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ご覧いただきありがとうございます。決闘です。飽きないように同じ展開、パターンはしません、シチュエーションを変えながら戦っていきます、決闘コンテンツはこの街だと熱いので大変ですが……頑張ります。ヒロインさんのイラスト、何とか線画修正までできました。時間が……。
一階へと下っていくと、気絶しているウルクとそのパーティーメンバーと遭遇する。
「ウルク、ウルク……」
悲しげにくずおれている女と、
「ほとんど装備を持ってかれちまったな。明日からどうやってIDを周っていけばいいんだ。もう俺たちのパーティーは終わりかもしれねえな……」
げっそりとした顔で、虚空を眺めている男。
一番の被害者はウルクよりもそのパーティーメンバーである彼らだろう。こんな状態だとウルクはほぼ機能しないだろうし、新たなメンバーを探さないといけない。
無事に集まるかも分からず、その間にも雑費はかさむばかり。たったひとりの冒険者が倒れただけで、全体に悪い影響をもたらしてしまうんだ。
「これじゃあどうしようもないわ。ウルクには悪いけど、新しいメンバーを募集しないと」
「だけど集まるのか? 俺たちが中級コロシアムを周れなかったっていう話は、すぐに広まる。こんな汚名がついたまあじゃあ――」
「分かってるけど、やるしかないもの。ああもう、本当にどうして……」
悲観に暮れている二人は、おおよそこの後の展望が見通せているんだろう。
IDを周れなくなって収入の見込みが入らず、あとは低難易度なクエストをこなすなどの選択を強いられる。とても冒険者らしい活躍はできないだろう。
この都市じゃあ、こんなの日常風景だ。あえて首を突っ込む必要はないし、いちいち手助けしてたら時間がいくつあっても足りない。
そう分かってはいる。分かってはいるんだけど……ほんとに、もう仕方ねえなあ……。
「――おいお前、俺と決闘しろよ」
騒ぎの中心にいるルドラに声を掛ける。
「なに?」
うろんげに眉根をひそめる奴は、俺の申し出が信じられないようだった。
「おいおい! Lv100の新人がルドラに喧嘩を吹っ掛けてきたぞ!」
「命知らずもいいとこだなぁ!」
「馬鹿なのか、あり得えねえだろそんなこと!?」
そして再度、沸き立つ群衆。
これは見物だとばかりにある者はヤジを飛ばし、あるいはどちらかが勝つかの賭けまで始まった。これもまた、バルドレイヤの日常だ。
「てめえは見学していた坊主だな? もしこの半人前を見て情でも移ったって言うんなら、悪いことは言わねえ。今の内に立ち去りな。てめえじゃ俺には勝てねえよ」
口元を歪めてルドラが言う。
こいつの主張は正しい。俺たちのLv差は50もあるんだ。戦いになんてならないだろうけど、腕は間違いなく俺の方が上だ。ミスプレイしなけりゃあ、どうにでもなる。
「だいいち俺が坊主と戦う理由はねえ。そのLvじゃあ装備もアイテムもしょっぱいだろうし、利点がまるで――」
「いいや、案外そうでもないぞ」
インベントリから〝谷底のモーニングスター〟と〝谷底のリング〟を取り出す。
それぞれ二つずつあるこれらは、三日間のID周回で得た戦利品だ。
「モーニングスターは売れば小遣い程度にはなるだろうし、リングはレアアイテムだ。商店で売れば三十万ルクス……オークションなら百万ルクスはくだらない。もし俺がこれらをドロップしたら、そうとう美味しいと思うがな」
「おおぉ、これは重畳」
途端、目の色を変えたルドラはやる気のようだ。〝決闘申請〟画面を眺めて恍惚に浸っている。
「ちょっとアルト! 大丈夫なの、そんなやつと戦って!」
決闘が始まる直前、いよいよコトハに咎められてしまった。こればかりは俺に非がある。
「心配かけてごめん。だけど大丈夫、たぶん負けないから」
「なら……絶対に勝ちなさいよね。アルトが倒れるところなんて、見たくないんだから」
「分かった。――それじゃあ絶対に勝つ」
話に折合いがついたところで、決闘申請を報せる通知が鳴った。ルドラからの申し出だ。
「ルールは〝一本勝負、今のMAPを適用、消費アイテムの使用不可〟で異論ないな?」
奴がしたり顔のまま説明する。分かってはいたが、こちらに有利な条件を与えてくれる余地はなさそうだ。
「流石にワンショット制とはいかないか……いいよ、それで構わない」
申請の承諾ボタンを押下する。
するとより激しく喝采を上げる冒険者たち。インベントリからバトルアクスを取り出すルドラ。
指呼の間に斬りかかるルドラの猛撃によって、激闘の火蓋が遂に切られた。
次話でルドラの職業とステータス詳細、特徴に触れます。







