096
そろそろ小イベントに巻き込まれながら、決闘まで日常編はしばし続きます。
「と、とりあえず紹介するよ。聞いてたと思うけどこの子がリズベット、呼称はリズでいいと思う。Lvは俺たちと同じ160で、職業は支援が得意なカタクラフト。二人ともよろしくな」
そこまで言うと、剣吞な雰囲気の二人はしびれを切らしたように息を吐いた。
幸いコトハもフィイも、リズに敵意はまったくないようで怖がらせないよう、にこやかな笑みを浮かべている。
「初めまして、わたしはバーサーカーのコトハ。前に出るのが得意だから、モンスターの殲滅は任せて。これからよろしくねリズ」
「う、うん……えっと、よろしくねおねえちゃん」
「おねえちゃん……?」
リズに呼ばれたコトハが硬直する。
彼女は今までにない呼ばれ方をして戸惑っているようだ。
「それってわたしのこと?」
「そうだけど、いやだったかな」
「ううんいやじゃないわ。むしろもっとそう呼んでくれていいのよ」
「ありがとう……やさしいおねえちゃん、すき……」
「っ!?」
とてて、と駆けだしていったリズはコトハに抱き着く。
するとコトハは感極まったかのようにぷるぷると震えながら、
「アルト、この子はとってもいい子ね。絶対にわたしたちで一流の冒険者に育ててあげましょう!」
とやる気満々に宣誓した。リズが自分に懐いてくれたことがこの上なく嬉しいんだろう。相変わらずちょろいな。
さて問題はこの後の二人だ。
人見知り対人見知り、滞りなく挨拶してくれればいいんだけど、どうなるものやら。
「わ、われはフィアトル、みんなにはフィイと呼ばれている。よ、よろしく……」
短い挨拶だけどフィイにしては頑張ったほうだ。握手の意味で手を差し出している。
「……」
しかしリズは手を取ろうとはせず、フィイのとある部位を見つめていた。
こ、これはもしや。
「どうしたのだリズくん、わ、われにどこか至らないところでもあっただろうか」
「えっと、あのね、すっごくおおきいなっておもって……」
「おおきい? たしかにわれはリズくんと比べると僅かばかり背丈が高いが」
「ううんそっちじゃなくて、その……」
リズがそこへと指先を向ける。なるほど、初見でみなが抱く疑問は年端のいかない少女であっても同じのようだ。確かにフィイは途方もなくデカイ。
「フィイってリズとおない年くらいだよね。なのにどうしてフィイはこんなにあるの? ずるい……」
「ま、待ちたまえよリズくん、そこは……」
「ふにふに、ふにふにふに……やわらかい……」
「や、やめ……やめるのだあぁ!」
指をくわえながら、ぷにぷにと触れるリズ。赤ら顔になったフィイが、耐えきれないとばかりに逃げ出すと、リズがその後を追う。面白おかしな追いかけっこが始まった。
てっきり二人は沈黙するものかと思っていた。年が近いから親しみやすいのだろうか。分からんが仲良くやっている? ようで安心した。あの分ならすぐになじめるだろう。
「また一段と騒がしくなりそうね」
二人の少女を目に、コトハが微笑む。
「いいだろ? やっぱりパーティーは多人数の方が楽しい」
「わたしもそう思うわ……えっと、おにいちゃん」
「お前が言うのは似合ってないぞ」
「……」
ちょっと一言多かったかもしれない。コトハにジッと睨まれてしまった。
ともかくとして新たな仲間の紹介はこれにて終了。雰囲気は良く、仲たがいせずに済みそうだ。これからは四人で魔王討伐を目指していこう。
おにいちゃん争奪戦が始まる予感……。







