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ご覧いただきありがとうございます。オークションは楽しいです!!イベント多いのでサクサク消化していきます。


「着いたけど、ここが本当にオークション市場なの? ただの道端(みちばた)のように見えるけど……」


 コトハが周りを見て言った。


 一帯は広場のように開けた空間があるだけで、特にこれといった商店は無い。()りのような掛け声も飛び交っておらず、人々はみな手元の電子パネルに注視している。


「オークションって聞くとやたらデカイ会場とか大掛かりな舞台を想像するだろうけど、そんなものは必要ない。この場所ではみんなが売り手であり買い手なんだ。試しに、いつもの画面を開いてみろ。そこに〝オークション〟機能が追加されているはずだ」


 コトハとフィイがすぐさま冒険者の徽章(きしょう)に触れる。


 展開された電子パネルには、プロフィール、ステータス、インベントリなどなど、見慣れたタブがいくつもある。


 その端に見える〝オークション〟と表記されたタブをタッチしてみると……。


「おぉ、これはまさしくオークションではないか」


「すごくたくさんのアイテムがあるわね。まさかこんなところでオークションができるなんて。オンラインで取引できるのかしら」


 パネルに映し出されたオークション画面に、二人はすっかり見入っている。


 消耗品、素材、武器、防具、装飾品などなど。


 出品されたアイテムは、タブによってカテゴリーごとに分けられており、タッチすることで展開可能だ。素材を選択すれば素材だけの出品一覧が、消耗品を選択すれば消耗品だけが表示される。


 価格順、人気順、締め切り時刻順など、フィルター機能も充実しており、さらにはアイテム名を入力して、欲しい一品を検索することも可能。


 まさに便利なオンライン形式のオークションである。


「こんな機能があるなんて、もっと早く知りたかったわ。あれ、でもどうしてオークションはここじゃないとできないの? 外でもできるようにしてくれたらいいのに」


 コトハの意見はもっともで、俺もそう思ったことが何度もある。


「たぶんそれだと便利すぎるからじゃないかな。たとえばレベリング中、ポーションや武器をいくらでも買えたら力尽きることなんてないだろ? インベントリだって圧迫(あっぱく)しないしメリットが大きすぎる」


「確かに……ドロップアイテムだってその場で売り飛ばせちゃうものね」


「そういうことだ」


 オークションに出品できるアイテムに制限はなく、安価なポーションや高額なミシックアイテムまで千差万別だ。


 買いたいものはいくらでもあるが、まずは売るところから始めよう。


「先にこいつらだな〝谷底のモーニングスター〟と〝谷底のリング〟、鈍器はちょっと期待できないけど、指輪はまあまあな値段が付くと思う。立派なレアアイテムだからな」


「ねえねえ、どうせならわたしにやらせてよ。なんだかおもしろそうだし」


 コトハが目を輝かせて言う。ちょうどいい経験になるし、やらせてみるか。


「〝出品〟ボタンを押してアイテムを選択するんだ。あー、そう、それそれ。で次に価格を0ルクススタートにして即決価格は無し、最後に時間を1Hに設定したら完了だ」


 俺の指示に従ってコトハはテキパキと操作していく。


 かくして彼女初の出品は無事に終了。ついでにモーニングスター二本も谷底のリングと同様に設定した。あとはゆるりと待つだけである。


「見て見て、早速値が付いちゃったわよ。たった一分で二万ルクスですって! これからもっと上がっていくと思ったら楽しみだわ」


 どうやらコトハはオークションの楽しさを理解したらしい。


 自分が出品したものに金額が付いて上がっていくのって、見ているだけでも楽しいんだよな。時には信じられないくらいうなぎ登りになることもあるし。いっときは二十四時間張り詰めるオークション中毒になったっけな……。


「アルトくん、われも、われもなにか出してみたいのだ」


 フィイが俺の腕を引っ張りながら言う。


 となりで楽しげにやっているコトハが羨ましいのだろうか。


「えっと、つまりフィイもオークションで遊んでみたいってこと?」


「なっ、違――まったく、よしたまえよアルトくん、われはその、女神さまの啓示(けいじ)でだな」


 まごうことなき虚言(きょげん)だろう。フィイの焦りようを見ていれば分かる。


「分かった、じゃあこれを出品してみろ。やり方はコトハのを見ていたから分かるよな」


 素材アイテム〝ヴァーリルの(にご)った瞳〟を受け取った瞬間、フィイの目がきらきらと光る。


「う、うむ、ありがと……ではなく感謝するぞ、これでわれもオークションを……」


 フィイは夢中でポチポチと小気味(こきみ)良い音を鳴らして手続きを済ませていく。


 無理して年を食っているような口調をする彼女だけど、中身はやっぱり子供だな。


「これで3m(エム)くらい売れるといいんだけど、果たしてどうなることやら」


 バルドレイヤに三つあるオークション広場。そのうちのひとつで結果を待つため、俺たちは近くのベンチに腰を下ろした。


3m……三百万。

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