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次話でいよいよ入場します!たぶんそんなに話数は嵩みません。
「お待たせしました。冒険者さまは当ギルドに登録されていらっしゃいますので、手数料がこちらの金額になります」
受付嬢が持ってきたのは、上級コロシアムへの申請書。
その下部に記載された金額は1m。
コロシアムが人の手によって運用されているのは知っているが、挑むだけで百万円とはいささか高すぎないだろうか。この分だとギルドに登録していなければ10mくらい持っていかれるかもしれない。
「お支払いありがとうございます、それではご案内いたしますね。準備ができましたらお呼びいたしますので、こちらでお待ちください」
会計を済ませると、上級コロシアム専用の待合室へと連れ込まれる。
周りに俺たち以外の冒険者はいない。初級と中級は難易度が低めのため、冒険者たちがこぞって挑戦するのだが、上級はさすがに周回できるパーティーの母数が少ないか。
空きがあったのもそのおかげだろう。
「コロシアムとはどのようなシステムなのだろうか。モンスターと戦うのは分かるが、いまいち想像つかない」
ベンチに腰掛けたフィイが、足をプラプラさせながら言った。
「闘技場で戦うんだけど、辺りは更地で障害物も何も無い。そこで冒険者は大量のモンスターを相手に真っ向から戦うんだ。敵を全滅させたら俺たちの勝ち、途中で力尽きたら俺たちの負け、って感じだな。シンプルで分かりやすいだろ?」
「ふむ、確かに端的ではある……もしダウンしてしまった場合はどうなるのだ?」
「システム通りデスペナルティを受けるよ。全員がダウンしてしまった時点でチャレンジは終了。もちろんドロップしてしまった装備やアイテムは運営に回収されて戻ってこない。その分、モンスターのドロップアイテムは全てこっちの物だけどな」
「ようするにぜんぶ倒しちゃえばいいってことね。そうすれば何も問題ないわ」
横合いからコトハが割り込んできた。
「結局はそういう話だ。勝てばアイテムも経験値もおいしいからな。……それよりスキル振りは済ませたのか? 転職ボーナスと余ってるスキルポイントで二つはスキルを習得できる。準備するなら今の内だぞ」
「そ、そうだったわね。呼び出される前に済ませておかないと……」
コトハと一緒に、かたわらのフィイもスキルツリーを展開する。二人ともスキル振りがまだだったようだ。
「どれを習得するか悩むのだ……」
「これなんていいんじゃない? スキル〝カーラドラ〟神聖なる力をロッドに付与し、目にも止まらぬ速さで敵を七連続殴打――」
「コトハくん、われはそういう物騒なスキルは嫌いなのだよ」
「じゃあこっちはどう? 〝ユピアトル〟っていう光の柱で敵を爆散して――」
「まったく同じではないか! そういう攻撃的なスキルはコトハくんに任せるのだ。たとえばこの〝鬼哭閃閃〟なんていうスキルは……」
スキルツリーを見ながら、二人はああだこうだと面白おかしく相談している。
友達と話し合いながらスキルを決めていくのって、本当に楽しいんだよな。
最適なスキルツリーにするなら、俺が指示した方がいいんだけど……それは流石に無粋すぎる。楽しんでいるところをあれこれ指示してぶっ壊すなんて、害悪プレイヤーもいいところだからな。
「二人がどんなスキルを習得するか、気長に眺めていよう」
上級コロシアムが開幕するまで、穏やかな喧騒はしばし続いた。







