あ!こいつ!」
クロムが蛇を捉えようとしたのだが、妙にすばしっこくて叶わない。開いていた扉の隙間からするりと逃げ出してしまった。
「なんだあいつ!気持ちわるい剣だぜ!」
クロムが言う通り、勇者の剣にしては妙に禍々しい剣が、蛇に姿を変えて去ったなんて、不気味以外の何ものでもない。
「なあ、クロム。これ以上、あの剣には関わらないほうがいい気がする」
俺がそう言うと、クロムも怯えた感じで頷く。
「だ、だな」
それから気を取り直した俺たちは、薬をつめたトランクと共に悪魔の市場へと向かった。




